14話 vs宝玉の守護者
―前回のあらすじ―
銀の宝玉がある場所までツヨイネ一行はパチリスについていった。
宝玉を見つけたが守護者のメタグロスに勝負を挑まれた。挑戦を受けたロコンは勝てるのか!?
「気を付けろよ。ロコン」
「わかってるわ」
ロコンはコクリと頷いた。
「宝玉は渡さんぞ!」
メタグロスが吠えた。周辺の空気がビリビリと震え、メタグロスの強さを物語る。
「ふふ…私と死のワルツを踊りましょ♪」
「俺は踊りなんかしないぞ!」
「いいから、いいから」
ロコンは妖しく煌めく鬼火を直径一メートルのサークル状に並べ、そこから炎の渦が展開した。
「な…んだ…?これは?」
メタグロスは目を点にして技を食い入るように見つめた。
「これが私の新技!“黄泉の円舞曲”《ハデスワルツ》!!」
炎で出来た真紅のドレスを着た姿は綺麗だった。
「さあ!いくわよ!」
ロコンが一歩踏み出すと炎の渦も動いた。
「ほーら…どんどん近づいてくよお…」
「ひぃっ!や、やめてくれ!」
「呆気ないなあ」
ロコンが腕を一振りすると炎がメタグロスを包み込んだ。
「おしまーい」
ロコンがニヤリと笑う。
「…なんてな」
メタグロスの声がした。空耳等ではない。炎の中から平然とした表情で出てきた時は俺もびびった。
「効果は抜群の筈なのになんで!?」
「メガ進化だ!」
メタグロスは雄叫びをあけた。その衝撃波でロコンは圧倒される。
「コメットパンチ!」
メタグロスの技がロコンの腹にめり込む。
地面に落ちた瞬間、渦は消えロコンは動かなくなった。
「やっぱりね。僕がいくよ」
ルカリオが皆に聞こえるぐらいの大声で言った。
「まだ戦える!」
バッ!とロコンが起き上がり再び炎の渦が出現する。
「頑張って…」
ルカリオが小さく呟いた。
「ブースター!炎技!」
「あいよ!」
兄ちゃんは大きな火炎放射がロコンに当たり炎の渦が激しさを増す。
「よくも腹を殴ったわね!許さないんだから!《ファイアプリズン》!」
火がメタグロスを包み動けなくする。
「アンタの腹はどこだかわからないからそのバツ印でも壊すわ!」
ロコンは大きく振りかぶり炎のパンチを叩き込んだ。一撃、二撃と何度も何度も殴る。初めはガキンと音がするだけだったが二桁を越えたあたりから印の破片が飛び散るようになった。
「こ、降参だ!やめろ!」
メタグロスは戦意喪失し、負けを認めるがロコンは殴るのをやめない。
「タアッ!」
ロコンが渾身の力を込めて殴った。ひときわ大きい破片が飛びヒビが入った。そして、派手な音をたてて砕けた。
その瞬間メガ進化はとけ、通常に戻った。
「これは貰ってくから」
ロコンは気絶したメタグロスの近くに落ちていた宝箱を取り蓋を開けた。
「わぁ…」
蓋を開けたロコンはその場で硬直した。
「どれどれ」
俺達もロコンの肩越しに宝玉を覗いた。
「へぇ…これが宝玉かあ」
エルが呟く。
「思ってたほどデカくないな」
ブラッキーが宝玉を手にとって言う。
「これで一個目の宝玉ゲットだな。案内サンキューなパチリス」
ブースター兄ちゃんがパチリスの頭を撫でていった。
「意外とあっさりだったね」
リーフィアがパチリスを殺しそうな勢いで睨む。
どんだけ兄ちゃんを取られたくないんだよ…
「そういえば、バツ印の割れたメタグロス生きてるのかな?」
ゾロアークがしゃがんで突っつく。
「僕、去年ディアルガの胸の宝石壊したけど今も元気みたいだよ」
「そ、なら大丈夫でしょ」
「いつまでもこんな所にいないで帰ろうよ」
ツタージャが言った。
「じゃあ師匠、エーフィ姉ちゃん。テレポートよろしく」
「はいはい。皆掴まってー」
とりあえず皆無理矢理掴まって村に帰った。
「さて、用も済んだことだし早速次の島に行こうか」
「イーブイ、君はもう少しゆっくりしてく気はないのかい?」
ルカリオが残念そうに言う。
「さっさと行かなきゃ他のやつに宝玉取られちゃうよ」
「アタイもついてく」
『え?』
唐突な一言にその場の全員が聞き返した。
「だから!アタイはコイツらについていくの!」
「お前みたいなお嬢ちゃんには危ないぜ」
ブースター兄ちゃんが茶化す。
「うるさい!ついてくったらついてくの!船長は誰!?」
「俺だけど」
「なあ、こんなかわええ子置いてったら損だよ!いいでしょ?」
「俺はいいけど皆が…」
「アタイがいれば宝玉探しもぐっ、と楽になるから!」
「いんじゃね?宝玉が見つけやすくなるならさ」
サンダース兄ちゃんが珍しくマトモなことを言った。
「じゃあ、いいよ」
「サンキュー!」
パチリスは船までの道を駆け上がった。
「パチリスを頼みましたぞ」
村長が真剣な眼差しで俺を見る。
「任せといてよ。俺達は世界的にも有名な探検隊だ。ヘマは少ないぜ」
「わかりました。 パチリス!迷惑かけるんじゃないぞ!」
「わかってるよじいちゃん!楽しんでくるから!」
「じゃあ俺達も行こっか」
俺達は船に乗り込んだ。