52話 海には危険がいっぱい!?
「U・M・Iだあー!!!」
ゾロアークが拳を掲げる。
「はしゃぎすぎだ」
ブースター兄ちゃんがたしなめる。
「ふあ〜…寝み」
俺は欠伸をして呟く。
今の時刻は午前6時。
何でこんなに早いかって?思い出してみよう
今日は全員が3時に起こされた。いきなりゾロアークが部屋に飛び込んできてリビングまで連れてこられた。眠い目をこすって周りを見ると皆が起こされたらしく、ムスッとした表情をしている。
「おい、ゾロアーク…何でこんな早く起こすんだ…」
サンダース兄ちゃんが文句を言う。
「海だよ海!」
「海ぃ?」
エルがルカリオに寄りかかりながらぼやいた。
「さ、皆ご飯食べちゃって」
人数分のパンをテーブルに並べた言った。
「いつから起きてんの?」
「2時?」
「はは、ばーか」
ブースター兄ちゃんが力なく返す。
それから三時間後俺達は眠気もなくなり、ミミロップの転送装置で海まで来た。そして今に至る。
―ポケ浜辺―
早速、ビーチパラソルとレジャーシートを出して、ごろりと横になる。
『お休み…』
ゾロアークを除く全員が眠りに落ちた。
バシャアッ!
「うぎゃっ!」
急に冷たい水をかけられ俺達は飛び起きた。
「おはよ!」
ゾロアークはニッコリしながら言った。
「今何時?」
ブラッキーが水を祓いながら聞いた。
「今は7時」
「まだ一時間しか寝てないじゃん…」
「そんだけ寝れば十分だって!」
再び水をかけられ完璧に目が覚めた。
―9時―
段々とポケモン達が集まってきて賑やかになった。俺達は各自好きなことをしだした。
「ルカリオ、投げて」
「いいよ」
ルカリオは俺を片手で掴み海へ向かって投げた。
「あはははは!!!」
飛びながら爆笑している俺を見て、海にいる奴等は驚いた顔で見上げている。
ザッパアン!!
勢いよく着水し、周囲に水しぶきを飛ばした。気づけばかなり遠いとこまで飛んできている。
「こりゃ帰るのに時間かかるなあ…」
ため息をつき、平泳ぎで浜辺へと向かった。
「はあっはあ…つ、着いた…!」
三十分かけて俺は浜辺に帰ってきた。パラソルの所まで戻るとブラッキーがサングラスを掛けていた。
「お帰りイーブイ」
「ただいま。俺、これから売店行くけどブラッキーも何かいる?」
「いらない」
「わかった。じゃ、行ってくる」
売店まで行き何を買おうかとメニューを眺める。かき氷のブルーハワイを注文。透明な氷に青い液体がかけられる姿を見ていると心なしか涼しくなる。
代金を支払いかき氷を受け取り、食べなから戻ろうとすると背後から聞き覚えのある声がした。
「嫌」
「なあ、いいだろ?俺とちょっと付き合ってくれればいいからよ」
「嫌って言ってるでしょ。しつこい男は嫌いなの」
声の主はアブソルだと気づきすぐさま駆けつける。ナンパ師はキレてアブソルを殴ろうとする。俺はその手を掴み巴投げで投げ飛ばす。
「悪いけど、俺の女に手ぇ出さないでくれるかな?」ナンパ師に一言告げてアブソルの方に向き直る。
「さ、行こっアブソル」
「えっ?あっ、うん」
アブソルは戻りながら少し嬉しそうに聞いてきた。
「さっきさあ、私のこと『俺の女』って言ったよね。もしかして私のこと…?」
「あれは何となく言ってみたかっただけ」
「あっそ!」
アブソルは頬を膨らませて行ってしまった。
「何か悪いことしたか?」
俺は頭を掻きながら考えたが答えは出なかった。
「ねえ坊や…お姉さんと遊ばない?」
誰だ、と思い振り返ると紫色の毛が首回りにはえている。
種族は確か━━━エネコロロだ。
「何?」
「だから私と遊ばない?」
「悪いけどかき氷食いたいんだよね」
俺はエネコロロにかき氷を見せる。
「大丈夫よ。それ食べながらでも遊べるものよ」
「そう?ならいいよ」
「いたいた、イーブイ探したのよ」
師匠が走ってきた。
「何よあんた」
エネコロロはさっきの優しい表情は消え師匠を威嚇している。
「この子は私のものよ」
師匠は俺の腕を掴んだ。
「いいや、私の」
エネコロロも負けじと引っ張る。
「いだだだだ!!!」
咄嗟にエネコロロから腕を引き抜き師匠に抱きついた。
「ふん!」
彼女は怒ってどこかへ行ってしまった。
「ありがと師匠」
「ええ、どういたしまして」
師匠はかき氷を持って…
「ん!?俺のかき氷がない!盗られたか…まあ、いいや引っ張られてる時砂入ったし」
「ぎゃあああ!溺れ!助けっ。ぐるじ!」
海から悲鳴が聞こえ俺は改めて思った。
海は危険だ。
助けに行こうとすると、サンダース兄ちゃんとシャワーズ姉ちゃんがいた。よく見ると姉ちゃんが兄ちゃんを溺れさせてる。
そうか、兄ちゃんカナヅチだったのか。
パラソルの所まで戻ると皆いた。
「あれ?海はもう飽きたの?」
「ご飯食べて午後に入る」ゾロアークがまだ遊び足りないよ、と顔で訴えてきた。
俺達は昼飯を食べ、再び海に飛び込んだ。