6話 ボロ負けコンビ
―前回のあらすじ―
船完成まで後わずか、というところでモーターを盗まれてしまった!
モーターを取り返すためにツヨイネは廃工場に行くのだった。
「ん…皆準備できたね。行こうか」
俺がドアを開けて外に出る。
「で、廃工場ってどこなの?」
ゾロアークが呟く。
そういえば俺も場所なんか知らない。
「誰か知ってるの?」
「え?あんたが知ってるんじゃないの?」
グレイシア姉ちゃんがあれ?っていう顔をした。
「いや?サンダース兄ちゃんが知ってんでしょ?」
「あ?知らねえよ。ミミロップが知ってんだろ」
「え?私も知らないよ?」
「私知ってる!」
『ええ!?』
リーフィアの発言に全員が驚いた。
「なんで知ってんだ!?」
ブースター兄ちゃんが怒った感じで聞く。シスコン抜きのマジな心配だ。
「探検ごっこでニンフィアと行ったの」
「ほー、ニンフィアもねえ」
ブラッキーもニンフィアを叱りつけそうな口調で言った。
「ま、まあまあ理由はどうであれ早速行こっ!」
クチートがなんとかなだめる。
―廃工場―
「へえ…ここが廃工場か。かくれんぼしたら楽しいだろうな」
エルがニヤッと笑った。
「確かに面白そうだな。終わったらやろうぜ」
「君達はもっと緊張感を持ったらどうだい?」
ツタージャに注意された。年下に言われるとイラッとくる。
まあ、俺が悪いのはわかるけどさあ。
「ようこそ!我がアジトへ!」
不意に頭上から声が聞こえ吃驚する。そしてスタッ、と降りてきた。
「ペルシアン…!」
目の前に姿を現した人物を睨み付ける。
「久し振りだなイーブイ」
ペルシアンが笑う。
「何がおかしい?」
「だって、こんなにも簡単に罠に掛かってくれるんだもの」
レパルダスが俺達の背後に降り立つ。
「罠ってなんだ?」
俺の質問に答えるかのようにパチンと指をならした。突如俺を除く全員が檻に閉じ込められた。
「皆!」
「安心しろよイーブイ。こんなのすぐにぶっ壊すからよ」
ブースター兄ちゃんが最近完成したばかりの《火爪》で檻を壊そうとした。
バリバリバリバリバリ!!!
異常なほどの電流がブースター兄ちゃんを襲う。
「うぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!!!!!」
「ブースター!」
弾かれた兄ちゃんをエーフィ姉ちゃんがキャッチする。
「サンキュ、姉貴…」
兄ちゃんはガクッと気絶した。
「電気ってこたあ俺の出番だな!」
サンダース兄ちゃんが《雷槍》で檻の格子を凪ぎ払った。
再び電流が流れ兄ちゃんはニヤッとするがすぐに苦痛の表情に変わった。
「兄さん!?」
「がはっ!」
シャワーズ姉ちゃんが兄ちゃんをキャッチする。
「どういう…事だ?俺の特性は蓄電…電気を吸収するはずだぞ…?」
「くくく…電気を吸収って言っても体力回復のためだろ?体力が満タンの時に電気を吸収したら、体が吸収しきれなくなりダメージを受ける」
ペルシアンが説明する。
「くそっ!皆を離せ!」
「そうねえ…私達に勝てたらいいわよ!」
レパルダスが引っ掻くで突進してくる。それをバク宙で回避する。
「《フォーリットビーム》」
ペルシアンの額から発射されたビームが俺の腹に直撃する。そして、後方に大きく吹っ飛び鉄パイプの山に激突する。
「くっ、中々いいコンビネーションじゃんか」
鉄パイプを手に取り立ち上がる。
「そりゃどうも…《コントロール・アイ》!」
「二度も同じ手をくうか!」
《シフトチェンジ》でペルシアンと入れ替わりレパルダスを上空へ打ち上げる。パイプをブーメランのように投げ、レパルダスにヒットさせる。
戻ってきた武器を華麗にキャッチし、落ちてきた標的に垂直に降り下ろす。
「がはあああ!!!」
「レパルダス!」
ペルシアンの叫び声が響く。
「悪いな。相方は倒させてもらった」
「てめえ…よくもレパルダスを!」
「安心しろ。殺しちゃいない。峰打ちだ」
なんか…俺が悪役みたいだな…
「おっと!」
ペルシアンの破壊光線を横に飛んでかわす。
「そんな威力の技はここぞって時に使わなくちゃ」
ペルシアンの首に鉄パイプを叩きつけ気絶させる。
「終わったぜー!」
ペルシアンから鍵を取り師匠に投げ渡す。
カチャリ、と音がして皆が降りてくる。
「へー。あんた二足歩行が出来るようになったんだ」
ロコンが感心して言う。
「まあね…剣とか使いたくなるし。それと視点も高くなるしね」
「そんなことより!モーターはどこ!?」
ミミロップがキョロキョロ辺りを見る。
「ここだよ」
誰かがドスの聞いた声で答えた。
「あたしはブニャット。怪盗Cat’sの団長さ」
「早く返して!」
ミミロップの飛び蹴りを巨大な腹で弾き返した。
「乱暴な娘だねえ。こんな高性能なモーターは売って金に変えちまうのさ」
そう言って俺達の目の前にモーターをちらつかせた。
「余裕こいてられのも今のうちだぜ」
「言うねガキが」
「あんたこそね。おばさん」