探検隊ツヨイネの日常









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四章 特殊能力の使い方
38話 暴走するイーブイ
―前回のあらすじ―
ついに頂上までたどり着いたツヨイネ。最後の相手はアルセウス。弱点を見事発見し、勝利は目の前!というところでアルセウスは本気をだす。
ズタボロにされたツヨイネ達の運命は!?













「お前の力はそんなものか!そんなんじゃ親父さんにも勝てないぞ!」
アルセウスは俺を煽る。
「…るせえ…」
「何だ?言いたいことがあるなら、ハッキリ言え!」
「うるせえっつってんだよ!!」
俺はアルセウス目掛けて突進する。アルセウスが反撃しようとしたところを、電光石火で背後に回り込むみアイアンテールで首裏を渾身の力で叩く。アルセウスはよろけ、かなりの隙を見せる。俺はそこを逃さずに背骨を《ギガトンパンチ》で折ろうとするが、守るで弾き返される。
「くっ…なかなかやるな(そろそろ試してみるか…)」
アルセウスはフラッシュを使い、辺りが真っ白な光に包まれる。光が消えてもまだ目がチカチカしていた。
ようやく目が慣れてくると、アルセウスの足下に皆が並べられているのに気がついた。
「て、てめえ!なんの真似だ!」
「何、ちとお前の力を引き出してやろうとな」
アルセウスはそう言うと一番端にいたエーフィ姉ちゃんを踏み潰した。グチャっと音がして辺りに血が飛び散る。
「やめろ!」
だがアルセウスは続ける。続いてエルが潰される、ルカリオもそしてニンフィアが…
俺は助けに行きたかったが力が入らない。最後のアブソルが俺に助けを求める目をしたがグシャリと潰された。
その時俺の血が騒ぎだした。
「どうした!親父さんは彼女をちゃんと守ってたぞ!」
俺の中で何かが弾ける。

アイツ ヲ コロス

憎しみ、怒り、悲しみ…負の感情全てが混ざった気持ちになりなにがなんだかわからなくなる。
体は俺の意思に関係なく動き始めた。しっかりとした意識がありながらも体が言うことを聞かない。
心と体が分離された気分。
俺はアルセウスに竜の波動を撃ち込む。回避したアルセウスの目の前に一瞬で移動しアッパー当てる。続けてでアイアンテールをアルセウスの首に叩きつける。アルセウスは大地の力やさばきのつぶてで反撃してくるが一つも当たらない。
再び大地の力を放とうとしたアルセウスの足を掴み無理矢理ぶん投げる。
仰向けに倒れたアルセウスの腹を《アイアンブレード》で切り裂こうとしたが『ストップ!』と声がして黄色いネットに包まれた。更に、バチバチと音がして俺の動きが鈍くなる。
そうかこれはエレキネットか。そう思い暴走した俺の体に意識が戻ると同時に今まで押さえ込まれていた感情が全て放出された。
俺の頬を大粒の涙が流れ落ちる。
「起きなアルセウス!」
女の声がヒステリック気味に聞こえる。
「わかってる。」
「もしかして。息子?」
「ああ、そうだ」
「で、またやらかしたわけ」
「ああ、そうだ」
「ちゃんと生きてるんでしょ?」
「ああ、そうだ」
「ちょっとまて。生きてるって誰がだ?」
多少痺れが取れて話せるようになった俺。
「あ、喋れるようになったんだ。はじめまして、あたしはミュウ。さっきの質問に答えるとアルセウスはあんたを試したのよ。リミッターの素質があるからね。」突然現れたミュウという奴は話し始めた。
「りみ…?なんだって?」
当然俺の頭の中には『?』が沢山出てきた。
「リミッターよ。まあ、あっちで説明してくれるわ」
「あっち?」
「じゃ、アルセウスこの子貰ってくから。ちゃんと質問に答えてあげるのよ!」
「はいはい。わかったよ」
「ちょ、ちょっとまっ―――」
俺は尻尾を掴まれ大空へと舞い上がった。夕日が眩しくなり目を細める。
いや、そんなこと言ってる場合じゃない。地上から数百メートル離れた所にいるのだから。
「おろせ!」
「五月蝿いわねえ…そんなにおろしてほしいなら…」
ミュウは小さくため息をつき尻尾を放した。
「うわあああああぁぁぁぁ!!!」
もうだめだ!
そう思ったとき再び体が宙に浮いた。
「あ、危ねえだろ!」
「放せって言ったのそっちでしょ。それと五月蝿いから黙っててよ」
ミュウは俺の尻尾を握る力を強める。何かが流れ込むような感覚がして眠くなってきた。
「な、何した?」
「催眠術よ。目的地まで寝てなさい」
そして俺は眠りに落ちた。












―神々の山頂上―
(語り手エル)
「―――っ…はっ!」
僕は勢いよく目を覚ました。周りを見ると皆が倒れている。
「確か、アルセウスのフラッシュの後真っ白な世界に飛ばされたんだっけ。」
僕は立ち上がり皆を起こしに行った。全員起こしたけどイーブイだけ見つからない。
「あいつは今、キュウコンの所にいる」
『えっ?』
声がして振り向くとアルセウスが立っていた。
「どんな質問でも答えるぞ?」
「じゃあ、さっきの『キュウコンの所』について教えて」
一番最初の質問をしたのはロコンだった。進化先について知りたくなったのかと僕は思った。

■筆者メッセージ
ちょっと拍手メッセージでご指摘がきたので技名のところを平仮名表記にさせていただきます。

《例》
でんこうせっか→電光石火
のように小学生でも読めるようなのは漢字で。
逆に漢検1・2級取ってなきゃ読めないような(言い過ぎかな?)は平仮名で書きます。
《例》
裁きの礫→さばきのつぶて
みたいな感じです。
尚オリ技の場合は当て字も出るかもしれないので漢字で書きます。

では次回もお楽しみに!
だんご3 ( 2016/06/07(火) 16:16 )