13話 宝玉を求めて
村長も一目見たいと着いてきた。銀の宝玉がある場所はパチリスによると、あんまり険しくはないらしい。逆に緩やかな山の奥にあるんだとか。
「そういえば村長とパチリスって祖父と孫なのか?」
道中、ブースター兄ちゃんが話題作りに聞いた。
「まあ、そうっちゃ、そうだね。父さんと母さんはアタイが小さい頃に死んじまったから…村長が親になってくれてさ」
「ならなんで父さんって呼ばないんだ?」
「えー?だってあんな年取ってんだから父さんよりもじいちゃんだろ」
「村長はじいちゃんって呼ばれてどうなんだ?」
サンダース兄ちゃんが見上げながら聞く。
「そうですな…前は抵抗がありましたが今はもう慣れましたよ」
「後どん位?」
リーフィアがパチリスに聞く。
「まだまだだよ。疲れたんなら村にでも戻ってろ」
「そんなあ!ここから村まで1時間はあるよ!それにこんな山道迷ったらどうするの?」
「一本道だったろ!」
パチリスが怒る。
「誰だよ。こいつをこんなに甘やかしたのは?ブースター…あんたか?」
その通りだ、と思ったが口には出さない。
「いや、俺じゃない」
『はああああ!?』
ツヨイネ一同驚いた声をあげる。
「甘やかしてんのはお前だろ!」
サンダース兄ちゃんのチョップが頭に入る。ツッコミのつもりだろうがブースター兄ちゃんは頭を抑えてうずくまった。
「ぐぐぐ…確かに大半は俺かもしれない。けど!皆だって…」
兄ちゃんはここで口をつぐんだ。シャワーズ姉ちゃんが《水弓》を構えているからだ。
「もう一度言ってみな。皆がなんだって?」
「あ、いや、すいませんでした…」
「わかればよろしい」
姉ちゃん怖ええ…
姉ちゃんに対する率直な感想だった。
「アンタの姉ちゃん怖いな」
パチリスがブースター兄ちゃんに耳打ちする。
「だろ?もっとヤバイ時もあるからな…」
「マジ?」
兄ちゃんはニヤリと笑い頷いた。
それから1時間。緩やかな山道でもさすがに疲れたのか皆無言だった。
―山の奥地―
「あ!そろそろだ!」
パチリスが走り出した。疲れてるのにそんな体力がどこにあるのか…?
「ここだよここ!いやーなにも変わってないなー!」
パチリスはキョロキョロ周りを見ながらはしゃぐ。
「で?宝玉はどこじゃ?」
「んっとね…確か…ここだったかな?」
草むらに手を突っ込んでがさがさと探す。
「あったよじいちゃん!」
パチリスは薄汚れた宝箱を見つけ、こっちに放り投げる。
「うわっ!宝玉投げんな!」
危うく落としそうになるがエルのファインプレーによって宝箱は無事だった。
「さてさて!宝玉とのご対面だ!」
エルが爪で箱の鍵をこじ開ける。
「待て!」
俺達が箱を開けきる前にどこかから声が聞こえてきた。
「だ、誰!?」
ミミロップが自慢の耳をピクピク動かして敵の位置を確認する。
「!! 皆上よ!」
俺達は間一髪のところで横に飛ぶ。
「痛てててて…誰だよ?」
頭を擦りながら聞く。
「俺はメタグロス!宝玉の守護者だ!」
「誰?アタイがこれ見つけた時アンタいなかったよね?」
「ふん。最近派遣されたのだ。悪いがそれは返してもらおうか」
「悪いけど私がさせないわよ」
バン!とロコンが俺達の前に立ちはだかる。
「え〜?ロコン大丈夫かよ?」
「私は不幸の塔で殺されて以来全然戦ってないのよ!」
「ブランクがあるだろ?」
「多分大丈夫!」
「まあ、負けたら僕が行くからね」
ルカリオがロコンに言った。
「勝手にしな。私は負けないから」
「フラグ立て乙」
エーフィ姉ちゃんが手を合わせて言う。
「ふん!絶対に勝つんだから!」
「貴様ごときにこの俺が倒せるかな!」
宝玉をめぐってロコンvsメタグロスの戦いが幕をあげた。