幼なじみはツラい
「ねえ起きてよ!。今何時だと思ってるの!。」
「今?....。今日日曜日だろ...。」
「はあ!、今日は月曜日よ!。」
朝からピカチュウの部屋は騒がしい。
ピカチュウは布団を
捲られ渋々学生服に着替え始めた。
「早くしてよ!。もう遅刻しちゃうじゃない!。」
「ならさきにいけばいいだろ!。」
「折角起こしに来てあげたんだから文句言わないの!。」
実はピカチュウの夫婦は他界していた。だからピカチュウにとってミミロルは唯一無二の家族見たいなものだった。
そろそろピカチュウは着替えを終え冷蔵庫に入っていたコッペパンを口にくわえて玄関に向かった。ミミロルはお先に玄関の外で待っていた。
「遅いよも〜!。早く行くわよ!。」
「ハイハイ...。」
そしてピカチュウとミミロルは学校に向かって走り出した。
人混みをかき分け猛スピードで学校に向かっていく。
これが二匹の1日の始まりだ。これが毎日のように続く。
「はあ...なんとか間に合ったわね...。」
二匹はギリギリで間に合った。急いでクラスまで走っていく。
キンコンカンコーン、キンコンカンコーン
クラスについたと同時にチャイムがなった。それぞれ席着いた。
「おはよう。また今日もギリギリだったな。」
「ようヒトカゲ。まあいつもの事だからな。」
ピカチュウの隣に座っていたヒトカゲが話しかけた。ヒトカゲとピカチュウは小学生5年生からの親友だった。数少ないピカチュウの理解者だ。
午前の授業も終わりヒトカゲとピカチュウは屋上で弁当を食べる事にした。
「いっただきます。」
「いただきます。今日も同じ具材か...。」
二匹は弁当箱を開け食べ始めた。
ヒトカゲの弁当は豪華な品々が詰め込まれていたがピカチュウの弁当は唐揚げと卵焼きとご飯。梅干しのトッピング。まさに日の丸弁当だ。
「その弁当、ミミロルが作ってくれてるんだろ?。」
「ああ、でも毎度同じ具ばっかりで嫌気が指してきたよ...。」
「作ってくれたのにそれは失礼だろ...。」
ピカチュウは毒舌だが内心嬉しかった。照れ隠しながら弁当を食べていた。
「なあピカチュウ。ミミロルはお前の幼なじみなんだろ?。」
「まあそうだな...。それがどうした?。」
ヒトカゲが改まって聞いてきた。
「いや、深い意味はないんだが...。付き合ってるのかなって...。」
「はあ!。そんなわけないだろ!。何言ってんだお前!。」
ピカチュウは顔を真っ赤にしながら必死に否定した。頬から電気が漏れだしていた。
「じょ、冗談だって!。ちょっとからかってみただけだよ。」
「馬鹿な事ばっかり言ってるとお前の弁当貰っちまうからな。」
ちょうどその頃ミミロルはイーブイと教室で弁当を食べていた。
「ミミロルちゃん...。今日は随分お弁当がシンプルだね...。」
「へへ、ちょっと寝坊して作る暇無かったんだ。」
ミミロルの弁当は具材は見当たらずご飯にふりかけと言うシンプルな弁当だった。それに違和感を感じてイーブイが心配していた。
「ミミロルちゃん。ピカチュウくんとは幼なじみ何だよね?。」
「ただの腐れ縁みたいなもんだよ。」
「いつも仲良いけど恋愛的な感情はないの?。」
イーブイの直球な質問にミミロルは動揺していた。
「な、何であんな自堕落な男を好きにならなくちゃいけないのよ!?。」
「だってミミロルちゃん、いつもお弁当作って上げてるし毎朝起こしにもいってあげてるんでしょ?。」
「うう..........。」
ミミロルは言い返せないでいた。ピカチュウとは毎日一緒にいたから恋愛的な事は考えたことがなかった。
「ピカチュウは....。私が守ってあげないといけないの!。」
「え?。」
ミミロルは重たい口を開けた。
「ピカチュウの親が死んじゃって...私がいないとピカチュウは本当に独りぼっちになっちゃうから...。」
ミミロルがピカチュウの世話をするのは過去の事件が影響していた。それをミミロルは知っている。ピカチュウの事が気がかりだった。
「...。良く分からないけどミミロルが重荷に感じることはないと思うよ。自分の気持ちは正直にいかないと!。」
「正直って...別にそう言う感情は!...。」
ミミロルは言い返すのを止めてイーブイの言う通りにしようと思った。
「そうだね....。私!、頑張るから!。」
そして放課後。ミミロルはピカチュウに気持ちを伝えようと一緒に帰ることにした。
「ピカチュウ!。今日一緒に買い物して帰らない?。」
いつも道理
装いピカチュウに話しかけた。
「悪い。今日は少し遅くなるから!。作った飯は机の上にでも置いておいてくれ!。」
そう言うとピカチュウは走ってどこかに行ってしまった。
「えええ......。」
ミミロルは呆気なく思い渋々一人で買い物へ出掛けた。
「大丈夫!。まだまだチャンスはある!。今日の晩御飯の時にでも思いをぶつけてやるんだから!。」
ミミロルはゲーム感覚でそう思い買い物に向かった。
その夜。ご飯の用意をしてピカチュウの帰りを待っていた。外も真っ暗になり街灯がつき始めた。時間は8時。あまりにも遅い。
「ピカチュウ...。まだかな〜。」
そして9時が回った時ピカチュウが帰ってきた。
ガチャン
玄関の扉が開く。
「あ、ミミロル...。まだ帰ってなかったのか?。」
ミミロルは下を向きエプロンを握りしめていた。そして我慢していたものをぶちまけるようにして泣き始めた。
「遅いじゃない!。どこいってたのよ!。」
ピカチュウはそんなミミロルの姿を見て動揺した。
「どこだっていいだろ......。お前だっていつまでも俺の家にいないでさっさと帰れよ!。」
ピカチュウは自分の言った言葉にハッと思った。言い過ぎたと...。
「ピカチュウなんて...。ピカチュウなんて!、大嫌い!。」
ミミロルはピカチュウをつき倒しピカチュウの家を後にした。
「ちっ!。何だよ!。」
一人取り残されたピカチュウは玄関の扉を閉めた。