20話 天気に勝て!
サンダース兄ちゃんが開けた扉の先に広がっていたのは晴れ・雷雨・雪、色々な天気だった。しかもただの天気ではなくそれぞれがニュースで報道されるぐらいの凄さだった。
「こ、これ進むの?」
クチートが進むのを躊躇って言った。
「それしかないだろ」
ブラッキーが先頭をきって進んだ。
「じゃあ俺も!」
俺もブラッキーに続いて部屋に入る。
「じゃあ僕も」
ルカリオが入り、エル、ブースター兄ちゃんと皆が入った。
―雷雨エリア―
ピシャアンッ!ゴロゴロ…
「うーん…雷凄いねー♪」
「はしゃぐな!」
俺は師匠の拳骨を喰らった。物理特化じゃないのに滅茶滅茶痛い。
「ぷあっ!?」
ブースター兄ちゃんが急に後ろに弾かれた。
「どうしたのさ」
シャワーズ姉ちゃんが引っ張り起こす。
「水の塊が飛んできた」
顔にかかった水を拭いながら言った。
「何か…いるな」
サンダース兄ちゃんはパッと《雷槍》を創り出す。頭上で轟く雷のおかげかいつもより威力が凄い。
再び、水の塊が飛んできた。兄ちゃんはそれを雷槍で切り裂いた。
「そこか!」
兄ちゃんは振りかぶって勢いよく槍を投げた。
「きょえええ!!」
悲鳴が聞こえた。近くに行って見てみると変な形をしたポケモンがいた。
「こいつはポワルンだわ!」
ニンフィアが驚いたように言った。
「なんで驚いたし」
ゾロアークが聞いた。
「だ、だって!世界でも数少ない種族だよ!」
興奮して解説するニンフィア。
「ふーん…じゃあ売り飛ばしたら沢山金貰えるんだろうね」
「そうかも」
俺の意見にグレイシア姉ちゃんが賛成してくれる。
「そ、そんなことさせないぞ!」
「お母さんは渡さないんだから!」
別の天気エリアから二匹やって来た。吹雪と灼熱の太陽を引き連れて…
「しゃ、シャワーズ!雨乞い!ブースターとロコンは火炎放射!」
師匠が指示をだし強制的に天気を雨に変え、火炎放射で吹雪は消せないので本体を狙う。
「ああ!僕らの技が!」
「ったく…最近の子供は喧嘩っ早くて困るよ…」
「どの口が言ってんだか…」
「別にお前らの母ちゃん売る気はねえよ。この先にさえ行かせてくれればな」
「いいよ!」
「話の分かる奴で助かったぜ」
俺はふう、と息を吐いた。
「こっちだよー」
ポワルンが扉を開けると階段があった。
「じゃあなー」
手を振って別れを告げ次の階へと昇る。
「今気づいたんだけどさっきの雨で服がびしょびしょなんだけど。脱いでいい?」
「ダメだって言ってるでしょ!」
「あびゃびゃびゃびゃ!!!!!」
今回は俺の体を電流が走った。濡れているためダメージは二倍だ。
「うう…なんで電気?」
「もう一個ボタン作ったの」
ミミロップが色違いのボタンを取り出した。
「いつ…作ったの?」
「さっきの部屋で」
「道具なんてなかったろ?」
「流石科学島よ。壁を壊したら部品やらなんやら沢山でてきたからさあ」
「そんなことして塔は大丈夫なの?」
「現に崩れてないんだし大丈夫でしょ」
「じゃあ、一つ質問」
「なあに?」
「なんで壁の中に部品があるってわかったの?」
「大切なのは見方を変えることよ」
「なんだよそれ…」
「早く行こう!皆に置いてかれるよ」
「あ、うん」
「さて、今度は筋肉の部屋…」
ルカリオが読み上げる。
「どうせ格闘タイプばっかしの部屋なんだろ」
「なら師匠とエーフィ姉ちゃん頼んだ!」
ドン!と師匠と姉ちゃんを突飛ばし部屋に押し込む。
「お、お前後で殺されるぞ?」
サンダース兄ちゃんが心配そうに言った。
「大丈夫だよ!エルが助けてくれるから!ね!」
「え!?僕!?」
「頼んだぜ!」
「無理だよおー!」
「いいか…エル。どさくさに紛れて姉ちゃんの触りたいとこでも触っとけ」
「う、うん///」
エルの顔がみるみる赤くなっていく。
「何を吹き込んだの?」
シャワーズ姉ちゃんがこっそり聞きに来る。
「え?止めるときにどさくさに紛れて姉ちゃんの触りたいとこ触っとけ、って言った」
「あんたねえ…エルも一緒に殺されるわよ?」
「赤信号皆で渡れば怖くない!だからさ」
「はあ…勝手にしなさい…」
姉ちゃんはため息をついてどこかへ行った。