17話 消えた姉弟の約束
「あ、ちょっと待ってルカリオ。ジャックから宝玉を返してもらわなくちゃね」
「はん!やだね」
「返しなさい」
「チッ…ホラよ」
ジャックがツンとそっぽを向くがユキメノコが叱りつけると渋々渡した。
「ありがとうユキメノコ!」
「どういたしまして」
「さあ、ルカリオ!話してくれい!」
「わかった…いくよ。あれは8年ぐらい前の事だったんだ」
―ルカリオ5歳―
「ユキ姉!どこ行くの?」
「私はね、旅に出るの。広い海を見ながらね」
「僕も連れてってよ!」
「ダメよ。リオルはまだ小さいんだから」
「そんなことないよ!」
「うーん…それじゃあ、私と次に会った時一緒に連れてってあげるわ」
「わかった…約束だよ!」
「ええ、約束よ」
僕達はしっかりと約束をした。ついでに指切り元万も。
「ってな訳なんだけど…ユキメノコはいつまでたっても帰ってこなかったんだ。それに僕は旅に出てたし」
「さて、ルカリオ。会えたことだしどう?うちのチームに来ない?」
「ありがたいけど僕はツヨイネと一緒にいるって決めたんだ」
「そう…友達ができたならそれでいいわ。イーブイ君、弟を頼んだわよ」
「任せてよ。ルカリオの面倒ちゃーんとみるからさ」
「さあ、ジャック!行きましょう!」
「いや、船壊れてんだけど…」
「あ…」
ジャックはため息をつき船の残骸を見つめる。
「ねえ、君。」
「え?」
ミミロップがジャックに話しかける。
「この近くにね、造船島って所があって船を直してもらえるんだって」
「君の名前は?」
「あ、ゴメン。私はミミロップ。しがいない発明家でございます」
「ありがとうミミロップ」
「ついでに引っ張ってってあげるよ」
「サンキュー!」
「ではでは…出発!」
「船長、船はどうなるんすか?」
「あ?なんだルージュラか」
「なんだとは酷くないすか?」
「船はコイツらの船に引っ張ってもらう」
「行き先は?」
「造船島。そこで直してもらう」
「ははぁ…成る程っす」
〜それから約一時間〜
「着いたよー」
「おお!ありがとう!」
「そんなことないよ」
ジャックはミミロップとガッチリ握手した。
「じゃあ私達は行くか」
「じゃあなジャック!」
「おーう」
手を振って別れを告げた。
「次はどの島に行くの?」
夕食後ミミロップが地図を見せてきた。俺はうーんと悩み宝玉のありそうな場所を選んだ。
「ヒートアイランド?」
「ま、探索はロコンとブースター兄ちゃんに任せりゃいいだろ」
「君も人使い荒いねえ」
「そうかい?」
「そうだよ。サーナイト以外にはパシリが多いし…」
「え?嘘だ」
「本当さ、例えばリーフィアにリモコン系取らせたり、エルの買い物ついでにアイス買ってこさせたり」
「いや、なんかゴメン」
「私には無限に出てくるジューススタンド作れとかさ…」
「わ、悪かったな!」
「お詫びとしてなんかしてもらおうかな。そして私が代表となって決めますわ!」
「あ、あんまり変なのにすんなよ!」
「はいはい」
初めて見る狂喜に満ちたミミロップの顔。
恐ろしい…
「じゃあ、お休みー」
ミミロップはニヤリと笑って自分の部屋に戻った。
「はあ…俺も寝るか…」
明日一体俺は何をされるのか…
―午前7時―
「ふぁあああ…今何時だ?」
時計を確認すると7時。我ながら早く起きた。
「なんか…変な感じ…?」
今朝は体に違和感があった。首を傾げて外に出ると皆起きていた。
「あ、おはよ」
通りかかったブースター兄ちゃんに挨拶した。
「はよ」
「やあ、ルカリオ」
「ん…おはよグレイシア」
「は?寝ぼけてんの?」
「え?いや、やっぱなんでもない!(今日のグレイシア変だな。いつもだけど!)」
「おう、リーフィア」
「やあ、グレイシア」
「は?」「え?」
「君は何を言っているのかな?俺はイーブイだぞ?」
「え?僕はエルだよ」
俺達は互いに沈黙し、その後ダッシュで洗面所に向かった。
鏡を見ると顔がグレイシアになっていた。
エルは…リーフィアに。
『ぎぃやあああああああああああ!!!!!!』
俺達は急な進化に絶叫した。