04 23話 混ざり合う表と裏
「揺れてない?」
シャワーズが首を傾げた。
「確かに……。何か、足下がふらつくような」
ニンフィアも首を傾げる。
ゴゴゴゴゴゴゴ!!
「か、勘違い何かじゃない! マジで揺れてるぞ! 外に逃げろ!」
サンダースの指示によって全員が外に退避する。
「マジかよ……」
サンダースが呟いた。
視線の先には不気味な緑色の光が物凄い速度で亀裂を作りながらこちらへ向かってきていた。
「あぶねっ!」
緑光をすんでのところで回避したサンダースは、更なる驚きと恐怖を見た。
「い、家が……」
エーフィが珍しく口をパクパクさせている。
「家が……半分に割れたああああッ!?」
光のラインが家を通過した直後、大地が裂け、ついでに家までもが半分に切り裂かれたのだ。
「あ! 私、何が起きたか分かったかもしれない」
エーフィが分断された大地越しにみんなに言う。
「ギラティナと戦ったこと覚えてるでしょ? その時のあいつの部屋に緑色の液体が垂れてたよね。多分、ディアルガとパルキアと同じように考えると、ギラティナは死んでるかも……」
エーフィの言うことにも一理あるな、と思うサンダースだった。
「何でそんな呑気にいられるの!?」
「何だよ。呑気にって?」
「家が無くなったのよ!? 敵に攻めこまれたら終わりよ!」
グレイシアが苛立ったように呟く。いや、実際相当イライラしてるのだろう。
いつものどこか抜けている感じの喋り方ではない。
「ハッハッハ。その通りにしてやろう」
戦国武将じみた威勢のいい声を轟かせて何者かが言った。
「ほら! だから言ったじゃない!」
「それをフラグって言うんだよ!」
グレイシアの絶叫にサンダースが言い返す。
〜☆★☆★〜
「行くぞ」
目の前にぽっかりと空いたウルトラホールに足を踏み入れた──途端に体が宙に浮いた。
「うわあああああ!?」
ギュオオオと渦巻く穴に呑み込まれ、どこへ続くとも分からぬ場所へ流された。
「ぐえっ!」
数秒の苦しみの後、俺は見知らぬ大地に放り出された。俺は可笑しな要塞らしき建造物の前に立っている。
暫くしてサタン、エル、ソウタと続々出てくる。
「ここが、ウルトラビーストの本拠地?」
真っ青な大地は、ポケトピアの地面と何ら踏み心地は変わらない。
「……全部青だな」
ジャックがキョロキョロ周りを見ながら呟く。
地面は青。建物も青。
何でもかんでも青一色だ。
気分が悪くなりそう。
「そういや、青って食欲を無くすらしいわよ」
ブニャットが言った。彼女が言うと、何だか微妙な感じがする。
「じゃあここの奴等はダイエットでもしてるのかもね」
ははは、と緊張感漂う場の空気を和ませようとするエル。
ビー! ビー! ビー!
「な、何だ!?」
ジャノビーがわたわたと慌てる。
「警報だ……。みんな逃げろッ!」
『貴様らとまれぇッ!』
警報に重なり、敵の怒声が響く。
青い住宅街を駆け抜けて、これまた青い森に逃げ込む。
「……逃げ切ったか?」
サタンが息を切らして訊いた。
「うん……。今のところは大丈夫。でも、まだ油断はできないよ。僕の波導感知に引っ掛かってない奴がいるかもしれない」
「ねえ、一ついい?」
エルが困ったような顔をしている。
「僕らの目的って何んだっけ?」
「ウルトラホールの破壊、だよ。 でも、どこに行けばいいんだろ?」
「あれか?」
ルカリオの問いに、俺が指差した。
その方向にはクリスタルのような輝きを放つ建物があった。
しかし、どこか禍々しさが漂っている。
「そうかもしれないな」
よっこいせ、というように立ち上がったジャック。
「よし! 行こうぜ!」
サクサク音のなる木の葉を踏み分けて森を抜けることを試みる。