探検隊ツヨイネの航海録












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三章 恐るべし!科学の力
15話 師匠の弟
銀の宝玉を見つけ、次の場所へ旅立とうとする俺達にうるさいオプションがついた。
そう、パチリスだ。
奴はやたらとブースター兄ちゃんに絡む。そして、その現場を発見したリーフィアを止めるのに苦労する。
「なあ師匠。次はどこの島に行ったらいいかなあ?」
「自分で考えるか、あの電気娘にでも聞きなさい」
師匠は俺にツンと返す。
「ええ〜!やだよー」
「なら、自分で考えなさい」
「ケチー…」
ため息をつきながらパチリスに会いに行く。
「ん…?」
ふと目に入った一隻の船はかなりのスピードでこっちに近づいてくる。俺は急いで操縦席に居るミミロップのところへ走った。
「み、ミミロップ!大変だかどうだか分かんないけど船が近づいてくるんだ!」
「へえ…じゃあ望遠鏡で見てみたら?」
そう言って俺に望遠鏡を放り投げた。
「……げ!旗にドクロ書いてあるぜ!」
「う、嘘!?」
ミミロップが俺から望遠鏡をひったくる。
「か、かかかか海賊船だぁ!どうしよう!?どうしたらいいの!?」
「ぅえ〜…と、兎に角全速力で逃げろ!」
「了解!」
「まちな」
「!?」
俺達が後ろを振り返ると海賊が立っていた。俺は敵を睨みつける。
相手の種族は━━サーナイトだった。
どことなく師匠に似ている。ただ、違う点といえば色違いで声が男っぽいが、どちらかと言えば女よりだ。
「あの一瞬で距離をどう詰めた?」
「簡単だテレポートを使った。っと!危ないことするねえ嬢ちゃん」
操縦席に飛び込んできた師匠のムーンフォースを片手で打ち消し、さらにサイコキネシスで迎撃した。
「あ、ぐっ…」
師匠は超能力で首を絞められバタバタと足を動かす。
「やめろ!」
「やめてほしけりゃ、銀の宝玉寄越しな」
「な!」
「どうした?仲間の命がかかってんだぞ?」
「くそっ…」
俺は仕方なく宝玉をサーナイトの手に乗せた。サーナイトが指を鳴らすと師匠は解放され激しく咳き込んだ。
「ほー…中々綺麗じゃねえか。じゃあな」
サーナイトが立ち去ろうと踵を返した瞬間、殴りかかった。
「不意打ちはよくないぜぇ…坊や」
完全に虚をついたと思ったのに足の裏で止められた。
「宝玉を返せ!」
「やだね」
サーナイトは振り向いて蹴ってきた。俺はバク転で回避し同時に波動弾を撃つ。
効果がないのはわかるが牽制がわりに、な。
「いい根性してんなお前。世界の海に名を轟かせてるこの大海賊ジャック様に攻撃するなんてな!」
「アンタこそいい根性してるぜ。ダークマターを倒した英雄イーブイ様の物を盗むなんてな!」
「カギが調子のってんじゃねえ!」
大海賊ことジャックは大量のサイコカッターを飛ばしてきた。
「《スロウ》!」
技が遅くなるように念じた。だが、それでも技のスピードは速く、とてもかわしきれる量じゃない。
「英雄か…もっと楽しい戦いになるかと思ったけど残念だぜ」
しんみりとした口調でジャックは言った。そして回し蹴りで踵が当たった。
「ぐっ!!」
壁に激突し、意識が朦朧とする。
「じゃあな。弱い英雄さんよ」
「待て!」
ジャックの首に後ろからブースター兄ちゃんが《火爪》を装備してしがみついている。
「俺の弟の腹を蹴っといてじゃあな、はねえよなあ」
サンダース兄ちゃんも《雷槍》を構えて立っている。
「そうね。あんなんでも弟なんだから」
シャワーズ姉ちゃんは《水弓》の矢を引き絞っている。
「イーブイに謝って宝玉を返してここで死ぬか、汚い肉片になって死ぬか選べ」
ブースター兄ちゃんが凄みのある声で囁く。
「3……2……1……ぜ…」
「待って!ジャックは、ジャックは私の弟なの。だから…殺さないで!」
師匠がいつになく弱気になっている。
「サーナイト…?お前なのか!?」
「姉にお前なんて言うな!」
「ふぅん。サーナイトこんな所にいたのか」
「どこにいようが私の勝手でしょ」
「その性格は変わってねえな」
「前からあの性格なのかよ……」
敵ではないことがわかったので話しに参加する。
「あんた、宝玉集めてどうするんだい?」
「どうってなあ…莫大な富だぜ? 海賊たるものお宝のある場所には必ず参上だぜ。 そこのお前…えーっと名前なんだっけ」
「イーブイだ」
完全に敵意は消え去り友達のようになってしまった。
「こうこうこうでな?こんなことがあったんだよ」
「師匠って面白いね!」
「だまらっしゃい!」
師匠が顔を真っ赤にして怒る。
グラグラ…
「ん?揺れてねえか?」
ジャックが首を傾げる。
「船だから当たり前だろ?」
「いや、地震みたいな…」
「大丈夫だって!ただの勘違いだよ」
「だと…いいんだけどな…」
ジャックは再び首を傾げた。
この時俺は揺れたのが気のせい出なかったことを思い知らされる。

だんご3 ( 2016/08/14(日) 17:31 )