探検隊ツヨイネの航空録










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七章 遥かなる高みへ
55話 空の心
 エルフーンが両手を合わせて、ハンドガンを持つような構えをとった。
「マシンガン」
「れ、連射だ! 逃げろ!」
 ドドドドド、と本物のマシンガンのような音をたてて米を射ってくる。
「《水柱》!」
 シャワーズ姉ちゃんが自身の前に水でできた横長の直方体を作成した。
 米はその中に入った瞬間、威力を無くし、水中でふやけてしまった。
「《ストップ》!」
 俺は当たりそうになるが寸でのところ、回避する。
「おりゃあああッ!!」
 ブースター兄ちゃんが火炎車となってエルフーンに飛び込んでいった。
 エルフーンは後方宙返りで華麗に躱す──が、兄ちゃんのその後の行動は予想していなかったようだ。
 何故ならば、兄ちゃんは避けられた後、自ら壁にダイブして、跳ね返り、上空から俺らを狙い射とうするエルフーンの背中に直撃させた。
「ぐ……ぁ」
 エルフーンは腹から床に落ち、呼吸困難に陥る。
「畳み掛けろ!」
 宙に浮く兄ちゃんのお陰で、急いで奴を取り押さえた。
「こんな、終わりなんか認めないわ!」
「認めようが認めまいが、勝負はついたんだ。諦めろ」
 喚き散らすエルフーンを俺は宥める。
「なあ、縄とかないの? こいつの爪がめっちゃ痛いんだけど」
 ブラッキーの腕には深々と爪が食い込んでいる。
「縄ならお任せあれ。これ、覚えてる?」
 リーフィアが前に進み出る。手には角笛のような物を持っている。
「いやぁ……?」
「はは、デスヨネー。こんなマイナー武器」
 しゅん、とした表情になるリーフィア。
「《草笛》って言って、ほぼ使ってないんだよね」
 リーフィアが息を大きく吸い込んで、思い切り笛を吹いた。
 ピィ────!
 異常に高い、鼓膜を突き破りそうな音が響く。
 すると、リーフィアの笛から、深緑色の蔓がびゅるっ、と伸びてきた。
「《草笛》を鞭にできるように改良したの」
 ピシャアンと自分の身の丈に合わない鞭を床に打ち付けた。
「多少練習したのよ」
 言いながら、鞭を振った。獲物に絡み付くジャローダの如き速度でエルフーンを捕らえた。
「さあ、これで一安心でしょ!」
 リーフィアは得意気だ。誉めて、というオーラが滲み出ている。そこをブースター兄ちゃんが誉めた。
「偉いぞ、リーフィア!」
「えへへ〜でしょー」
 シスコン、ブラコンはほっといて、この城のどこかにあるエリアルハートを探す。
「あ、地下室だ」
 階段を見つけ、皆を呼び集めて地下に降りる。その地下室は教会のようになっていた。
 石畳の床。木製の長椅子。そして奥には深紅の輝きを放つ宝石の祀られた祭壇。
「あれが……エリアルハート」
 吸い寄せられるように近づく俺ら。まるで、魔性に魅いられてしまったかのように。
「これがあれば、サタンの所に行けるのか……」
 宝石を手に取った瞬間、城が揺れだした。
「何てことを!」
 口に咥えさられていた蔓を噛み切ったエルフーンが叫んだ。
「どーせ、ベタなパターンで城が崩れるとかだろ」
 鼻で笑うサンダース兄ちゃん。
「いや、あんた達は第二の番人、レジギガスを起こしてしまった」
 四匹目のレジ系……。きっと体格はポケトピア産とあまり変わらないのだろう。
「早く外に出ろ!」
 エルフーンがじたばた暴れる。元、城主がここまで慌てるのだから相当まずい状況なのだろう。
「取り敢えず外に出るぞ」
 エルが《空間回廊》を開き、その穴を通って俺達は脱出した。
 城の崩壊は中々の見ものだった。
 両サイドにある太い塔が轟音と共に崩落していく。次いで、天辺にある寝室のような場所が砕け、破片が広間にぶつかり、破壊が破壊を招き、崩壊が崩壊を促進させる。
 城はものの一分で廃墟とかした。
「何だ、レジギガス何ていな──」
 フォッコがそう言いかけた時、二度目の震動。
 地中から白い指に黄色いリングのような物を巻いた手首、黒色の線が刻まれた腕が伸びてきた。
 それは、だんだんと頭部を現し、胴体を出土させた。
 草の生えた肩に中央に黄色い出っ張ったライン。そこには七つの黒点がある。
 胸の辺りには左右対称の六つの目玉のようなマーク。上から順に赤、青、灰色だった。
「こいつが……レジギガス。正直嘗めてたわ。もっとちっちゃいかと思ってたんだけど……」
 身長三十五センチの俺にはでかすぎる相手だ。
 でも、こんなところで退いたらそれこそ船を破壊されかねない。
「俺がこのデカブツを食い止める。だから、先に船に乗っててくれ」
「だりゃせい!」
「タオッ!?」
 エルに思い切り頬を殴られた。
「いつもいつも君は!」
「何だ? 抱え込みすぎだってか?」
「違うよ……。君はいつも目立ちすぎなんだよ! たまには僕にも戦わせろ!」
 エルが怒った。結構本気そうだ。
「ここは僕が食い止めるから。君は手出ししないでよ!」
 俺とほぼ身長の変わらない友人は、巨大な敵に向かって走り出した。

■筆者メッセージ
―ツヨイネ雑談たいむ―
イーブイ「俺って目立ちすぎ?」
作者「うん。主人公面しすぎ」
イーブイ「てめえがそうさせてんだろ!」
作者「分かったよ。君を抜いたバトルシーンを書くから」
イーブイ「いや! それは困る!」
作者「いやねぇ……。他にも出したい子は沢山いるんだよ。《氷雪剣》のグレイシアとか、《三日月刀》のブラッキー、《雷槍》のサンダース、《草笛》のリーフィア、それから女神狩りのフォッコ、《草双剣》のジャノビーetc……」
イーブイ「おいおい、まじかよ……」
作者「主人公交代する?」
イーブイ「誰がするか!」
だんご3 ( 2017/03/08(水) 21:44 )