02 34話 原点回帰
絶望岬まで走ってきたサタンは、ふと足を止めた。
「ホント、何でこうなったんだか……」
サタンは逃げ場が無いと確信して諦めた。
その後ろには大勢のウルトラビースト達が群れをなしてついてきている。
「何でついてきた?」
「い、一時休戦だ。あ、あんたなら何か策があるんだろう?」
おどおどしたウツロイドが答えた。
「無理だ」
ウルトラビースト達はサタンにブーイングの嵐を浴びせた。
「いいか、俺は時の使い手であって、空間には関与できないの! だから、ここで自殺するか、はたまた何も存在しない常闇に堕ちるか……どっちかだ」
たじろぐビースト。その少し先には、崩壊が迫っている。
「……俺は、死ぬよ。変に生きたくはないからさ」
そう言ったカミツルギは自分の喉を掻っ切って命をたった。
その後に続くように、ビースト達はみんな、自決した。
「チキンどもが……」
サタンはただ静かに、最期の時を待った。
そして、剥がれ行く地面が、真っ暗な闇の中に沈み、サタンも一緒に呑まれた。
〜☆★☆★〜
──……ここは、どこだ? 真っ暗で何も見えやしねえぜ……。
声は出ないし体は動かない。何も見えないし、何も聞こえない。
だが意識はある。
『まったく……。情けねぇぞ』
──誰だ?
『俺だよ。イーブイだよ』
──な!? イーブイ!? お前死んだんだろ?
『まぁなー♪ だけど、天国のカミサマとかいう奴が一時だけ生き返らせてくれた……ってわけじゃなくてなんだったかな? あ、そうそう一時だけ霊体として来させてくれたんだ』
──やることはわかってんだろ?
『あぁ、俺達の力で時間を巻き戻すんだろ』
──そうだけど、それだけじゃ駄目なんだ。
『どういうことだよ』
──この事態を招いたのは俺達イーブイだ。ただ時間を戻すだけじゃ駄目だ。つまり、《俺》という存在をこの世に産まれないようにしなくちゃいけないんだ。
『へぇ……じゃあやろうか』
──お前自分が消えるのが恐くないのか?
『別に。俺はもう死んでんだ。うだうだ言ってねえでやるぞ!』
──ああ……。
サタンとイーブイは力を合わせ、強く念じた。
自分という存在を時間軸の中から除外して、徐々に時を巻き戻していった。
そして……──。