12 必殺の右?ストレート
「やったか?!」
ヨウガはそう確信した。
あんな速度の刃、いくらラルゴでもそう簡単に止めることは
できないはずだ。
が、次の瞬間、ヨウガは自分の目を疑う光景を見ることとなる。
何故なら・・・
「・・・はぁ?!」
「・・・ったく、もっと動きを読んでやれ」
なんとラルゴは手の甲のギザギザ、というのも
形容し難いがなんと言うかあれや、ウル○ァリンのかぎ爪のようなもので
レグの刃を受け切っていたのだ。
さて、ここで状況説明。
俺、ヨウガとユウはふたり揃って倒れている。(しかもユウは絶賛強制休憩中)
でレグとラルゴはそれを見下すように俺達の前にいる。
そんで後ろにはSRを構えたなんとも物騒な特攻野郎のリーフィアが構えている。
いつでもおk、異変があり次第俺達をブチコロできる状態だ。
うん、OWATA\(^o^)/
「くっそ・・・」
「じゃあもう一回」
考えた。必死になって考えた。が突破できる方法は唯一、
しかもユウが目を覚まさないとできない、いわば『捨て身』の作戦だった。
剣が振りかざされた。うあああああやばああああいいいいい、なんて思った。
しかし幸運の女神はまだまだ俺達の青春(笑)を見捨ててはいなかった。
「・・・ん」
(やっとおきやがったなコンチキショウがぁぁ)
ユウが夢のお散歩から無事帰宅してくれた。
もう少し遅れていたら一生お散歩から解放されないどころか
俺自身もお散歩してただろう。一生解放されないというオマケ付きの、だ。
そんな今帰って来たばっかりのユウには申し訳ないが俺からのプレゼントを受け取ってもらおう。
「ユウ!右に避けろぉぉぉ!!!」
「ふぇ・・・うわぁ!」
ブウン!!!!
まさに間一髪、だった。王手になってかろうじて逃げられた感覚の倍以上はある。
で、捨て身の作戦だが・・・
「そおりゃあぁぁあ!!」
「うおっ?!」ドンッ
俺はレグの体に思いっきり突進した。で、ユウにジェスチャーを送って見た。
っていうかこれしか意思疎通の方法がない。ダメ押しというやつである。
「( ゚д゚)★彡」クイックイッ
「( ̄^ ̄)ゞ」ビシィァ
つ、伝わった。初めてのはずなのに。
ちなみにジェスチャーの内容は『ラルゴを盾にして芋砂野郎に突っ込め』
という内容だった。伝わってればいいが。
が・・・
「そおりゃぁ!!」ビュッ
「( ;´Д`)っておい!!」
全然伝わってませんでした本当にありがとうございます。
なんつー野郎だ。俺のサインを『芋砂野郎に突撃』だとおもってやがる。
おいおい死ぬぞ?!頭ズキューンされて一発で逝くぞ?!
だが'・・・
「な・・早い・・・?!」
さすが種族ウインディ。速く走っているせいか狙いが定められていなかった。
しかしホッとしたのもつかの間。あいつを忘れていた。
・・そう、俺が突進した相手。
「いつまでそうやってるつもりだァ!!!」ゴッ
「ゴ・・・・・っふ!」
腹パン食らわされた。相当痛い。
もうこっちに集中するしかなさそうだった。
場所は変わってアイはどうしているかというと。
「大丈夫ですかッ?!ジンさん!!!」
説明するとジンというアイの師匠でもあるダイケンキのじっちゃんが遠くから人質にされていた。
としか言いようがないだろう。
「ん、暫く寝ておったが・・なにがあった」
「!!・・・よかったぁ・・・」
良かった。殺されて無かった。
そう安堵した次の瞬間。
「ただいまかいりましたぁ」
「・・・///」
「パンツナンテナカッタンヤパンツナンテナカッタンヤ」ブツブツ
「フゥ、疲れた」
アリサ達がレイアを救出して帰って来ていた。
レイアはアリサの上着を一枚羽織っていただけであり・・・
つまりアリサはジョウラマンになっていt(ry
「何か着るものはありませんかぁ?寒くて寒くて・・・・あ、レイアさんのものでお願いします」
「・・・あ、はい、只今!!」
アイが上着をとってきてくれるそうだった。
「アリサ・・さん」
「なんでしょレイアさん」
「その・・・恥ずかしくないんですか??」
そりゃあジョウラマン状態、しかも女子だ。
彼女の精神を失礼ながら疑ってしまう。
するとアリサは笑いながらこう返した。
「私の胸などだれが見たがるんですかぁ?
しかも真夜中ですしおすし」
「・・・・そう・・・ですか。」
恥ずかしさという単語なんてキチガイ並みの彼女の頭脳の辞典にはもはや
恥ずかしさの恥という字も無かった。
アリサ姐さんマジキチ。
と、ここでやっとレイアの上着が帰ってきた。
「もってきました〜・・でも何故犯人は上着なんかを?」
「・・・あ、ほらよくあるアレですよ。変装するための上着が必要だった・・とか」
「あ〜・・・」
そう犯人の目的をアリサが弁解した。
主犯のリーフィアは結局ヨウガとユウが追っている始末ではあるが。
しかしその中で一人、レイアはずっと考え続けていた。
「・・・・・・」
(・・確かに・・・・あの香りは・・・拘束されたときの臭い・・
『姉の香り』だった・・
ずっとずっと・・昔は一緒だったからわかる・・・感覚的に・・・)
そう、拘束された時、臭いを嗅いでみてわかったこと。
しかし・・・仮に、もしそうだとしたら何故私にあんな真似をしたのか。
本物なら私にはあんなこと躊躇なくすることはできないはず。
そうレイアは考えていた。
と、言うのも確固たる理由がある。
それはーーー。
「レイアさぁ〜ん」
「うひゃ、リラ?」
「どうしたんです、さっきから名前呼び続けてるのにボーッとして・・」
「いや、何でもないの。」
「?・・・ならいいんですが。」
(後でスミレさんかこのアリサっていう人に相談に乗ってもらおうっと)
「・・・へくしっ!・・風邪?噂されたかしら??・・・ってやべ」
スミレの館からはその日黒い煙がもうもうとたちこめたとさ。
で、それを開戦の火蓋であるかのようにヨウガvsレグの戦いが始まった。
「うらぁぁぁぁ!!」
「ーーっち!『閃』!!」
ヨウガは素手、レグは先程奪った『青龍刀』で戦っていた。
しかしレグの青龍刀は・・・
「どういうこったい、切れ味が全くねぇ!!」
「助かったよォ!お陰で一方的な試合にはならねェ!!『陽炎爆裂拳』!!」
「嘘ぉ、消える攻撃とかどこのラルゴだよッ!!」
とかなんだかいっといて俺の攻撃は全て紙一重で避けられていた。
なんつー運動神経・・・っていま『消える攻撃とかどこのラルゴだよぉ』
的なことをいってなかったか?!
消える攻撃・・・もしラルゴがその消える攻撃で俺を攻撃しようならば
恐らくコイツとの戦いもあって絶対に負けるだろうが・・・
それを知らないユウが一番危険だ。下手すりゃあラルゴに一方的に攻撃されて
殴り殺されてしまう。もしそのパンチの威力が
某星の白銀こと駐車場(スタンド)の一撃とおんなじ威力だったら・・・
ーーーーーガチでユウが危ない。
「ユウッ!!ラルゴに気を付けろ!!」
現実とは非情である。俺のSA☆KE☆BIはユウには聞こえていなかった。
ーーーしかもその次の瞬間、俺の予想していた最悪の出来事、いや、
それすらも超える出来事が起こってしまった。
「うらぁっ!!」ドゴォ!
「が・・ッ!!」
溝パン直撃。さっきまですぐそこで俺らの戦いを見守っていたはずのラルゴが
『一瞬』でユウまで近づき一撃食らわした。それでユウは悶絶しているのだが。
さらに最悪なことが起こってしまった。ユウの前には腕のいい狙撃主。
つまり。
「呆気ない最後ね・・・」ズキゥーーー・・・ン!
バシッ。
洞窟で固いものに固いものが当たったような音がした。
間違いない。完璧にユウは・・・撃たれた。
「ユ・・・ウ・・・?!」
返答が無い。嘘だ。俺の親友は俺の指示を受けてしまったがために死んだ・・?!
嫌だ、認めたくない。
「やっちゃったわね」チャ
「・・・・」
軽くそんなことをいうリーフィアにグラグラと殺意がわいてきた。
絶対に許さない。亡骸となった親友の仇を打ちたい。
が、レグをどうにかしなければならない。もどかしい。
ーーーしかし。
「・・・・まだやってはいない・・」
「・・・・!!・・・『身代わり』・・」
アイツ、どこまで成長しやがったんだ。身代わりまで習得していやがった。
で、本体は。
「『ブレイズドロップキック』!!」ドガァ!!
「うわ・・・っ・・」
「?!」
「モロ入ったな・・・・溝パンのお返しだこのイカれギザ野郎」