54話 夏祭り!《出店編その2》
―前回のあらすじ―
夏祭りにやって来たイーブイ達。自分の本性が暴かれ逆切れする者が出る。
現在の時刻は7時半。
花火大会&盆踊りまであと1時間半。彼らは遊び尽くすことができるのか!?
「次は何しよ?」
「あれは?」
ルカリオが《ボール投げ》の店を指した。
「ボール投げか…ルカリオやれば?」
「やってみようかな?」
「らっしゃーい。一回500ポケだよ」
店主のアバゴーラがやる気なさげに言う。
「あ、じゃあ一回」
ルカリオはアバゴーラに金を渡し、代わりにボールを受け取った。
「よーし、いくぞー!」
振りかぶって勢いよく投げる。
ピラミッド状に並んでいる牛乳ビンが的のようだ。それが五列。同時に五匹まで出来るみたい。
「そりゃ!」
ルカリオの投げたボールは狙いを大きく外し、屋台の横の壁に当たり跳ね返った。そのまま横凪ぎにビンを倒していく。
他の参加者の分まで。
残り一つとなったが段々曲がり始める。このままだと当たらない。そう思ったが急に元の軌道に戻った。
カン!
いい音をさせてビンが崩れた。
わあー!と見物人が歓声を上げる。
「すげえなあ!ほら、景品だ」
店主がぽいっと放り投げる。ルカリオはしっかりとキャッチし、景品を確認する。
「何だった?」
ゾロアークが肩越しに覗く。
「首飾りだ」
ルカリオはじっと首飾りを見て「あ、あげる///」と恥ずかしそうにゾロアークに渡す。
「ありがと!お礼に…」
ゾロアークは一呼吸置くと、ルカリオにキスをした。
「んう!?」
ルカリオは不意をつかれ吃驚した表情をしている。
ざわめく周囲、にやける俺達。
「ぷはっ!」
ゾロアークはルカリオの唇から離れた。
「これがあたしからのお礼よ」
「あ、ありがとう」
「ヒューヒュー!」
ブースター兄ちゃんが茶化す。
「うぐっ!」
兄ちゃんが痛みに呻き声を上げる。
「馬鹿にすんな」
グレイシア姉ちゃんが叱る。
「エル、ちょっとこい」
「なあに?」
俺に呼ばれたエルはキョトンとした顔で来た。
「お前最後の一つの時空間歪ませたろ」
「やったよ。怒る?」
「別に。咄嗟に使えるようになったんだな、って思ってさ。俺なんかまだ意識してないと使えないんだぜ?」
「頑張れば出来るよ」
「頑張る…か」
「ほら、早く行こ!置いてかれるよ」
「ああ」
「花火が始まるまであと45分だけど何する?」
「ラストはやっぱ食おうぜ」
ミミロップの質問に対し俺が返答する。
「そうだな」
皆賛成してくれたようなので早速食い物を買いに行く。
「私、たこ焼き食いたい」
師匠の提案に全員が食いついた。
「おいひ。でもあふいわ」
(訳:おいし。でも熱いわ)
ロコンがたこ焼きを口に詰めながら喋る。
「食べながら喋んないの」
アブソルがロコンを注意する。
「ゴメーン」
「次は焼きそばいこっ!」
「早くない!?」
「時間なくなるよ?」
「分かったよ」
俺の考えに不満を抱えながらも皆渋々立ち上がった。
そんなわけで俺達は焼きそばを食べた。
「おいしいわぁ」
師匠の顔が緩んだ。
師匠にもこんな顔が出来るのか、と感心した。
「僕、クレープ食べたいなあ」
ツタージャが呟く。それに便乗して、女子軍が騒ぎ出す。
「クレープぅ?やっぱ、じゃがバターだろ」
サンダース兄ちゃんが馬鹿にする。
「じゃあ、クレープ派とじゃがバター派に別れよ」
この提案には皆賛成だった。
クレープ派
イーブイ
ニンフィア
リーフィア
グレイシア
ロコン
アブソル
ツタージャ
クチート
サーナイト
エーフィ
ミミロップ
じゃがバター派
サンダース
ブースター
ブラッキー
ルカリオ
エル
ゾロアーク
シャワーズ
「クレープ派多くね!?しかも何でイーブイが混ざってんだよ!」
サンダース兄ちゃんがキレの良いツッコミを入れる。
「甘いのが食べたくてね」
「あっそ。じゃあ花火の時には広場に集合よ」
シャワーズ姉ちゃんがちゃっちゃと決めさっさと行ってしまった。
そしてクレープ屋まで行き食べる。
「ほら、イーブイほっぺにクリームついてるよ」
アブソルに指摘され、ぺろりと舐める。
「サンキュ」
「さて、そろそろ広場に行こうぜ」
「そうね」
テクテクと歩き出す。
「知ってる?今年から盆踊りじゃなくてフォークダンスに変わるんだって」
「へー、興味なーい」
「いや、興味無いとかじゃなくて男女で踊るらしいよ」
「ふーん、じゃあシスコン組は大喜びだね」
「そうね。…その、イーブイ?」
「ん?」
「私と踊ってくれない?」
「良いけど?」
「ホント!?誓う?」
「うん。俺、イーブイはロコンと踊る事を誓います」
「ありがと!」
「どーいたしまして」
ダンスは何をするのか全く分かっていなかった俺はこの後後悔することを知らなかった。