12 11話 暫しの別れ
「ど、どうしたんだよ。そんな化け物を見る目してさ?」
「化け物を見る目? それは正しいんじゃないか」
ジャックが胡座をかきながら俺を睨んだ。
「どういう……ことだよ」
「あんたは気味悪く笑いながら敵兵を全滅させたんだよ」
ブニャットは軽蔑──とまではいかないがその類いの視線を俺に向けた。
「マジ……?」
エル、ルカリオ、ジャノビーは何も答えずに頷くだけだった。
「そっかあ……。俺が殺したのかぁ……。うん……もう、みんなはもう帰っていいよ」
「は?」
ジャノビーは何を言っているのかわからない、というように尋ねてきた。。
「だから帰っていいよ」
「だから──」
「化け物とは一緒にいない方がいい。お前らを殺すかもしれないから」
それだけ言った俺はバッグを背負って南を目指した。
一匹になってもなんてことはない。敵から隠れやすくなるし。
──でも……、何でこんなに悲しくて寂しいんだう?
「へん! 俺だけでも大丈夫だもんね!」
俺はそこら辺の草を掻き分けながら進む。
時折振り返っては誰かが着いてきているか確認する。
「……」
──何を期待しているんだ俺は!
自分に渇を入れて、未練を振り払うように走り出す。
〜▽▲△▼〜
「行っちゃった……」
エルは寂しそうにとぼとぼ歩くイーブイの背中を見つめていた。
「これで、良かったのかな……」
ルカリオが溜息をついた。
「良いんじゃねえの? あいつが帰れって言うなら俺は帰るぜ」
ジャックが立ち上がって尻をはたいた。
「ブニャットは?」
エルの問い掛けにブニャットは困ったように答える。
「私は……あいつを信じたいけど……ちょっと恐いな」
「そう……だよね」
どうしたらいいのか分からずにガックリ肩を落とすエル。
「僕はイーブイを追いかけるよ」
「ふえ?」
ルカリオは波導の力でイーブイを探知すると颯爽と走り去った。
「ま、待ってよ!」
その後をエルが追いかける。
「わ、私も!」
更にその後ろをブニャットが追いかける。
「あ、おいお前ら!」
一匹取り残されたジャック。
「は─────……」
長い長い溜息の後、全速力で先に向かったエル達を追いかけた。
〜☆★☆★〜
とある森の中で俺は──完全に迷っていた。
お気楽なノリでずんずん進んでいったら同じ所をぐるぐる回っているような気がする。
「むぅ……。この木、さっき見たな。印もついてるし」
俺は通った道にある木全てにバツ印をつけている。
「ちっくしょー!」
やけくそになって木を蹴っ飛ばす。
幹に亀裂が入って傾き始める。
バキバキバキィッ!
という大音響と共に木は倒れた。
その木が倒れた方向にあった木にぶつかって連鎖を起こしていく。
呆然と見つめているうちに半径約十メートルの木が倒壊した。
「これで進みやすくなったな」
幹を踏み台にして跳躍する。そのまま倒れていない森の中に足を踏み入れた。