18 あいむ うぉっちんぐ なう
ここ暫く、病院のベットに寝てばかりのヨウガ。なにもすることがなく、
飽きないこと、と言えば三度の飯(味は何故か薄い)か、外の景色を眺めていたり。
あと一週間で退院できるとの話ではあるが、その一週間がとてつもなく長く
感じられてしまう。
いつもならここで(11時)横になって昼飯をじぃっと待つのだが・・・
今日だけは面白い物が、というか楽しみがあった。それは・・・
「タイトルマッチマダーー(°∀°)ー?」
ボクシングのタイトルマッチであった。退屈な日々をおくるヨウガにとって
まさにそれは刺激的過ぎる刺激、といっても過言ではなかった。
ヨウガが手元に持っていた新聞紙を見る限りそれは12:00に始まるらしく・・・
始まるまであと30分ほどであった。さぁその30という時間を潰すには
どうするか、と。
実のところヨウガは病院の脱走要注意リストに入っており、なんか要件がない限り
外には出られないようになっている(というかそれが普通)。
なので外には出られず、ガチで暇なのである。
「よし、マジキチ体操でもしよう」
いや、それしかやることがないマジで。
ここの施設はヨウガの性格とは正反対の静かさを保っているので
暇潰しは運動する事ぐらいしかない。あ、あと面会とか・・・
聞くところによると、ユウは既に復帰しているらしく、そろそろお見舞いに
来てくれてもいい時期・・・のはずなのに来ない。
「(・・念じてみるか?)ダレカコーイ、ダレカコーイ、ダレデモイイカラ
キテクダサイオネガイシマス〜・・・」
ガラッ「・・なにしてんだヨウガ」
「うおっマジで来たし」
ジャストゥなタイミングでユウが来た。心から信頼していればこういう
ミラクルワンダホーなことも起きるのだろうか・・・?
さて、ユウの状態をkwsk見てみると・・・復帰、なのだろうか?
まずは頭に包帯。次に腹包帯、右足に固定具、松葉杖でここに来た、という感じ。
これだったらまだ俺のほうが軽傷でfa?と心の中だけでツッコミを入れておいた。
ていうか大丈夫なのか?いや、どうやってその状態でここまで来れたし。
・・・これ以上考えても無駄だと思ったので考えるのはヤメにした。
「そーだ、土産もってきたぞ」ガサガサ
「・・ん?おお、ICHIG・・」
「シーッ、秘密だからな?こういうのは基本駄目だから」
「mjk、助かったよ」
ちょうど腹が減っていた(11:50)ので、なりふり構わず・・・
「頂きまぁす」パックリ
「うまい?」
「めっちゃうまぁい」
久々に食べる大好物ほど良いものは・・・あれ、眠くなって・・・
「なぁおぃ・・眠くなって・・」
「睡眠薬入れた」キッパリ
「?!・・にゃんで・・・いれ・・」zzz
「ふぁ〜・・あ・・・ん?!」
起きて早速驚愕することになった。何故なら・・・
「おいっユウ?!」
「うみゅ・・・まだ眠い・・」
「なにやってんだ起きろボケェ!」バシバシ
「あったかーかったのにー」シブシブ
なんか俺のベットで寝ていた。しかもご丁寧に俺まで寝かされていた。
ってあれー?寝てた、ということは今何時ー・・?
ちらっ、と時計を見てみる。
長い針が6、短い針が1・・・
どう見ても午後の一時三十分ですほんとうにありがとうござい
ませんッ!!コイツ、俺を眠らせた挙句時間まで奪いやがった。
「おい糞野郎!何故睡眠薬を入れたこのトンチキ!!」
「えー・・?だってよぉ、急になんかこうしたくなったんだぜ?
本能に似たやつだなぁ・・」
「^言^」
ったく、何で最上家にはこうも変態しかいないんだっ!
おかげですっかりと見逃してしまった。
あの変態は家に送り返した(物理)が・・・・
正直、すこしうれしかったのが悔しい。
・・・退院まであと一週間、か。
そう思って窓を見る。さえずる鳥ポケモンの声、
爽やかな風の音、賑やかなポケモンたちの声、ドアが激しくノックされる音・・・
ん?ドアが激しくノックされる音?
「おっはよーごじまーーす!」ガラッ!
「っわあっ!・・アリっさん?!」
思わずアリっさんって噛んでしまった。えと、そのアリっさんっていうのは
最近になって知り合った(というか強制的に)あのアリサさんだ。
でも、何で今ここにわざわざ・・・?
「私もやることが無くて暇なんですよー・・っていうかマクド(マクタ―ドーナツ)
いってゆっくりして帰って寝るっていう実質食っちゃ寝の状態ですから」
「私もって、何で俺が暇なことを・・いやいやいや!何で俺のところに?!」
「あぁ、まとめていうとただの暇つぶしです」
「・・・・大体分かった」
暇つぶしのお見舞いほど複雑な心境になることはない、と思った。
今までにきた奴らは変態であれぶっきらぼうであれ何かと目的があって来ていた。
それを今度は暇つぶしですか。
I wanna be the guyよろしく、いろいろな意味で忙しい。
「あそーだ!私の昔の愚痴でも聞きますか?」
「ふぁ?何言って・・・」
「きーーきーーまーーすーーかーー?」ズイッ
「あーあーわかりました聞けばいいんですよねッ!!」
その承諾されなかったら顔を近づけるのマジでやめてくれないですか?
・・・ともかく、俺は彼女の昔話をきかされるハメになってしまった。