探検隊ツヨイネの航空録 - 一章 空へ
4話 番人
「うわー……」
 俺はダンジョン内の壁画を見て感嘆の声を上げた。
「楽しいか?」
 隣を歩いていたサンダース兄ちゃんが尋ねてきた。俺は兄ちゃんの方を向かずに「うん」と答えた。
「外側は結構豪華な造りだったのに中は壁に文字が書かれてるだけなのな」
 ブースター兄ちゃんが壁を触りながらぼそりと呟いた。
「神殿ってこういう造りが多いんじゃないの?」
 リーフィアが言った。兄ちゃんはその答えに納得がいかないと言うかのように少し唸った。
「お兄ちゃん……ちょっとは勉強してみたら?」
 リーフィアの一言が兄ちゃんのハートを貫いた。勿論、彼女に悪気は無かったのだろうが。兄ちゃんはそれっきり、下を向いたまま一言も喋らなかった。
「…………」
 その光景を俺とエーフィ姉ちゃん、シャワーズ姉ちゃんで苦笑いしながら眺めていた。すると、周りを見ていたルカリオが俺に訊いてきた。
「ねえ、イーブイ。敵が一匹もでてこないの変じゃない?」
「……確かに。でも、ジラーチの言ってた【地の渓谷】と【果ての海】を抜けなきゃここには辿り着けないから、その2つのダンジョンがかなり難しいんじゃねえか?」
「そうなのかな?」
 ルカリオは半ば納得したように頷いた。
「あ! 皆見てよ!」
 突然ゾロアークが叫んだ。次いで俺達はゾロアークの指差す方向に目をやった。
「宝箱だね」
 エルが宝箱に近づき、持ってきた。俺らは宝箱を取り囲み開け方を模索した。
「……やっぱ、壊すしかないか」
 10通り以上の方法を試したが一向に壊れる気配はなかった。仕方なく俺はアイアンテールを箱の留め金にぶつけた。留め金が粉々に砕け、箱を開けられるようになった。
「何が入ってんだろ?」
 俺が箱の中に手を突っ込み、内容物を取り出した。それはグローブだった。
 造りとしては指先が無く、指が出るようになっている。そして、手の甲のところには銀色の流れ星が張り付けてあった。
「グローブ……だな。これ、俺は装備できないぞ」
 俺は隣に居る師匠に渡しながら言った。
「私にはちょっと小さくて無理だわ」
 師匠は隣にいたミミロップに渡しながら言った。
「うーん……私も無理。大きすぎる」
 ミミロップはルカリオに投げ渡した。
「あ、僕にぴったりだ!」
「ええ!?」
 ルカリオが手を握ったり開いたりしながら言った。
「素振りしてみなよ」
 ブラッキーが促すとルカリオは少し照れてた。しかし、素振りを始めると真剣な顔つきになった。
「はあ!」
 ぶん、と拳を打ち出すとルカリオの手が白銀の光に包まれた。
「い、今手が、光ったよね?」
 ロコンが口をあんぐり開けながら言う。アブソルも似たような表情で頷いた。
「このグローブ着けてると何か、力が湧いてくるんだよね。それに殴るスピードも上がるし」
「へえ、そんな追加効果までつくのか……。羨ましいな」
「いいじゃないか。君はミュウの血が少し混じってて大抵の技を使えるんだから」
「まあ、確かにそうだけど。俺にも専用の道具とか技が欲しいなあって思ったんだよ」
 ルカリオと俺の議論が長引くと思ったのか、ゾロアークと師匠に引き離された。
「専用技かあ……かっこいいな」
 ジャノビーが夢を見るような声で呟いた。
「じゃあ創っちゃえよ」
 サンダース兄ちゃんが告げるとジャノビーはぶつぶつ言いながら考えだした。
 そして、それは飛行石のある部屋まで続いた。
















―飛行石安置所―
 ここにも、ここにもあの像があった。だが、今度は入り口のものよりもかなり小さいものだった。
「あったわ!」
 リーフィアが蔓を伸ばして飛行石を取った。
「よーし、帰るぞ」
 俺が踵を返して来た道を戻ろうとした、その瞬間だった。
「待て!」
 誰かに呼び止められ!番人のお出ましかと思い用心して振り返った。
 そこに居たのは、サングラスをかけたルカリオだった。

■筆者メッセージ
―ツヨイネ雑談たいむ―
作者「そういやツタージャとクチートってジャローダの所に預けた後どうなったの?」
ジャノビー「母さんに預けた後は幸せに暮らしましたとさ」
作者「いや、もうちょっと具体的に……」
ジャノビー「毎日学校に行って、よく告白されてるらしいな」
作者「ほほう、それでそれで?」
ジャノビー「で、勿論ふって、いいように扱ってるらしいぜ。奴隷として」
作者「うーむ……君の妹はどうかしてるよ」
ジャノビー「口には出さないできたけど俺もそう思う」
ツタージャ「君達〜?」
作者・ジャ
「げ!」
だんご3 ( 2016/12/10(土) 00:35 )