16話 タコの生物兵器
「絶対揺れてるって!」
「波でじゃないの?」
ジャックが言うが俺は簡単にに返す。
「何年も海にいたんだぞ!信じろって!」
「うーん…しょうがない姉ちゃん海に潜って見てきてくれない?」
「はいよ」
シャワーズ姉ちゃんはそう言うとドボンと海に潜った。
「…特に何もないわね…」
海中を泳ぎ回り異常がないか確認する。が、何もない。
「…!!」
何を発見したのか彼女は全速力で船上へと戻っていった。
「どうだった姉ちゃん?」
「み、ミミロップ!」
「なに?」
「船の下に怪物がいる!」
「ほらな!だから言ったろ!俺の間違いじゃなかったんだぜ!」
「喜ぶな!」
はしゃぐジャックの頭を師匠が叩く。
「せんちょぉー!!!」
ジャックの船から船員が呼ぶ。
バトルの時は気づかなかったがジャックの船は凄かった。
クルーズ船のようだが海賊らしい旗が不気味さを演出している。さらに、武装も完璧だった。剣、ピストル、大砲(滅茶苦茶デカイ)そしてバリスタ。
それに比べて俺達の船は…木造の船で海賊らしいところと言えば旗と大砲くらいだ。
「あん?」
「し、下に怪物がいます!」
「さっき聞いた」
慌てる船員に対し冷静に返す。
「えっと、あー…船が狙われてるんですよ!」
「はあっ!?なんで俺の船なんだよ!」
「豪華だから…じゃないでしょうか?」
「普通はこっちのボロ船だろ!弱そうじゃん!」
「へへーんだ!」
「うっせー!!とばっちり喰らって大破しちまえ!」
「喧嘩するなー!!」
師匠が叫ぶ。波が高くなり、怪物が波間から姿を現した。
「き、来た!」
突如巨大なオクタンが現れた。
「な、なんだこいつ!?」
なんだなんだ、どうした、と全員がやって来た。
「タコーーーン!!」
巨大オクタンが雄叫びをあげた。
「何その咆哮!?」
「タコーーン!!」
「ダメだこりゃ…理性がぶっ飛んでるわ」
「だったらやることは一つ、だろ?イーブイ」
エルが笑いかける。
「その通り!いくぞ!」
「オクタン砲ネオ発射」
「は?」
さっきのオクタンの声とは違う女の声だった。甲高く、聞く者の気に障るような感じだ。
「タコン!」
オクタンの口から発射されたデカイ玉はとんでもない速度で俺達の船に突っ込んでくる。
「く、《空間回廊》!」
エルのファインプレーによって俺達の船は助かったがかわりにジャックの船に当たった。
「おいコラー!!俺の船がぶっ壊れたじゃねえか!!」
「いや、ごめん。慌てて適当に飛ばしたらそっちに行っちゃったね」
「このガキー!」
「オクタン砲ネオ発射」
「二発目くるぞ!」
「今度は失敗しない…はず!《空間回廊》!」
オクタン砲は空間の輪に呑み込まれ消えた。そして、巨大オクタンの頭に再び出現した。
「ダゴーーン……」
巨大オクタンは波間に消えていった。
「よっしゃ!」
エルがガッツポーズして喜ぶ。
「よっしゃ、じゃねえよ!俺の船がぶっ壊れたじゃねえか!」
「さっきも聞いたよ?それから君の船が沈みかけてるし」
「うわっ!!ぜ、全員コイツらの船に乗れ!」
ジャックの船の船員が乗ってきたがお互いに少数チームのようで、すっぽりと収まった。
「俺の船俺の船俺の船俺の船…」
ジャックは端に座り込んでずーっと嘆いている。
「ったく。船くらいまた造ればいいじゃん」
「で、でも師匠…」
「へぇー。お前にも師匠がいたんだ」
「私はユキメノコ。こんな馬鹿がお世話になるけどよろしくね」
「よろしく、お願いします」
俺はペコリと頭を下げた。
「早速だけど…君はリオルって子知ってるかな?」
「え?リオル?」
「そうリオルよ」
俺の中のリオルには嫌な思い出しかない。
「こんな子なんだけど」
そう言って写真を見せてきた。
「こ、こいつは!」
その写真は笑ったリオルが写ったものだったがどことなくルカリオに似ている。
「ちょっと待ってて」
「ど、どうしたの?」
「すぐ戻るから!」
俺はダッシュでルカリオを連れてきた。
「リオルに似てない?」
「あ、ユキメノコ…」
「リオル…?」
「いや、僕もう進化してルカリオなんだ」
「そう…会えて嬉しいわ!」
「僕もだよ」
再会を喜ぶ二匹だが、俺にはなんのことだかまったくわからない。
「あ、ゴメン紹介するよ。僕の姉、ユキメノコだよ」
「姉弟いたの!?」
「あれ?言わなかったけ?」
「すんげー初耳」
「あはは、ゴメンねー。じゃあ、僕ら姉弟について少しだけ話すよ」