15 14話 四匹の仲間
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
「誰よこんな忙しい時に」
悪態をつきながらもサーナイトがドアを開ける。
するとそこにはペルシアンとレパルダスが立っていた。
彼らは体中傷だらけで、所々に血の飛沫を浴びていた。
「入っていいか? 外は最悪だ……」
ペルシアンが身震いしてサーナイトに尋ねた。
「ええ、どうぞ」
サーナイトは二匹を招き入れた。軽く会釈して「お邪魔します」と言った。
「ぬお! 敵襲か!」
ガタッとブルルが立ち上がってレパルダス達を睨んだ。
「ちげーよ! 家に入れてることからわかれよ!」
サンダースがブルルを宥めて座らせる。
「そうであったか。失礼」
「いや、いいんだけどさ。あんた達、誰?」
苦笑い気味のペルシアンが訊いた。
「俺はブルル!」
「僕はテテ──」
「はいはい俺が説明するから」
ブースターが守り神四匹を座らせて事情を全て話した。
「ははぁ……一応味方な──」
「ぎゃんッ!」
ペルシアンの言葉を遮ってシャワーズが叫んだ。
何事かと思って見てみると、空中にぽっかり空いた穴から二匹のポケモンが出てきたのだ。
あれは、クロとアリシアだ! 未来警察がなぜ?
「クロ、アリシア?」
「助けに来たわ。感謝なさい」
「敵襲か!」
再び立ち上がるブルル。
「またやんのかよ」
溜息をついたブースターは二回目の解説をした。
「へぇ……。ポケトピアを守りに来たんだ」
ソファに座ったクロとアリシアは四匹を一瞥した。
ず……ん……
「ね、ねえ? 地響きしてない?」
グレイシアが長い耳をピクピク動かした。
ず…ん…
「そう言われれば……」
ブラッキーが首を傾げる。
ずんずんずんずんずんずん!
「こ、これは地響きなんかじゃない! 足音だ!」
ブースターが地震のように揺れる地面を踏ん張って耐える。
「全員外に出て戦え!」
窓ガラスを開けてサンダースが飛び出した。
その後に続いてグレイシア、リーフィア、サーナイト、と外に出る。
「へっへっへっ……。やあやあツヨイネの諸君。ご存知の通り我々はウルトラビースト軍団。貴様らは包囲されている! 大人しく降参すれば危害はくわ──グワアアッ!!」
マッシブーンは最後まで言い終わらなかった。
「べらべらうるせえんだよ。俺達は絶対に負けねえ。てめえらが降参しやがれッ!」
サンダースが《雷槍》を演説していたマッシブーンの額に突き刺した。
「やっちまえ────!!」
ウルトラビーストの声が、開戦の合図となった。
「ムーンフォース!」
テテフの放った銀白色の光球は、マッシブーンの堅牢な腹筋を貫き、その後ろにいたカミツルギの首を消し飛ばした。
「ウオリャアアア!」
鋭い雄叫びと共に、黄色に輝く雷を纏ったコケコが敵軍に突っ込んでいった。
「ひ、ひいいい──あがッ!?」
叫ぶ間もなく、先頭に立っていたフェローチェを殺害し、後続に続く者達を凪ぎ払っていった。
「やるじゃん。俺も負けてらんねぇな!」
《火爪》を両手足に嵌めたブースターが笑った。
「何を笑っている!」
テッカグヤが侮辱されたと思って怒鳴る。
「いや、これが戦争なんだなって。殺さなきゃ生きれない世界。さっきまで悩んでた俺が馬鹿みたいだったぜッ!」
言い終わるや否や、ブースターは体勢を低くしてテッカグヤに突進していった。
「潰れろ!」
テッカグヤは巨体を素早く移動させて、ブースターの真上に落下した。
「遅え!」
ブースターはテッカグヤの右竹を落とした。次いで敵の体を蹴って反対側の竹に飛び乗る。
「そらッ!」
付け根から左竹を切断した。
「ギャアアアアアアッ!!」
「終わりにしよう」
ブースターの右手が閃いた。鋭い一撃。
額から、体の下までを切り裂かれ、地面に落ちる。
裂かれた真ん中から徐々に切れ込みは大きくなり、やがて完全に真っ二つになった。
「慣れってやだな……」
テッカグヤの死体を見ても何も思わなくなった自分に嫌悪感を覚えながらも次の敵を殺しにかかった。