36話 エーフィ・ロコンvsギラティナ
―始まる前にお知らせ―
今回の主人公はロコンにします。はい、ただそれだけでございます。
ディアルガとパルキアを倒した私達は次の階へと進む。そういえばディアルガの宝石は時間経過で直るらしい。
階段を登りきると待っていたのは不思議な光景だった。パルキア達の所までの壁は岩だったのに、このフロアは緑色のドロリとした液体が流れている。ポタリと肩に落ちたが濡れている感じがしない。というより触れている感触がない。フロアの内装を詳しくいうと、階段を登った先には岩が浮いていて反対側にしっかりとした足場があった。
「えっ?これ進むの?」
アブソルが無理でしょ、って顔をする。
「そうだろ」
イーブイは岩に飛び乗りピョンピョンと足場まで渡っていった。
「おーい!大丈夫だから来てみろよー!」
イーブイが足場から大声で叫ぶ。皆は誰が行くんだろう、と顔を見合わせる。するとしびれをきらしたのか、ルカリオが渡り始めた。ルカリオも向こう側に着くと手を振って「大丈夫だよー!」と言う。それを信じたのかゾロアークやエル、皆が次々に進んだ。全員が足場に着くとどこからともなく声が聞こえてきた。
「ようこそ。破れた世界へ。俺はギラティナ」
「破れた世界?」
ブラッキーが首を傾げて聞く。まるでどこだよそこ、とでも言うかのように。
「破れた世界とは俺しかいない場所。ポケトピアと人間界を繋ぐ門だといってもいい」
言い終わるとバチン!と音がしてギラティナが姿を表した。ギラティナの姿は真っ直ぐに伸びていて蛇みたいだった。背中辺りからは細く黒い紐のような物がのびていた。
「さあさあ、誰が戦うんだ?」
「残ったのはエーフィとロコンね」
シャワーズが言うとギラティナが口を挟んできた。
「まてまて、俺と戦うのがそこの女二匹か?」
「それがなにか?」
エーフィが挑戦的に聞く。
「いや。俺は女と一対一で戦うのはどうも苦手でなあ…まあ二匹同時だったらいいぞ」
「えっ?ルール上ダメななんじゃあ…」
エルがルールを思い出そうと頭をひねる。
「原則的にはな。だがまあいいではないか!戦いを楽しもうではないか!」
「お言葉に甘えて行きますか」
エーフィが珍しくやる気を出した。普段は後ろの方で作戦をたてて指示しているのに今日は目が輝いている。
エーフィは先手必勝とでも言うかのようにシャドーボールを撃つ。弾は小さいもののかなりの速度で飛んでいく。
「こんなもなの!」
ギラティナが尻尾を一振りしただけで消えた。だが直ぐに二発目がとんできてギラティナの背中に命中する。エーフィの連激は止まらない。ストレスを発散するかのように思い付く限りの技を放つ。少し離れて見ていると流れ星を見ているようだ。私は見ているだけというのは性にあわない。
「サーナイト、神秘の守り張れる?」
「張れるけど…なんで?」
「いいから、いいから!凄いの見せるから!」
サーナイトは言われるがままに神秘の守りを張る。
「いくよ…《フレイムレイン》!」
私の体から無数の炎が発せられ天へと昇る。そして一気に私達に降り注ぐ。多少のダメージはあるがそれが狙いではない。狙いは二つある。
・1 ギラティナを大火傷状態にするため。
・2 私自身の炎技を強化するため。
えっ?仲間はって?ご心配なく。サーナイトの神秘のベールで状態異常にはなりませんよ!
「あつっ!あっつ!」
ギラティナは熱さに苦しんでいる。
「どお?いくら伝説でも状態異常はどうにもならないでしょ。でもこれがあれば…?」
私はバックからチーゴの実を取りだしギラティナの前にちらつかせる。
「それを…それをくれえ!」
ギラティナはチーゴの実目掛けて突っ込んでくる。私はチーゴの実を上に放り投げてパクっと食べた。
「あああっ!!!」とギラティナは半分発狂して怒りの矛先を私に向けた。私はギラティナの頭を踏み台に反対側に飛び越えた。振り向き様に火炎放射を撃つ。
「ぎゃあ!」
ギラティナは火傷+火炎放射で倍のダメージを受けたようだ。続けてエーフィがサイコキネシスで首を締める。
「うっ…ぐぐぐ…」
ギラティナは苦しさに呻いている。私は最後の一撃を決めるべくギラティナの前に移動する。しっかりと力をため腹をフレアドライブを叩き込む。多少の反動はあるけど倒すためには気にして入られない。
「やああああ!!!」
「ごっふぁあああ!!!」
ギラティナは足場の端まで飛ばされそのまま下に落ちていく。
「あああぁぁぁ………」
ギラティナは落ち続けて消えた。
「勝ったよー!」
私は嬉しくなりイーブイに抱きついた。
「わっ!」
イーブイは後ろに倒れた。
「あははごめん」
「えーっと。勝ったのは良かったけど、どうやって進むの?」
エルの質問に答えるかのように足場が出現した。そしてギラティナの声も聞こえた。
『次がアルセウスだ。気を引き締めて行けよ』
「じゃあ、行こうか…」
ルカリオがどっこいしょと立ち上がり階段に歩き始めた。