2話 猫の怪盗団
「ただいま!」
家に着いた俺はミミロップの部屋に飛び込んだ。
「あら、イーブイ。なんの用かしら?」
ミミロップは科学者風の白衣を纏っていた。
「船を作ってくれ!」
「え?何?」
俺の急な頼みに驚いている。そして聞き返してきた。「なんて言ったの?」
「船作って!」
「船?なんで?」
「これこれこういう訳で…」
ギルドで聞いた事を全てを話した。
「成る程…うん!任せといて!」
ミミロップは自分の胸をトンと叩いた。
「じゃあ、任せたよ!」
「うん!」
―夜 7:00―
ジリリリリリリン!ジリリリリリリン!
「はいもしもし。イーブイですが?」
「こんばんは。私は警察のウィンディだ。」
「はあ、ご用件は?」
「うむ、そなたらの腕っぷしの強さを見込んで頼みがある」
「頼み?」
「君も知っているだろう?《怪盗団Cat’s》の事を」
「知らねっす」
「君はニュースを見ないのかね?」
「ニュースどころかテレビじたい見ないから!」
「ううむ…まあよい。今夜12時にポケ美術館に来てくれないか?Cat’sから予告状がきてな」
「予告状…?」
「世界遺産である心の雫を盗むと書いてあるんだ。君達がいてくれると心強い!頼む!来てくれ!」
「俺はオッケーだけど皆がねえ…」
「報酬はたんまりだす!」
「報酬?何をくれるんだ?」
「サマーランドの無料チケット。しかも全員分だ」
「のった。なんとか皆を説得する」
「有り難う。では、今夜12時に」
「了解」
「皆聞けい!」
声を張り上げ皆を呼び集める。ぞろぞろと皆が集まってくるがミミロップがいない。
船作りか、と思い話しを始める。
「えーっと。今夜の12時にポケ美術館に行くことになったよ」
「なんで?」
絶対にくるなっていう質問がニンフィアから来た。
「警察に怪盗からお宝を守ってくれと頼まれた」
「で?その宝は?」
ルカリオが少し興味がありそうに言った。
「心の雫だ」
「心の雫ってラティアス、ラティオス専用の道具じゃなかったか?」
美術の知識は乏しいと思われるブースター兄ちゃんが解説する。
いや、そもそも心の雫って美術品か?
「各自12時までゆっくり休むよーに。では、解散」
―美術館 12:00―
「おーい!ウィンディ!」
「おお、来てくれたんだな」
ウィンディが俺の手を引き千切らんばかりの勢いで振った。
「痛だだだだ!!!」
「心の雫ってどこ?」
シャワーズ姉ちゃんがキョロキョロ周りを見ながら聞く。
「それならここだよ」
「ラティアス!」
俺の声に反応してこっちを向く。
「イーブイ!会えて嬉しいよ!」
ラティアスは俺を絞め殺さんばかりの力で抱き締めた。
「ちょ、マジ、ギブ!」
「あ、ごめん」
てへへ、と舌を出して笑った。
「おい、話しがある」
ラティオスが俺の腕を引っ張って部屋の隅に連れていった。
「なんだよ?」
「俺の妹に近づくな!」
「ラティオスは今何歳だよ?」
「1200歳だ」
「100で割ると…なんだよ2歳しか俺と変わんねえじゃねえか。シスコンもいい加減にしとけ」
「ぐぬ!ラティアスは俺がいないとダメなんだ…」
ラティオスの頬を涙が伝う。
「うわ、キモッ!妹の事でなくとかマジでキモいんだけど」
「そんな訳でもう、妹には近づくなよ」
「はいはい。了解ですよ」
皆のところに戻ると真っ先にラティアスが来た。
「あいつに変なことされなかった?」
「うん。大丈夫」
「よかったぁ。あいつ、私の男友達を全員嫌ってるのよ」
(わかるわぁ…)
心の中で納得する。
「さあ!そろそろ来るぞ!全員配置につけ!」
ウィンディが叫び、周りにいた警官達がささっ、と動いた。
怪盗Cat’s…一体どんなやつらなのか?
少し楽しみである…