探検隊ツヨイネの日常









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四章 特殊能力の使い方
43話 最終試験
―修行5日目―
(語り手:イーブイ)
「ほら!立てもう一回だ!」
キュウコンの声が響く。一体これで何度目だろうと思いながら立ち上がる。
深呼吸をし、体に力を入れリミッターを解除する。瞬時に力が湧いてきてさっきまでの疲れが嘘のようだった。
「発動したな。いくぞ!」
キュウコンの素早いビンタが迫ってくる。その手を片手で受け止め腹に蹴りを入れる。だがキュウコンは空いていた片方の手で俺の足をキャッチした。
そのまま宙吊りにされ壁まで投げ飛ばされる。俺はくるくると回りながら減速して壁に足をつける。そのまま重力によって垂直に落下する。そして後ろ足二本で着地。続いて前足も地に着ける。短く息を吐き出した途端に力が抜けとてつもない疲労感に襲われる。
「4分半…か。まだまだだな。次!リーフィア」
「はーい」
やる気のなさそうな声でやって来る。これじゃあまた叩かれるってのに。
「イーブイ、お前は休んでていいぞ」
軽く頷き部屋に戻る。
俺とリーフィアはキュウコンの部屋で寝泊まりしている。三匹で寝ているのだ。
それから一時間ほどゴロゴロしていた。リーフィアが帰ってきたときには外はもう真っ暗だった。
夕食になり三匹で食べる。キュウコンの作る料理は旨いなあ、と考えながら食べる。
「今日の結果はリーフィアの方が優秀だったぞ。12分52秒だった。それに比べてイーブイは3/1だぞもっと頑張れ」
「ならコツとか教えてくれよ」
「そうだよ〜」
リーフィアと俺で詰め寄る。
「わかった、わかった。教えるから寄るな。まずは自分の心の中に何でもいいから器を作る。」
「大きさは?」
俺はパンを口に入れながら聞く。
「何でもいいが、正確に考えるんだぞ。そしたらその中に水を入れるのをイメージする。もうこぼれる!というところで止めて何があっても決して慌てず騒がないようにして戦うんだ。要は集中しろ」
「長いなあ。『集中しろ』だけでいいじゃん」
「イメージがあった方が分かりやすいだろ」
キュウコンは怒ったようにぷくーっと頬を膨らませた。
「さあ、今日は寝ろ。明日もあるんだから」
皿を片付けながら続けた。俺はいつもは2時、3時位に寝るが今日は8時半に寝た。












6日目は昨日と同じであまり進歩がなかったため割愛させていただく。











―修行最終日―
「さて、今日で最後だな」
「寂しくなるな…とか言うの?」
リーフィアが笑みを浮かべた。
「そうだな。少し寂しいな」
キュウコンはしんみりと言った。
「最後の試験は━━━」
突然後ろから下品な声が聞こえてきた。
「イーブイ、みーっけた」「さっさと殺しちまおうぜ」
二匹のポケモンがニヤニヤ笑う。
「予定を変更してあのクズどもを倒せ。リミッター解除でな」
「ああっ!?んだとこの…この…」
「どうした?私を罵れないのか?」
「う、うるせ━━━」
クズAはどさりと音を立て倒れた。
「大丈夫か!?」
クズBが駆け寄り揺さぶる。
「てめえ!何しやがった!」
「別に何も。やったのはあいつらだ」
キュウコンは天井を━━俺達を指していった。
天井から突き出ている氷柱に掴まりながら攻撃をしたんだ。相当な強者じゃなきゃ避けれないはずだ。
クズBは目を見開き恐怖の表情でこちらを見つめてくる。クズBに向かってアイアンテールを打ち込みクズどもはピクリとも動かなくなる。
「よし。二匹とも合格だ。おめでとう。家に帰っても修行は怠るなよ」
「ああ。いろいろありかとな。キュウコン」
「どういたしまして。さ、ミュウを呼ぼう。」
和やかムードになっているなか最初に倒されたクズAが隠し持っていたナイフで俺を切りつけようとする。それを竜の波動で弾き飛ばす。
「りゅ、竜の波動?」
キュウコンは驚いた表情をしている。
「お兄ちゃんは前から使ってるよ?」
「いや、そういうことじゃなくてここでも血を引き継いでいるなんて、って思ってな」
「また父ちゃんの話しか?」
「あー、うんそうなるな」
「はあ、またかよ…」
肩をガックリ落としため息をつく。
「で?いつ話してくれるの?」
「ミュウが来たとき。つまり今だ」
ミュウがポンと白い光の中から出てきた。
「終わったの?」
「ああ、終わったがまだあとひとつ残っていることがある。イーブイの父親でお前の……のことだ」
「ああ!あれかあ!イーブイ、ちゃーんと聞いてるのよ」
「はいはい」
キュウコンの聞き取れなかったところは気にせずにミュウの話しに耳を傾けた。

■筆者メッセージ
4章シューりょ〜!
今までで一番短い章でしたな。
まあ5章もどうぞよろしく!
だんご3 ( 2016/06/16(木) 00:29 )