03 11話 さよなら
ポケモン達と和解した後、ティーンはルギアの背に乗ってセウスの所まで飛んだ。セウスを見つけたルギアは少し旋回し、付近に降りた。
「おお、ティーン! 結果はどうだった?」
「和解はした。ある条件付きでな」
「条件?」
「この島から脱出した後、人間は一切この島に近寄らない、って条件だ」
「……科学者達は是が非でもポケモンの生態について知りたいだろう。さらに他の地方でも軍事力のために捕らえに来たりするだろう」
一呼吸置き、何かを決心するかのようにセウスは言った。
「この島に近づいたものは殺害することを許可する」
「……いいのですね?」
「責任はわしが取る。この老いぼれに残っているのは金だけじゃ」
「一件落着と取っていいのかな?」
「ええ、そうでしょう。さあ、2人とも背中に乗ってください。港まで運びます」
ルギアの背に乗り、3隻の船がある港で下ろしてもらう。
セウスが通信機で生存者を呼び集める。次第に集まり、総勢30名程だった。
「……それじゃ、みんな乗ったな? 出港じゃ!」
セウスが合図を出すと、船が進み出した。最初はゆっくりとすぐに速度が上がり、ポケパークが遠ざかっていく。
〜☆★☆★〜
数日後、セウスはカントー地方のセキエイ高原の会議に出席した。議題はポケパークをどうするか、とのことだ。
「セウスさん、何か意見はありますか?」
議長がセウスに投げ掛ける。
「まず、この痛ましい事故は全て私の責任です。ポケパークには数々のポケモン達が住んでいます。こうして私が生き残れたのは彼らと和平を結んだからです」
和平、という単語に会場がざわついた。嘘だ、等の野次が聞こえるが無視する。
「この和平の条件ですが、今後一切ポケパークには近寄らず、ポケモン達に危害を加えないということです。ポケモン側のリーダーは良識のある真面目な者だったので嘘ということは無いでしょう」
「しかし、ポケモンは貴方の物ではない。奪おうと思えば奪える、そういうことですね?」
イッシュ地方の代表が維持の悪そうな顔で尋ねる。
「ええ、その通りです。私は彼らに島に近づく人間は殺していい、と伝えております。皆さんが馬鹿な行動をとらないように先に言っておきますが、リーダーはルギアです」
「伝説のポケモン!?」
「はい、伝承によればルギアは海の神。我々人類の戦艦やら戦闘機は一瞬で木っ端微塵でしょうな。私が言いたいのはこれだけです」
「…………」
一同が沈黙するなか、セウスは涼しげな顔で座っている。
この中継をテレビで見ていたイブとラキは顔を見合わせて微笑んだ。
「また、会えるかな?」
「さあな、人間がポケモンを対等かそれ以上の存在として接しない限りは無理だろうな」
「どうして?」
「古い本にな、昔の人間はポケモンを友達としていたらしい。一緒に暮らして、仲良したったそうだぜ」
「いいなぁ、僕もそんな世界に行きたいなぁ」
「タイムマシンでも作ってみろよ」
「そうだね。頑張ってみるよ」
そう言ってイブとラキは再び笑いあった。