65話 それぞれの修行
俺の朝はいつも遅い。だが、今日の俺は一味違う。
なんと午前4時起きでーす!
顔を洗って歯を磨いて、と大抵のを済ませて外に出る。
「さて…修行始めますか」
ダークルギアを復活させて以来ずっと雨が降り続け、雷が落ちてきている。まあ、この天気にも馴れたんだけどな。
「俺のオリ技を作成するのもいいけど兄ちゃん達のを上手く使えるようにするか」
ちょうど雨が降っているのでシャワーズ姉ちゃんの《水弓》を作る。弦を引き絞り…放つ。矢は近くの木を貫通した。
「弓は遠距離だしあんま使わないかな」
続いて《雷槍》。対ダークルギア戦には一番役にたつ気がする。しかし、雷槍のせいでか俺の回りにやたら雷が落ちてくる。
「危なくて本番まで使えねえ!」
一匹で叫んでいたらルカリオが起きてきた。
「五月蝿いんだけど…」
ルカリオは目を擦りながら言った。寝起きのルカリオは冗談抜きでヤバい。
「あ、うん。ごめんね?」
「謝ってすんだら警察はいらないでしょ!」
なんの前触れもなしに波導弾を放ってきた。
「落ち着けえ!」
横に退いて躱しながら声を張り上げた。
「《派導棍》」
ルカリオは細長い武器を作り出して俺に向かって走り出した。
「ひょ、《氷雪剣》!」
グレイシア姉ちゃんの武器で対抗する。武器同士が激しくぶつかり合い、火花を散らす。
「こんなの修行じゃねえよーー!!」
―ジャックの船―
(語り手:ジャック)
「はあ…毎日毎日雨ばっかでやになるぜ…」
俺は甲板で雨に打たれながら呟いた。
「後…39日か…修行と言ってもやることないしな…」
「なら久しぶりに私と戦う?」
「お、師匠」
俺の背後に幽霊のように現れた師匠。まあ、ゴーストタイプ入ってんだけどな。
「お手柔らかに頼むぜッ!」
牽制にムーンフォース放つ。師匠はそれをシャドーボールで相殺した。周囲が爆風に包まれる。
「はっけい!」
煙の隙間から白いてが伸びてきて俺の胸に突き刺さった。
「あぐ!」
「冷凍パンチ!」
冷たい拳が俺の腹に当たり、体をくの字に曲げた。
「まだまだね…」
「まだ…戦える!」
俺は痛む腹を抑え、立ち上がった。
「まだやるの?結果は同じなのに」
師匠は呆れたようにため息をついた。
―ブニャットの船―
(語り手:ブニヤット)
「さあ!かかってきなさい!」
私はあらんかぎりの声を出した。
「言われなくとも!」
ペルシアンが鋭い爪で引っ掻いてきた。私は一歩下がり、再び巨大な腹で前に出て突き飛ばす。
「うおっ!」
派手に吹っ飛んだペルシアンは後ろで待機中のレパルダスにぶつかった。
「ば、バトンタッチ…」
ペルシアンはレパルダスと入れ替わり、休憩を始めた。
「《コントロール・アイ》!」
レパルダスの目がキラッと光った。
「遅い!」
瞬間的にレパルダス背後に回ってのしかかる。
「ぎゃん!重い〜!重い〜!」
「ったく…個人戦になると弱いんだから…」
グリグリとレパルダスを踏みつける。
「しょうがない…2対1でいいわよ」
「その前に退いてよ!」
レパルダスがじたばた暴れる。
「あら、ごめんなさいね」
私はレパルダスの上から降りて二匹を見た。
「《フォーリットビーム》!」
ペルシアンの額から放たれた赤い光線を回避して体当たりを繰り出す。しかし、レパルダスの猫だましに怯んでしまい隙ができた。そこを狙われ、2度目のフォーリットビームが顔に当たった。
「アンタらコンビになると厄介なのよねえ…」
「褒めてくれてどうも」
ペルシアンがニコッと笑った。
「だけど油断してると痛い目見るよ!」
電光石火で突進し、レパルダスを突き飛ばす。続いて回し蹴りでペルシアンを弾き飛ばす。
「ほら、ね」
「むむむ…もっと頑張らなきゃな」
二匹は悔しそうに言った。
―輝く島―
(語り手:三人称ver)
「ふふふ…約束の日まで後、39日か…」
ダークルギアが楽しそうに呟いた。
「奴等はきっと沢山の仲間を連れてくるはずだ。それもかなりの強さの奴らを」
ソウタが策はあるのか?と疑うように聞いた。
「案ずるな。全ては【サタン】の計画通りに進めておけば問題ない」
「【サタン】?」
「偉大なお方のことだ。いつかお前も会えるさ…」