37話 巨木の森
俺達は今度こそのんびりと航海し始めたのだった。次の目的地は【巨木の森】。前はソウタが来てあっさり負け行けなかった。
「おい、ミミロップ。後、どれぐらいで着くの?」
「うん、君しつこいよ。これで16回目。さっき聞きに来てからまだ10秒もたってないよ!」
どうやら怒らせてしまったようだ。仕方なくその場を離れほぼ入らない船長室に入る。どっかりとおいてある椅子に腰かける。
「はあ…暇だなあ…エルとかみーんなイチャイチャしてるし。邪魔すると殺されかねないし…」
うだうだうだうだ呟く俺は誰かが入ってくるのに気づかなかった。そいつは俺の背後をとり、手で目を覆う。
「だーれだ」
「んだよ…アブソルか…」
「正解。で、こんな所で何してんの?」
「精神統一」
「嘘だね。ぶつぶつ何か言ってたもん」
「なんだっていいだろ。さっさと出てけ」
「ねえねえ」
「早く出てけってば」
「イーブイには好きな子はいないの?」
「好きな子?…今はいねえな。ま、後5、6年したらできてんじゃねえの?」
「そう…じゃね」
そう言ってアブソルは部屋から出た。その時のあいつの顔はどこか寂しそうだった。
「まだかな…」
そんなことは気にせずに俺は巨木の森に着いたという情報を待ち続ける。
それから、数十分いまだに着いた、という知らせはこずにふてっていた。
すると、勢いよく扉が開きロコンが飛び込んできた。
「着いたよ!」
その一言を待っていたと言わんばかりに鞄を引っ掴み外に出た。
目の前には大きな木が沢山生えていた。
―巨木の森―
「さあ、行こうか」
船から降りた俺達はダンジョンとなっている森へ入っていった。
「んー!私ここ大好き!」
リーフィアが体を伸ばしながら言った。
「そう?私はなんともないけど…」
隣にいたシャワーズ姉ちゃんが言った。
「草タイプだからじゃない?」
「ああー、なるほどー」
エーフィ姉ちゃんの解説に皆が納得する。
「お、階段だ」
サンダース兄ちゃんが階段に向かって歩いて行くと天井から沢山のポケモン達が降ってきた。
「モンスターハウスだ!」兄ちゃんが驚いたように叫ぶ。
「ばか兄貴ー!」
ブースター兄ちゃんが怒声で罵りながら火爪で突進しに行った。
「私達もいくよ!」
ゾロアークが先頭をきって敵陣に飛び込んだ。
「辻斬り!」
爪を横凪ぎに裂いた攻撃はドラピオン、ムクバード2匹の腹部に当たった。一撃で戦闘不能になった2匹を見て残りの敵はわずかに怯んだ。
「ムーンフォース!」
ニンフィアの放った球はブースター兄ちゃんの後ろにいたヌメルゴンの後頭部に直撃し瀕死に追いやった。
「《雷槍》!」
サンダース兄ちゃんは空を飛んでいるバタフリー、ガーメイル、スピアーの群れに放電した。
「ぎゃあああ!!」
後ろからこっそり狙っていたカクレオンにも命中したようだ。
「炎のパンチ!」
火のついた拳で敵を殴り飛ばしたブースター兄ちゃんは飛んできた葉っぱカッターをかわしそちらを向く。
「ロズレイド…」
ロズレイドを見た瞬間、サンダース兄ちゃんが横は入りしてきて敵の脳天に槍をぶっ刺した。
「きぃぃぃぃいいい!」
脳に直接電流を流されたロズレイドはガクリと膝をつき、倒れた。
「横取りはずりいぞ!」
「なら、お前にはあれをやろう」
そう言って指差した方向にはブリガロンが構えていた。
「上等じゃん」
ブリガロンに向かって走り出した兄ちゃんはついでに周りの奴等も蹴散らしていく。
「ガローン!!」
飛んできた種爆弾を難なく避けた兄ちゃんとブリガロンの距離はあと5メートル。
「おらあああ!!!」
サンダース兄ちゃんのボルテッカーにも匹敵する速さでブリガロンの腹に飛び込んだ。
「っしゃあ!」
ガッツポーズを決める兄ちゃんが立っている場所には罠が設置されていた。
「兄ちゃん下見ろ」
俺が呼び兄ちゃんが下を向くと狂ったように笑いだした。
「ポケモン寄せの罠だってさ!沢山来るぞ!」
「はあ!?ふざけんなよ!」
言い終わるやいな大量のポケモン達が部屋に雪崩れ込んできた。
「このばかお兄ちゃんが!」
突如、リーフィアに怒鳴られブースター兄ちゃんは戦意喪失した。
「ちくしょー!なんで、いきなりこんなんなんだよー!」