22話 怒りの理由
ブラッキーはこの部屋から出られないことに気付き脱出法を考え始めた。
「どお?なんかいいアイディアでた?」
ルカリオが呑気に聞く。
「うん…一つだけあるよ。でも、とてつもなく危険な方法なんだ」
ブラッキーは真剣な表情で言った。
「この方法はエルとブースター兄さんの協力が必要になるんだ。まず、エルが僕らの周りだけに酸素入りの空間を拡げて兄さんは空間の外に火炎放射を撃つんだ」
「水素で大爆発しちまうんじゃねえか?」
サンダース兄ちゃんが聞いた。
「それが狙いだよ」
ブラッキーは不安気に呟く。
「その爆発で扉ごと僕らを吹き飛ばすんだ」
「確かに危ねえな。でも俺そういうの大好き!」
そして、作戦決行。
「エル、空間を創って」
「ん」
俺達のいた空間が縮小され部屋は再び水素で満たされる。
「兄さん火炎放射だ!」
「任せろ!」
兄ちゃんが火炎放射を吐き出した瞬間部屋中が炎と黒煙に包まれ凄まじい突風が押し寄せてきた。
「ぐ…うわあああ!!!」
俺達は扉に張り付けられ扉ごと外に出れた。しかし爆発は続いているためのんびりはできない。急いで女子陣の待つ場所に行く。
「ただいま」
「…」
誰も何も返してくれない。
「もしかして怒ってる?」
俺は耳打ちでブースター兄ちゃんに聞いた。
「だろうな。お前だったらグレイシアの怒りは解けるんじゃね?」
「なんで俺が!?」
「だってあいつお前のこと好きだし」
「行け!」
兄ちゃんにドン!と押されグレイシア姉ちゃんの近くまで移動する。
「や、やあ姉ちゃん。怒ってる?」
「…」
結局何も返してくれなかった。
「どうしたらいいかな?」
俺達男子は集まって会議する。
「ルカリオ、ゾロアークにキスしてこい」
エルが提案する。
「どうして僕が!?」
「キス経験者だから」
「行ってこい!」
サンダース兄ちゃんとブースター兄ちゃんに押されルカリオはゾロアークの前に立つ。
「ゾロアーク…いきなりでごめん!」
ルカリオはゾロアークの顔を寄せキスをした。
最初はしかめっ面だったゾロアークだったが時がたつにつれ顔がほころんできている。
「私達が怒ってる理由知りたい?」
キスを終えたゾロアークはルカリオに抱きつきながら聞いてきた。
「うん」
「まずねブースターとサンダースのせいよ」
「俺達!?」
「そうよ、その後イーブイとエルを無理矢理連れてって最後にブラッキーを引き込んだんだから…皆大激怒よ。特にシャワーズとリーフィアが」
「じゃあ…僕達には怒ってないの?」
エルが聞いた。
「でも多少は怒ってるわね…グレイシアが」
「どうしたら許してくれるかな?」
「そーねー。サンダースとブースターはリーフィア達の願い事でも叶えてあげれば?イーブイは…メイド服着てるんだしメイドになりきってみたら?」
「それは断る」
断固拒否だ。嫌々着ているメイド服でなぜ演技を追加せねばならない?
「僕は?」
「エルとブラッキーはあんまり怒ってないみたいよ」
「よかったあー」
エルとブラッキーは安堵の息を漏らす。
「しょーがねえ…行ってみるわ」
兄ちゃん達はリーフィアとシャワーズ姉ちゃんのところに謝りに行った。
「なあ、リーフィア?その…どうしたら俺を許してくれる?」
「シャワーズ?俺を許してくれるか?」
「そうね…」
「そうだなあ…」
その後彼らは酷い仕打ちを受けたのは言うまでもない。
俺は俺で、誠心誠意謝ったら溜め息をと共に赦してくれた。