5話 盗まれたパーツ
(語り手:三人称ver)
「ふあ〜…」
現在の時刻は午前3時。ツヨイネ専属の修理屋兼、戦闘メンバーのミミロップは眠い目を擦って船作りを再開する。
「ふう…やっと4分の3終わったよ。後は、組み立ててこのモーターを着ければ完成ね。見積もって…1〜2日かしら?」
ミミロップは立ち上がってコーヒーを飲みに自室から出た。
「はあ…頭がスッキリするなあ」
部屋に戻りながら、彼女は船の形を考えていた。
「うーん。無難に海賊風のやつでいいかな」
形が決まり意気揚々と部屋に帰ると机の上に置いてあったモーターが無くなっていた。一瞬、放心状態になりすぐに探し始める。
「ない!ない!モーターがなーい!!」
「うるせえぞ…」
サンダースが欠伸をしながらやってくる。
「どーしよう!サンダース!」
「何がだよ」
「モーターがないの!」
「よく探したのかよ?」
「探したよ!机の下、引き出しも全部!あったのはこれだけ…」
そう言って一枚の封筒をだした。
「それ、中見たのか?」
「え?見てない」
「ったく。見ろよな」
サンダースは悪態をつきミミロップから封筒を引ったくり中を確認する。
「手紙だな…何々…」
サンダースは手紙を読み始めた。
『モーターはいただいた!返してほしけりゃ食品廃工場に来な! 怪盗:PL』
「盗まれたなこりゃ」
「そんなあ!なんとかしてよー!」
「追伸があるぜ。イーブイを連れてこい、だと」
「イーブイ?あの子は今の時間帯は絶対に起きないし…はあ、私もう寝るわ。今日の朝、作戦会議しましょ」
「だな」
ー朝 午前10時ー
(語り手:イーブイ)
「ぐぅ…」
「…ぇ…きて」
誰かの声が聞こえる。多分、ミミロップ。
「…きて…起きてってば!」バチンと頬に平手打ちが入った。
「痛い!」
「おはよ」
ニッコリと笑いながら挨拶をする。ミミロップを見て俺も挨拶を返す。
「来て。会議があるから」
「会議?」
「そ、怪盗についての」
「? わかった」
そんなわけで俺はリビングに行った。既に皆が集まって話していた。
「あ、来た来た。ここにおいでよ」
ロコンに手招きされ、そこに座る。
「ZZZ…」
ロコンの肩に頭を置き心地よい温かさを感じながら再び眠りにつく。
「どうしよう…寝ちゃったよ」
ロコンが呟く。
「こーやって起こすんだぜ!」
エルが俺の鼻と口を摘まんだ。
「ぐぐぐ…むぐぐ…ぷはっ!」
苦しくなり目を覚ます。そしてエルをキッと睨む。
「おはよう」
「で?なんの会議?」
「盗まれたパーツの会議」
「手紙があってそれにイーブイを連れてこい、って書いてあったんだよ」
サンダース兄ちゃんが言った。続いてアブソルが言う。
「差出人誰?」
「それがねえ…怪盗PLって奴なんだけど心当たりある?」
「うーん?わかんな…!」
「なんかわかった!?」
パッとミミロップの顔が明るくなる。
「いや…やっぱ勘違いだった」
「そう…」
すぐにしゅんとうつむく。
実は思い当たるふしがあるんだよ。
Pがペルシアン。
Lがレパルダス。
おそらく怪盗Cat’sの仕業だろう。
「ま、行ってみなきゃわかんないだろ。行ってみようぜ!その食品廃工場とやらに」
サンダース兄ちゃんが立ち上がって言った。
「よし!行こー!」
ミミロップも拳を突き上げて言った。
「しょうがない…行きますか」
俺も立ち上がって準備し始めた。
ペルシアンと戦うために。