33話 最強のアイツ
「ミュウ…これを持って神々の山にテレポートするんだ」
「わかったわ」
俺はミュウに2つの宝玉をこそっと渡した。
「あ、あとツタージャ、クチートにそれからビクティニとジラーチも連れてけ」
ミュウはコクリと頷きクチート達の方に飛んでいった。
「明日帰ってこいよ!」
最後に付け加えソウタの方を向く。
「16対1…か。まあ、余裕かな」
ソウタがため息をついた。
「私達を嘗めてもらっちゃあ困るわね!」
シャワーズ姉ちゃんが水弓を放ちながら言った。しかし、矢は一発も当たらなかった。
「どうした?当たんないぜ」
「《氷雪剣》!」
グレイシア姉ちゃんが剣を持ちソウタに斬りかかる。ソウタは降り下ろされた剣を噛み砕くで粉砕し、腹を蹴り飛ばす。
「きゃん!!」
攻撃の地味さとは裏腹に威力はトンでもないものだった。姉ちゃんは甲板に落ち動かなくなった。
「よくもグレイシアを!」
ゾロアークが鋭く尖った爪でソウタをの首を狙う。
「安心しろ。別に殺しちゃあいない。俺は宝玉が欲しいだけだ」
ソウタが攻撃を避け、ゾロアークの腹を頭突く。
「がはっ!」
ゾロアークは壁に頭をぶつけて気絶した。気がつけばあいつは皆が来てから一歩も動いてない。誰かが来るのを待って攻撃する戦法のようだ。
「よくもゾロアークを…!」
ルカリオが怒りに震えている。この先の行動、なんとなく予想がつく。突っ込んでいってゾロアークの二の舞になる。戦力減少を防ぐため飛びかかろうとするルカリオの足を掴む。
「何するんだイーブイ!放してよ!」
「ダメだ。今行ったらお前負けるよ」
「そ、そんなこと!…あるね…」
「大文字!」
ロコンが急に技を撃った。大文字は俺の耳を掠めてソウタに向かっていった。
「竜巻」
ソウタは腕を一振りすると小さな竜巻を出現させた。
「え…?今のは…私の最大火力なのに…」
「十万ボルト!」
「ひぃ!」
今度は黄色い光線がルカリオの頬の掠めた。
「サイコカッター」
念で創られた薄紫色の刃は電撃を切り裂いた。
「こんなもんか…世界を救った英雄は。迎撃戦法はもうヤメだ。本気でいくからお前ら覚悟しろよ」
ソウタの目が妖しくギラつき音速を越える速さで真っ直ぐに突進してきた。
「《スロウ》!」
ソウタがゆっくりになるよう祈るが全くスピードが落ちない。
「《空間箱》!」
エルがソウタを囲む。今回は酸素が入っていないようだ。苦しそうな表情をするが助けることはできない。
「エル、一思いに━━」
ガッシャーン!と空間箱が割れソウタが出てくる。
「なんで…どうして…君は出てこれたんだ?」
「お前、面白い技使うな」
ソウタはエルの質問を無視した。そして、エルの頬を掴み海に放り投げる。
「俺は…お前とガチで戦いたい。だから…2秒間待て」
「え?」
心の中で2カウントする。後ろを振り返ると皆が倒れていた。
「皆になにしたんだ!」
「別に、峰打ちだ。もっと強いかと思えば名ばかりじゃないか」
家族や友達、チームを馬鹿にされて黙っていられるのか?
答えはNOだ。
怒りに身を任せソウタと戦う。次元の違う強さに俺は圧倒され数分後甲板に這いつくばっていた。
「さてと…宝玉を戴きますか」
ソウタがいきなり女子部屋に入ろうとするとアブソルが出てきた。
欠伸をしている辺りから察するに寝起きだろい。
「……寝惚けてんのかな?」
アブソルは再び欠伸をすると部屋に入ってしまった。
「なーんてね!」
ドアが勢いよく開きソウタを弾き飛ばす。
「よくも、私の仲間を傷つけたわね!許さないいから!」
「よせ…アブソル。勝てっこない…」
俺の頼みは惜しくも届かずアブソルとソウタの戦いが幕を開けた。