03 29話 終焉
―あらすじ―
ギラティナの死により、ポケトピアと破れた世界交わった。
ツヨイネ基地が真っ二つに切断された事をグレイシアが怒鳴っていたら大量のウルトラビーストが現れた。
〜☆★☆★〜
戦闘開始から既に30分が経過した。両軍共に残兵は半分を切った。
「取り囲め!」
数十匹のウルトラビーストがテテフとレヒレを囲む。
「万事休す……ってやつだね」
「呑気なこと言わないでよ!」
苦笑いするテテフに声を荒げるレヒレ。
「ケッケッケッ! お前らは特別に奴隷にしてやる! ま、あいつらは死んだがな」
マッシブーンが後方を指差した。その方向にはブルルとコケコの死体が無惨に転がっていた。
「よし、ネーティブの牢獄に送っておけ」
マッシブーンが指示すると、手錠をかけられ、目隠しに猿轡を装着させられたテテフとレヒレは簡易版ウルトラホールに放り込まれた。
「何で守護神サマが死んでんだ!?」
ブラッキーは《三日月刀》でフェローチェの体を半分に切り裂く。
「がら空きだ!」
突然、背後に鋭い痛みと違和感を感じた。恐る恐る自分の胸を触ると、生暖かい液体が付着し、何か尖った物に触れた。
「…………ッ」
「お前は死んだ」
カミツルギはブラッキーから腕を引き抜いて新たなる敵を探しにいった。
そして、ブラッキーは出血多量で命を落とした。
「スパァァアアク!!」
シャワーズ、ゾロアーク、アリシアとクロに囲まれて絶体絶命のデンジュモクが吠えた。
一億ボルトを超える電流が地面を駆け巡り、彼女達を襲った。
水タイプのシャワーズは即死。その他は死亡とまでいかなくとも、ほぼ瀕死だ。
「お前が殺らねえなら手柄は貰っちまうぞ」
フェローチェがクロを足蹴にする。
「バーカ。俺が苦労して殺ったんだぞ」
「最後ギリギリだったじゃねえか」
「ま、火事場の馬鹿力って奴?」
ひゃっひゃっ、と軽口を叩き合うデンジュモクは細長い腕を伸ばして全員の心臓がある位置に添える。
「フンッ!」
全員の体が黄色い輝きに包まれて震えた。
「まったく……四匹減ってこっちは300体減る。おかしくない?」
「いいや、あんたらが弱いだけよ」
グレイシアの《氷雪剣》が横凪ぎに煌めいた。その場にいた二匹は首を落とされて命を散らした。
「みんな死んじゃうし……どんだけいるのよ!」
唸りをあげる《氷雪剣》が飛びかかってくる無数の敵を分断していく。
しかし、いくら彼女が強いとて、数の差には勝てないのだ。
徐々にダメージを受けて全身が切り傷、打撲だらけになる。
「まさか、サーナイトと同じ道を辿るとはね……」
小さなスイッチをカバンから取り出す。
これはミミロップが作った超小型爆弾の起爆スイッチで、本体は呑み込んで腹に溜めておく、というものだ。
先刻も、サーナイトは捕まるぐらないら死ぬ、という結論に至って自爆した。
敵を四、五十匹を道連れにして。
──私だって五十は殺してやるわ!
最期に一目イーブイを見たいという未練を切り捨て、スイッチを押した。
腹に違和感を感じる暇もなく、グレイシアは爆風へと変化した。
流石ミミロップ、と言わざるを得ないような爆発に約60匹のウルトラビースト共を消し去った。
「数が、多すぎんだよッ!」
《雷槍》を縦横無尽に振り回して敵を捌いていくサンダース。
「お仲間が少ねぇなあ」
テッカグヤが言った。
「ほら、周りを見てみろ。残ってんのはあと、お前とそこの嬢ちゃんだけだぜ」
「嘘……だろ?」
突き付けられた事実に動揺するサンダースは隙だらけだった。
「お兄ちゃん!」
リーフィアがテッカグヤに踏み潰されそうなサンダースを突き飛ばした。
「リー……フィア……」
酷くスローモーションに感じられた。
潰される直前、リーフィアの唇が動くのを見た。
──が ん ばっ て
と、最期にそう言ったのだ。そして、スローモーションだった世界は再び元の時間の流れに戻った。
「う、うあああああああああ!!」
目の前で家族や仲間が全員殺されたサンダースの精神は限界に達して崩壊した。
獣じみた咆哮を放ちながら、何千といる敵軍に飛び込んでいった。