探検隊ツヨイネの日常









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八章 子孫と仲間と暗黒物質
71話 vsダークマター 《予想はしてたよ第二形態》
ダークマターの第二形態は完璧な球体になっている。第一形態の時より多少大きくもなり、そして網目状だった隙間が無くなっている。
「多分今回も中のコアを叩けばいいと思う」
俺の提案に全員納得する。すると、ルカリオが新たな疑問を見つける。
「でも、どうやって周りを壊すか、だよね」
「おい、貴様らそんなに悠長に話してる暇があるのか?」
ダークマターが俺達を嘲笑うかのように言った。
「あるから言ってんじゃないか。それと、ここから先は誰も死なせやしない」
俺は宣言をした。
「くくく…ふははは!あははははは!!!貴様が守りきるだと!?笑わせるな!」
「別に笑わせてなんかない…いくぞ!」
地面を蹴りダークマターに近づく。ダークマターが槍を伸ばしてくるが余裕の表情で回避する。
「オラアアアア!!!!」
殴る蹴る、技をだす!
繰り返しているうちに少しずつ表面が剥がれだす。
「ふははは!効かんなあ!」
「それはどうかな!」
ルカリオが空中から波動弾を撃つ。たいしたダメージはないが多少の隙が生じる。
「いくぞ!《スクリューダイブ》!」
青い光を身に纏い、ぐるぐる回転しながらこっちに飛んでくる。
「ダアッ!」
ルカリオの波動の乗った拳が激突する。
「参戦!君だけに任せるわけにはいかないよ!」
ルカリオはこっちを見てニコッと笑った。
「僕も!」
エルも《シャイニングブロー》を当て、参加する。
「いくらやっても勝てないぞ!………………なに!?」
驚くのも無理はない。『勝てないぞ!』と言ったのにホントに僅かだがヒビが入ったのだ。
「何が勝てないだあ?俺達をなめるんじゃねえ!」
ブースター兄ちゃんの炎のパンチが炸裂し、ヒビが拡大する。
「クソガアア!!!」
急にダークマターの周りの空気が変わった。暗く重苦しい感じに。
「エル!なんかしてくるぞ!」
「わかってる!」
「シィイイネエエエエエ!!!!!!」
いきなり解き放たれた力が地面から槍となって突きだしてくる。
エルがギュッと目を瞑り空間を操作し始める。俺はエルがもしも失敗したときのためにスタンバイする。
「うぐぐぐ…」
エルの額に汗が浮き出る。そして始まった時と同じようにいきなり終わった。
「た…耐えきったぞ…」
エルはガッツポーズを決めその場に倒れこんだ。
「エル!」
俺は急いで脈拍を確認する。次に胸に耳を当て心臓音を調べる。息もしてる。
「よかった…脈拍も呼吸もある。寝てるだけだ…」
皆呆れたような声をだす。
「こんな大事な時に寝るなんて…でもそこが可愛いわ」
「エーフィ姉ちゃんなんか言った?」
「何も言ってないけど?」
「そう?まあいいや」
「姉貴。エルとリーフィアとツタージャ、それからアリシアを連れて後ろに下がっててくれないか?」
「何で?」
「戦いに巻き込みたくないから」
「…わかったわ…」
「ありがとう姉貴」
ブースター兄ちゃんは再び戦場へと舞い戻ってきた。
「《波動連拳》!」
波動を纏ったルカリオの拳がダークマターのヒビを的確に狙っていく。
「そーれっ!!」
大きく振りかぶった最後の一撃でヒビが更に大きくなる。
しかし、まだ破壊するまでには至ってはいない。
「皆下がって!」
「ミミロップ?」
「いいから早く!私が周りを砕くから!」
俺達は言われた通りに下がった。
「貴様のような小娘に我を倒せるはずがないわ!」
ダークマターの声には少し焦りが混じっていた。
「やってみなきゃわかんないでしょ!《崩壊の鉄拳》!」
聞くからにヤバそうな技がダークマターのヒビに当たる。そして、徐々に徐々に細かいヒビが広がっていく。
「おしまいよ」
ミミロップは決め台詞と共に回し蹴りを放った。
直後、第一形態の時よりも派手に周りが砕けた。
「やったね!」
ミミロップがこっちを見てピースする。
「馬鹿!ミミロップ!気を抜くな!」
「え?」
ダークマターのコアから槍が飛び出してくる。
考えるより先に体が動いていた。飛び蹴りで槍をへし折り間一髪のところでミミロップを救う。
「最後の最後まで気を抜くな!」
ミミロップに説教をする。5、6歳年が離れてるが関係ない。
「ごめん…」
ミミロップはしゅんとした表情になる。
「もういいから下がってろ。ラストは俺が殺るから」
折った槍の残骸を持ちダークマターに向き直る。
「いくぜ!」
だっ!と駆け出しスピードを上げる。ダークマターが攻撃してくるが避けて避けて避けまくった。
「これで終わりだ!」
高く飛び上がりダークマターのコア目掛けて槍の破片を突き立てる。
「馬鹿め!終わるのは貴様だ!」
槍が飛び出し俺の心臓を貫いた。
『イーブイ!』
皆の叫び声が聞こえる。
これも作戦のうちさ…
ポフンと音をたて俺が消える。
「本物はこっちだ!」
真上から槍をコアに突き刺した。
「ギィヤアアアアアアア!!!!」
断末魔の悲鳴が俺の神経を逆撫でる。
「勝ったぞ!」
「やったあ!」
皆は喜ぶが俺はどうもそんな気分にはなれない。
なんて言うか油断はできない。
「? どうしたのイーブイ」
エルが心配そうに聞いてくる。
「いや、なんでもない………」
「我は………まだぁ………死なぬ!」
「マジかよ」
ブースター兄ちゃんが目を見開いて呟く。
「まさか君はこうなるって思ってたの!?」
エルが慌てて聞く。
「俺もここまでは…」
ドカアアアアアン!!!!!
突如、神々の山が爆発した。
「な!?」
「我は今まであの山から力を吸いとっていた…それも今日が最後だ…山は爆発し町の住民は噴火の影響で全滅する!」
俺達が周りを見回すと神々の山から溶岩が流れだし、火山岩が飛び散る。
「ふははは!!!!!これぞ世界の終焉だ!」
「許さねえ!」
俺はダークマターに突っ込んでいく。リミッターを解除した本気のグーパンを叩き込もうとする。だが俺の視界は一瞬で真っ暗になった。






「ぷはっ!」
吐き出され体に異常がないか確認する。
うん、大丈夫。何も変わってない。
「だ、大丈夫!?」
皆が駆け寄ってくる。
「大丈夫…みたい」
あいつは何をしたんだ?
考えているとツタージャが言った。
「ダークマターが!」
「くははははは!!!さあ!最終ラウンドを始めようではないか!」
ダークマターの姿は『俺自身』だった。

■筆者メッセージ
―ツヨイネ雑談たいむ―
イーブイ「今回は誰も死ななかったぜ?」
作者「おめでとー」
イーブイ「なんか嬉しくなさそうだな」
作者「だってこの小説後3、4話で終わっちゃうんだもん!」
イーブイ「なんだって!?」
エル「後3、4話!?もっと続けてよ!」
作者「無理…ダークマター倒した後とか思いつかない」
イーブイ「まじか…」
作者「皆さん!後少しの付き合いですがどうぞよろしくお願いします!」
だんご3 ( 2016/07/21(木) 11:59 )