10話 訳ありの島へ上陸
遂に見つけた最初の島。浜辺に船を止め、船を降りる。
「うー…やっと着いたぞー」
俺は腕を伸ばし伸びをする。
「着いたはいいけど、まずはどうする?」
ルカリオがキョロキョロと周りを見ながら言う。
「んー…村長らしき人物の家に行かない? 情報収集的な感じでさ」
ゾロアークが言った。
「あ、それいいわね」
師匠が同意する。
「でも、そんなに簡単には見つから…」
ニンフィアが否定的な意見を言うグレイシア姉ちゃんの肩をトントンと叩きある方向を指差す。
「あれじゃないの?」
指の指し示す方向には立派な城が聳え立っていた。
「周りをよく見ないで判断するのはやめようか」
ブースター兄ちゃんが姉ちゃんの頭をワシャワシャと撫で馬鹿にする。
「ぐぐ…///死ねえーー///!!!!」
姉ちゃんは赤面して兄ちゃんを海にぶん投げる。
「おわあああ!!!」
飛んでいく兄ちゃんをリーフィアが蔓の鞭で捕まえ陸に引き戻す。
「さ、サンキューリーフィア」
「どういたしまして!」
「ナンデ助ケタアアァァァ!!!」
「お、お姉ちゃん顔が怖いよ」
「はは、馬鹿どもはほっておいてさっさと行こうぜ」
サンダース兄ちゃんが歩き出す。村の中はひっそりとしていて人気がない。
「なんかおかしくない?」
ロコンが首を傾げて呟く。
「そうね…誰もいないわ」
アブソルがコクリと頷いた。
「着いたわ」
エーフィ姉ちゃんが足を止め、城の前に立つ。
「よし、行こうか」
俺が城の扉を開けた。するとその先には小さな家が建っていた。
「え? まさかこの城って…」
「ハリボテかー!!」
ツタージャの前置きに続きゾロアークの声が響く。直後、家のドアが開いて誰かが出てきた。
「はじめまして」
俺はペコリと頭を下げる。
「この島は危険ですぞ。早めに立ち去られたほうがよろしいですぞ」
「あのーすいません。あなたは誰ですか?」
「儂は村長のアバゴーラじゃ。用件は何かの?」
「あ、宝玉について何かしってますか?」
「ああ、また探検隊の方々ですか」
「また、ってことは来た奴がいるんですか?」
「その通りじゃ。こっちはこっちで忙しいのに」
「で、宝玉はこの島の中にあるんですか?っていうかもう取られちゃったんですか?」
「いいや、まだじゃ。この島の問題を解決してくれたら宝玉について教える、という条件をだしたが内容を聞いた瞬間全員が口を揃えて『無理だ!』と言った」
「その問題、俺らが解決しましょうか?」
「おお、本当か!? それはありがたい!いいか言うぞ…」
俺達はゴクリと唾を飲み込んだ。
「そう、事の起こりは今月の初め、満月の夜中にギャラドスが来て村の娘を一匹さし出せ、と言ってくるのじゃよ。最初は勿論断って討伐隊を送ったが皆食われてしまった。仕方なく娘を一匹奴にさし出すことになってしまったのじゃ」
「なるほど…」
「どうじゃ? 引き受けてくれるかの?」
「ああ、いいぜ」
この時俺は、メンバーの中から女子を選べばオッケー、と思っていた。だが、現実ではそう、うまくいかない。
「よし、皆誰が囮になるか決めるよ。まあ、女子に頼もうかな」
この一言で普段は温厚なアブソルを怒らせることになった。
「男子が行け」
アブソルが俺の頭を掴んで力を込める。とても十四歳の女の子とは思えない握力だ。それに付け加え、顔は笑っているが目が笑っていなかった。
こんなとこで怯んではリーダーとしての威厳がなくなる。
「いーや、女子「アンダッテエ?」
「ご、ごめんなさい!」
アブソルの凄みの聞いた声でビビってしまい謝ってしまった。
「しょうがない…男子がやろう」
『おい!』
男子陣から罵声が飛んでくる。
「だって、アブソル怖いんだもん」
「なら俺が行ってくるぜ」
サンダース兄ちゃんが女子陣に近づくがすぐに引き返してきた。
「兄貴どうした?顔が真っ青だぞ?」
ブースター兄ちゃんが心配そうに兄ちゃんの顔を見つめる。
「アブソルの目の中にドクロが浮いてた…」
「確か、ギャラドスは『水、飛行タイプ』…」
ブラッキーが急に喋りだし俺達は吃驚した。
「電気タイプの技を受けると四倍のダメージ」
話し終えたのかサンダース兄ちゃんの方を向いた。
「僕はサンダース兄さんが適正だと思うな」
パチンと指を鳴らしてルカリオが納得する。
「確かにサンダースなら弱点をつけるね」
「兄ちゃん…頼んだぜ」
俺は兄ちゃんにグッと親指を立てた。
「ふざけんな!第一声でバレるわ!」
「風邪引いたとかで誤魔化せば?」
「おい、シャワーズ。何故ここに来た?」
「村長さんから決まった方はこれを着せといてくだされ、って服を渡されたの。だけど兄さんは絶対に嫌がるだろって思って無理矢理着せに来たの」
「嘘だ…やめろ!やめてくれえええ!!」
サンダース兄ちゃんが嫌がる服とはいったい?