04 3話 緊急会議
「一体、こいつらは何なんだ?」
目の前に立ちはだかる敵を切り殺しながらみんなに問いかける。
「さあね! でも、相手は僕らを殺したいみたいだよ!」
ルカリオのはっけいで白く、細い体の敵は絶命した。
「もう、殺しすぎて感覚が麻痺してきたな」
ジャノビーは《草双剣》を振り回して二体同時に倒している。
「あともう少しだ!」
神々の山へ続く秘密の階段の場所が見えてきた。
《絶望岬》。かつて俺が頻繁に通っていた場所だ。打ち寄せる波の音に耳を澄ませ、眠くなったら寝る。
そんな毎日が今、壊されている。激しい怒りを覚えた俺。
「ここだ」
俺はあの恥ずかしい呪文を唱える。すると石と石が擦れ合うような音がして階段が出現する。
一気に駆け降りてレジ系三匹と対峙する。
「今はてめえらに構ってる暇はねえんだよ!」
レジロックに《クイックインパクト》を喰らわせる。約四メートルの距離を一気に縮め、鋼鉄の尻尾が、レジロックの顔の中心を捉えた。
レジロックの顔を突き破った俺は着地すると同時にレジスチルに波導弾を撃った。
体の上部を失ったレジスチルはがしゃん、と金属質の音をたてて崩れ落ちた。
「次──はもう終わってるか」
レジアイスに攻撃しようと振り返ると、奴はルカリオ達によって粉々に砕かれていた。
レジ系三体を倒したことによって出現した階段を登ってミュウツーの部屋に入る。
「誰もいない?」
キョロキョロ首を振るがあの白い体色のポケモン──ミュウツーはどこにもいない。留守なのだろうと解釈した俺は次の階に進む。
「あれぇ?」
この部屋にも三羽の鳥はいなかった。
「ここは本当に神々の山なのか?」
ジャノビーは辺りを警戒しながら言った。
「そのはずだよ。でも、伝説のポケモン達がいないんだ」
エルがうーんと唸る。俺達も顎に手を添えて考え込む。
〜☆★☆★〜
一方頂上では──。
「何なんだあの訳のわからん連中は?」
レックウザが上空から破壊光線で侵入者達を消し飛ばす。
「あれは、ウルトラビースト」
アルセウスが答えた。その名を口にした彼は微かに身震いした。
「ウルトラビーストは千年前に、ポケトピアに来たことがある。奴らは侵略しに来たのだが、当時のポケトピアは大気汚染が無く、綺麗な状態だった」
アルセウスは目を閉じ、懐かしむように語り始めた。
「ウルトラビースト達にとってはここの空気は綺麗すぎたのだ。奴らは汚染された場所に住んでいるからな。そしてウルトラビースト側の王ネクロズマは言った。『千年後、再びやって来る』と」
「それが、千年前の今日か?」
腕組みをしたミュウツーが訊いた。
「そうだ。今日からウルトラビーストと我々の大せ──侵入者だ!」
途中で言葉をきったアルセウスは唐突に叫んだ。番人のレジ三体が倒されたことを感づいたのだろう。
「全員先頭用意! 一陣、行けッ!」
アルセウスの指示でディアルガとスイクン、フリーザーが階段を降りていった。
「貴様らにポケトピアはやらんッ!」
冷凍ビームを放つフリーザー。
「うおッ! や、やめろ! 俺らだ! イーブイだよ!」
「イーブイだと?」
喉の奥に溜められていた破壊光線を発射できなかったレックウザは少し苛立った様子で言った。
「貴方達で良かった……」
スイクンが安堵の息を漏らす。
「いきなり襲って悪かった」
フリーザーは申し訳なさそうに謝る。
「いや、良いんだ。敵が現れてピリピリしてるのはみんな同じさ」
にこっと笑うイーブイ。その笑顔につられて笑うフリーザー。はっ、と我に帰るが、時既に遅し。
スイクンとレックウザは顔を見合わせてニヤニヤ笑っている。
「フリーザーも笑うことができたんだな」
「いつもしかめっ面だもんね」
ひゃっひゃっと腹を抱えて笑い転げる二匹。イーブイやルカリオはポカーンとした表情だ。
「どういうこと? 笑うことができたんだな、って」
エルがフリーザーを指差す。フリーザーの水色の頬は薄紅色に染まっていた。
「フリーザーは私が初めて見たときからしかめっ面なのよ。最初は近寄りがたかったけど、何十年も一緒にいると案外いい奴だってわかるのよ」
「まあ、今でも機嫌を読み違えるときがあるんだけどな」
ざっとフリーザーの特徴を述べる二匹。
階層は違えども仲がよいと分かる。
「お前らならアルセウスも情報提供してくれるはずた。ついてこい」
レックウザが長い体をくねくねさせながら頂上に戻っていった。
イーブイ達もそれに続く。