「さあ！どっからでもかかってこいよ！」
威勢よく言ったものの６対１で勝てる気がしない。相手メンバーは━━
バンギラス
ピジョット
ボーマンダ
キリキザン
オーダイル
ニドキングだ。

うーん…全部ごっついなぁ…

苦笑いしつつもしっかりと攻撃をかわす。
「姫はどこだ！」
バンギラスが叫ぶ。
「俺に勝ったら教えてあげるよ！」
俺は後ろを振り返り薔薇の庭園のような場所に逃げ込んだ。そのまま木の根元を小ささを生かしすり抜けて行く。そして２分間本気で走り回って疲れた。
「はあ、はあ…逃げ切れたか…？」
ふぅ〜と息を吐きその場に座り込む。
「まさかロコンが姫様だったとはな…」
独り言を言っていたら不思議と笑みがこぼれた。
「ん？」
遠くから声が聞こえる。どうせあのごつい６匹と思った。中々見つけられないとも思った。
まあ、半分正解で半分不正解だった。
『ごつい６匹』は正解。
『中々見つけられないは』不正解。
その理由としてはあいつらは薔薇の木をへし折ってこっちに来る。
「おらぁ！隠れても無駄だぞぉ！」
オーダイルの怒声が響く。少し離れた場所に移動したがキリキザンと鉢合わせした。
「あ…」
「いた！おい！ここだ！」
キリキザンが叫ぶと全員が木薙ぎ倒しながら集まってきた。
「おい、そんなに木を倒してくとシーアに怒られるぞ」
兵士達は俺の脅しを鼻で笑った。
「緊急時は何を壊してでも侵入者を捕まえろと言われているんでな」
ニドキングが牙を剥き出して飛びかかってくる。咄嗟に横に飛び回避する。
「そういうことなら本気でいくぜ」
「面白い…かかってこい！」
ピジョットの咆哮で戦闘が始まった。
戦闘開始早々にリミッターを解除し、さらに覚えたての時間能力を使う。
「スロウ！」
一言で敵の動きが鈍くなる。空中にいるピジョットはアイアンテールで城の壁に叩きつけて一発KO。
続いて地上組には落ちていた薔薇の木を掴み振り回す。かなりの太さがあるため当たったらひとたまりもない。そんな凶器をフルスイングでオーダイルに当てる。多分水タイプだから大ダメージだろうと考える。
バンギラス達が正常に動き出した。
「チッ」
舌打ちをし、距離をとる。波動弾をバンギラスに撃つが威力がなく書き消されてしまった。
ゼロ距離なら！
淡い期待を込めて急接近する。
「喰らえ！」
手に載せた波動弾をバンギラスの腹に撃ち込む。
ズカアアァァン！！
大爆発して、バンギラスは目を回した。
残るはニドキング、ボーマンダ、キリキザン。ちょっとキツイ。
どう倒す？
思考を張り巡らせていたらニドキングの地震を喰らった。
宙に浮く俺の体をキリキザンが寸分狂いなく首に辻斬りを当てる。
さくっ。
と首と体が切断され、地面に落ちる俺。
「あっけない…」
キリキザンが呟いた瞬間目の前の死体が消えた。
「な！？」
「残念！そいつは身代わりでねえ…本物はこっちさ」
オーダイルを殴ったときに使った木でキリキザンを町の外へと吹っ飛ばす。
「後二匹ぃ」
ゆらりと近づく俺を見て二匹は戦慄を感じただろう。
ニドキングは自棄になり捨て身タックルをかましてくる。
ヒョイ、とジャンプしてかわす。その上で待ち構えていたボーマンダを殴ろうとしたが城の屋上にシーアがいることに気づいた。手には銃が構えられている。
ニヤリと笑い引き金を引く。銃声が鳴り響き俺の肩に鋭い痛みが走った。
地面に落ちて肩に刺さった物体を抜いた。
ふらふらするが懸命に耐える。
「く……そ」
ここで俺の意識は消えた。















―城（拷問部屋）―
「っう…」
目が覚めた。周囲を見るが視界がぼやけて見えない。
「お目覚めね」
シーアが鞭を持って近づいてくる。動こうとしたが両手両足を縛られていて動けない。
「ロコンはどこ？」
「誰が教えるか」
バチイン！
俺の胸に鞭が当たる。
焼けるような痛み。
「痛いでしょう？楽になりたければロコンの居場所を言いなさい」
シーアが屋上から発砲した時の表情をする。
「誰が言うかよ！」
バチインッ！
２度目の衝撃音。思わず指をギュッと握る。

手が動く？

「シーア。あんたは馬鹿だ。敵を縛るときは指まで縛った方がいいぜ！」
パチン！
指を鳴らしシフトチェンジを発動する。一瞬にしてシーアと俺の位置が入れ替わる。つまり、シーアが縛られて俺は解放。
「なっ！？」
シーアが驚愕の表情を浮かべる。俺はシーアから鞭を奪い取り、二発叩くことにした。
「嫌、やめてちょうだい！」
「悪いねえ…やられたらやり返すのがモットーだから」
バチインッバチインッ！！
と二回叩きずらかろうとしてふと足を止めた。
「ん？」
部屋の奥にある扉が気になって開けた。


その先に広がっていたのは……？