4話 ブースターの必殺技修行
(語り手:ブースター)
「わはは!どーだ!俺は強いんだぞー!」
真っ白な世界で俺は手を天に掲げて叫ぶ。
「まだまだね」
「む?だれだ…げ!兄貴に姉貴!」
「なーに強くなったと勘違いしてんだ。お前はこんなの造れるか?」
兄貴はそう言うと雷の槍を造り出した。続いて姉貴も水の弓を造った。
「これを受けてもまだ自分が強いなんて言えるかしら?」
弓を引き絞り大量の矢を放ってくる。
「ぎゃああああ!!!」
姉貴と反対方向にダッシュで逃げるが矢の速度に敵うはずがなく胸に刺さった。
「マジ…かよ」
そして、俺の意識は暗い闇の底に沈んでいった。
「っ!!」
ガバッと体を起こし周りを確認する。どうやら自分の部屋のようだ。となるとさっきのは夢…ということになる。
「…なんちゅー夢だ。でもあの槍と弓マジで造れんのかな」
うーんと唸る。
「考えてもしょうがねえな。レッツトライ!」
チラッと時計を見ると時刻は4時。布団に入ってから2時間しかたっていない。
家の外に出たはいいが武器の形が思い付かない。
「うーん…どんなのにしようかなぁ…」
兄貴が槍で姉貴が弓…となると他のを考えるしかない。
「剣はグレイシアが使ってるしな。そーだ!ゲームやればいいんだ!」
ロールプレイングゲーム。略してRPG。様々な武器が登場するため、形状を考えるのに最適である。
そして、プレイすること30分…
「ま、最終候補としては、《爪》か《金槌》だな。炎の爪…ドラ○エにあったな。炎の金槌、聞いたことないけど使いにくそうだ」
「とりあえず練習だな」
再び外に出て形を造り始める。最初は金槌から。
「ん…ぐぐぐ…」
目を瞑り精神を集中させる。頭の中で燃え盛る金槌をイメージする。
すうっ、と手に何かを握っている感触がある。
「っし、できたな」
目を開け確認する。
「へえ、中々じゃん」
ブンブン振り回し使いやすいか考える。
「うーん…なんかいまいちだ…形はいいけど重すぎるな」
続いて爪の作成をする。
自分の爪が尖って、熱く伸びていることをイメージ。
「こんなもんか?」
見るからに危ない爪を見て呟く。
「よし、いくぞ」
爪を左右に切り払いアッパーのように切り上げる。
「おっ!これすげえ使いやすい!決めた、これでオリ技完成だ!」
「なーに一匹でこんな朝っぱらから叫んでんだよ」
イーブイが目を擦りながらきた。
「オリ技の練習だ」
「へー。俺で試してみろよ」
イーブイが挑発するように言う。
「後悔するなよ」
「戦って後悔したことなんかないね」
「いくぞ!」
爪をイーブイに向けて振る。さっ、とジャンプでかわされたが予想通り。アッパーで追尾する。
「熱ちい!」
イーブイが顎を押さえて喚く。
「火傷の効果つきなんかずりいぞ!」
「戦いはなんでもありだろ?」
「ぐぬぬ…そうだったな!」
それから3分程俺達は兄弟喧嘩のようなことをしていた。
「あー…疲れた」
ドサッと地面に倒れこむ俺を見て呟く。
「技名どうすんの?」
「ん?あー、そういや決めてなかったな…《イフリート・クロウ》なんてどうだ?」
「厨2病みたいだぞ。シスコンの上に厨2病も重ねるのか?」
「じゃあ、《火爪》?」
「蹄?ギャロップとかポニータが着けるオシャレじゃん」
「ちゃうわ。火に爪で《火爪》だ」
「ああ、なるほど」
「いやーまさか2時間程度で完成するとは」
「でも完璧に使いこなせるようになるまで修行が必要だよ。頑張れ」
「ああ…頑張るよ」
こうして俺、ブースター専用の技が完成したのだった。