8話 船完成!
船が完成するまで後1日。つまり今日となった。ブニャット戦から2日だが体から痛みが引かない。
「肩と腰が痛い…」
「病院行ってくれば?」
エルの提案に俺は首を横に振った。
「いいよ。師匠か姉ちゃんに治してもらうから」
「僕も行く!」
エルはエーフィ姉ちゃんが関わると少し可笑しくなる。
「いいよ」
―エーフィの汚部屋―
「なあ、エルはこの中見ない方がいいぞ」
「なんで?」
「姉ちゃんの部屋…滅茶苦茶汚ない」
「大丈夫!未来の僕の部屋も汚いから!」
「どうなっても知らねえぞ」
ドアを開け、姉ちゃんを探す。
「はは、だよねー」
誰かと話してる…電話中かな?いや、BGMも聞こえるから恐らく違うだろう。
では一体なんなんだ?
こっそり覗いてみると姉ちゃんはゲームをしていた。
「どうしたの、エーフィ?元気無いけど…?」
「えっへへへへ…リオルきゅん…可愛いなあ…恋しちゃうよ〜」
「!!」
そこは踏み入れてはいけない領域だった。ダークマターの時の方がまだ耐えられる。
「…やっぱ師匠だな」
部屋を出るとエルが物凄い剣幕で佇んでいた。
「エル?どうしたエル?」
「エーフィは…僕のものだ!リオルなんかにわたさ━━━わ!?」
「や、やめろエル!」
俺はエルに飛び付いて止めた。
「なんで?エーフィは僕のものエーフィは僕のものエーフィは僕のものエーフィは僕のものエーフィは僕のものエーフィは僕のもの」
(重症だ…)
俺は苦笑いしつつエルを姉ちゃんの部屋から遠ざけた。
「師匠のところに行くか」
―サーナイトの部屋―
「師匠ー、ししょ…!?」
師匠は謎の鍋に気味の悪い材料を放り込んではかき混ぜている。
「師匠…何してんの?」
恐る恐る声をかける。
「ん?これは超強力な自白剤を作ってるの。どっちか飲む?」
カップに薬を注ぎ俺達に見せる。
「遠慮する!」
脱兎の如く俺達は部屋から飛び出した。
「ふー…危なかったぁ…」
俺とエルは地面に座ってため息をつく。
「どうしてこのチームは変人が多いのか?師匠は薬作るし、姉ちゃんはショタコンだし、シスコンは3匹いるし…」
「まあ、強いからいいじゃん!」
「ツヨイネだけに?」
「そ、そーいうこと」
「!?」
一瞬にして視界が真っ暗になった!
『だ〜れだ?』
声が重なって聞こえる。
「アブソルとロコン」
「なんでわかったの?」
「声」
「日頃から私達を観察してるからかしら?」
「んなことしてません。で?用件は?」
「特にない。だから遊ぼ」
アブソルがニコッと笑った。
「何するの?」
「隠れんぼ」
聞いた俺がバカだった。隠れんぼなんて子供の遊びだろ。
等々心の中で文句を言っているとロコンがある提案をしてきた。内容は俺にメリットがあるがデメリットもある。
「イーブイが逃げ切れればパフェ奢ってあげる。負けたら…その時は1日私達の言うことはなんでも聞いてもらうから」
ロコンが淡々と説明する。
「制限時間はミミロップの船が完成するまで!ヨーイ…スタート!」
俺とエルは一気に駆け出した。
「…9…10!いくよ〜!」
「皆ー!完成したよー!!」
アブソルとロコンが俺を探しだした途端、歓喜の声をあげるミミロップが走ってきた。
でも…ミミロップはどこで船作ってたのか?まあ、いいや賭けには勝ったし!
「お!完成したのか!」
「冒険だ!」
サンダース兄ちゃん、ブースター兄ちゃんを筆頭に皆がぞろぞろとやってきた。
「おーい、お前達!俺の勝ちだぜ!」
「ぐぬぬ…!卑怯だぞ!」
「何がだ!ルールに乗っ取ってだぞ!」
「むぅ〜!しょうがないわね!今回は私達の負けでいいわ!次は勝つからね!」
「せいぜい言ってろ」
「さあ!皆準備して!出掛けるよ!」
『おお!!』
ドドド!
と全員家に駆け込んで各自必要な物の準備を始めた。
それから2時間…
「船に乗れい!!」
ミミロップが皆を案内する。連れていかれたのはミミロップの部屋だった。
「なんでここ?」
「転送装置で飛んでくんだよ!」
―ポケ海岸―
「おおー!かっけー!」
珍しくルカリオが興奮している。
「皆のったね?よし!出発だあ!」
ミミロップが舵を取り俺達の船旅が始まったのだ。