03 22話 魔王召喚
―あらすじ―
ディアルガとパルキアを殺害したウルトラビーストのミレニィはマッシブーンのゴリアスと共にギラティナのいる部屋へ進むのだった。
〜☆★☆★〜
「ゴリアス〜。イーブイって子知ってる〜?」
「イーブイ? ああ、ネクロズマ様が気にかけているガキか」
「それは知ってるって。私が知りたいのは強さと可愛さよ」
「雄だぞ?」
「はぁ──……。あんたってホントにこっちについて何も知らないのね」
「どういうことだ?」
「いい、ポケトピアには男の娘なるものがあるらしいのよ。その男の娘は雄の中でも可愛い子がそう呼ばれるらしいわよ」
どこから情報を仕入れてきたのかミレニィは得意そうに鼻を鳴らした。
「……容姿までは知らんが、相当強いやつらしいぞ。部下が何匹も殺されてるようだ」
「へぇ……。それで可愛かったら完璧なのに」
くふふ、とミレニィはにやついた。
「ほら、速く行くぞ」
こいつの話にはついていけない、とでも言うかのようにゴリアスは首を横に振った。
「どーも、ギラティナ」
ミレニィはどっしり構える巨体に挨拶する。が、ギラティナは黙っている。
「まー、話さなくてもいいんだけどさッ!」
ミレニィはギラティナに突進する。強烈な水平蹴りを彼の右前足めがけて放つ。
「あれ?」
しかし、ミレニィの蹴りは虚空を切り裂いただけだった。
「き、消えた?」
直後、ゴリアスの背後にゆらりと黒い影が現れた。
「ゴリアス後ろ!」
ミレニィが叫ぶが、時既に遅し。
シャドーダイブで影に潜っていたギラティナが急に出現し、ゴリアスを背後から突き飛ばした。
「…………ふん」
ギラティナはにたぁ、と笑うと再び闇に姿を眩ました。
「どこから来るか分かったもんじゃないぞ」
「煩いわね! 分かってるわよ!」
二匹の論争にギラティナはほくそ笑む。
──仲間割れとは哀れな……。
ギラティナは再び二匹の背後に忍び寄る。気づかれぬように一撃で極めようと襲いかかった。
『何てな』
ミレニィとゴリアスが突如振り返り、ギラティナの顔面に強烈な蹴りを見舞った。
派手に吹き飛び、地面に叩きつけられるギラティナ。
「気づかないと思った? ま、流石に初見は吃驚したわ」
ミレニィはにこやかに笑う。ゴリアスはギラティナの胸を探り始めた。
「ここか……」
脈打つ心臓に手を当て、一気に押し潰した。大量の鮮血がゴリアスの腕や体を染める。
「さて、これでポケトピアと破れた世界が繋がったわね」
満足気に頷くミレニィ。
「あとはアルセウスを殺せば、全て終わりだ。イーブイとか言うガキを殺せるぞ」
『まて、アルセウスは私が殺そう』
ミレニィとゴリアスの脳内に何者かが語りかけた。
「ね、ネクロズマ様!? アルセウスを殺すのは良いのですが、どのようにしてこちらに来られるのですか?」
『簡単だ。今ここに簡易版のウルトラホールを開く。だから魔法陣を描いてくれ』
「了解致しました」
ミレニィとゴリアスは、軽く自分の指を切って青い体液を地面に垂らし始めた。
地面には青い線で描かれた六芒星がある。ミレニィとゴリアスがウルトラビースト界の言葉で呪文を唱え始めた。
それに呼応して地面の六芒星も青く輝き始める。
「ご苦労だった」
魔法陣から出現したのは真っ黒な体色にぬらぬら光る体表のウルトラビーストだった。