探検隊ツヨイネの日常










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二章 記憶の欠片
17話 ゾロアークとの出会い《心を痛めた少女》
「次の方ぁ!」
グレイシアが叫ぶ。
「呼んでも来ないよ。」
ルカリオがため息をついた。
「何で?」
「ゾロアークだからだよ。」
ルカリオは再びため息をついた。
「あー、そっかあ…あとルカリオ。ため息ばっかしてると幸せ逃げるぞ!」
グレイシアが忠告する。
「じゃ、また僕が話すよ。確かあれは一昨年のハロウィーンのカボチャを買いに行った日だったな。」
「何かイーブイって1ヶ月単位でメンバー連れてくるね。」
僕は少し驚いた。

―10月30日―
俺達は町までハロウィーンのカボチャを買いに来た。
つまり雑用。
家では飾り付けの準備をしてるのに。
何で俺達が…
「なあ、どのカボチャにする?」
俺は大きいの探しながらルカリオに聞いた。
「これなんかどう?」
そう言うと俺の4/3位はあるカボチャを取り出した。
「いんじゃね?」
「じゃ!決まりい!」
レジに持っていき、会計してもらうと金額はなんと750ポケ!(ポケとはお金のこと)
支払いを済ませ、店の外へ出ると男達が円になり何かを見て笑っている。
見た感じだと喧嘩に見えるが実際のところどうだかはわからない。
近くに寄って見てみるが俺の身長では届かないためルカリオに肩車してもらう。
「危ないから気を付けてよ!」とルカリオが言った瞬間、誰かがドンとぶつかり俺は円の中に落ちた。
一瞬にして五月蝿かった声が止む。
辺りを見回すと4本腕の男が一匹と黒い毛の少女が一匹、そして俺。
多分種族は『カイリキー』だろう。
黒い毛の少女の方は見たことも聞いたこともない種族だ。
俺が観察しているとカイリキーが俺を睨み付けた。
「ここは、ガキ禁止なんだがなあ…ん?僕ちゃんどこから来たんでちゅか?」
カイリキーは俺を馬鹿にしたように言う。
「気安く話しかけんじゃねえ。口、臭いんだよ!ちゃんと歯磨きしましょうって習わなかったんでちゅか?」
俺もカイリキーの真似をして馬鹿にする。
どうやらカイリキーの頭には相当血が昇ったらしい。
というのも4本の腕をやたらめったらに振り回し始めたのだ。
俺には一撃も当たらなかったが少女には当たりそうになった。
間一髪のところでルカリオが飛び出てきて助け出した。
俺は4本の腕を掻い潜り足にアイアンテールを叩きつけ転ばせる。
「大の男が女を苛めるなんてサイテーだな。何であんなことしたんだ?」
俺はカイリキーの頭を踏みながら聞いた。
「そ、それは頼まれて…」
「誰にだ?」
「それは言えねえ!言ったら俺が殺されちまう!」
カイリキーが泣き喚き始めた。
「チッ!」
俺はその場から去りルカリオ達の方へ向かった。
「大丈夫?」
ルカリオが心配そうに聞く。
「うん、大丈夫。」
「君は?」
俺は尋ねた。
「あたしはゾロアーク。助けてくれて有り難う!」
ゾロアークはニコッと笑いながら言った。
「そうだ!助けてくれたお礼に家に招待してあげるよ!」
そう言うとゾロアークはケータイ(どこにしまっているかは秘密)を取りだした。
数回のコールの後声が聞こえる。
「あっ、もしもしお母さん?ゾロアークだよ。今からちょっと友達連れていっていいかな?」
『ええ!勿論いいわよ!準備してるから早めに来てね!』
「うん!分かったよ!さあ行くよ!」
そんなわけで家に呼ばれた俺達。
歩くこと十数分。
「着いたよ!ここが我が家よ!」
ドアノブを回し家の中に入るゾロアーク。
「入っておいで…きゃっ!!」
ゾロアークは何かに滑り豪快に転んだ。
「だ、大丈夫!?」
俺達は急いでゾロアークに駆け寄った。
「うん、大丈夫…でも何かなこれ赤いけど…?」
ゾロアークは体中についた赤い液体を調べる。
「血だ。」
液体の匂いを嗅いでいたルカリオが言う。
「誰の?も、もしかして…」
ゾロアークは青ざめた顔で言う。
「俺が中を見てくるからルカリオ達は待ってて。」
キッチン辺りまで進むと先程より強い血の匂いがした。
下を見るとゾロアークの両親であろう死体が横たわっていた。
俺は玄関に戻った。
「どうだった?」
ルカリオは泣いているゾロアークを抱き締めながら聞いた。
「見ない方が良い。」
そう言った途端ゾロアークはもっと泣いた。
「なあ、ゾロアーク…行くところが無いなら家に来るか?」
ゾロアークは泣きながらコクッと頷いた。


「ゾロアークにそんな過去があったんだ。」
僕は何とも言えない気持ちになった。
「うん、ゾロアークは皆の前ではニコニコしてるけど多分心の中じゃ復讐に燃えてんじゃないかな。」
「皆初めは一匹だったね。」
僕はしんみりとした声で言った。
「ああ、そうだね。」
ルカリオが三度目のため息をつく。
「なーに暗い顔してんのよ!そんなんじゃイーブイの記憶は戻ってこないわよ!」
ロコンが部屋にずかずかと入ってきた。
「ああ、そうだね!もっと元気よくいこっか。」
「じゃあ、次は私ね。」
ロコンが座り、そして話し始めた。

■筆者メッセージ
初めてポケモンが死にました。
グロ描写はあまり無かったと思いますが、不快に感じた方は申し訳ありませんでした。
これからもよろしくお願いします。

イーブイの推理劇場
「やあ、文字数が少ないから手短に行くよ。今回話すのは『なぜ、ゾロアークが襲われていたか』だ。
俺の考えだとカイリキーの『頼まれた』という点でゾロアークを足止めするよう命じたのは犯人だ。
そして足止めしている間に両親を殺す。
だがこの計画には邪魔が入った。
そう、俺とルカリオだ。
ゾロアークが帰ってきたところを始末しようとしたんだろうが俺達が来たことによって犯人は逃げざるをえなかったわけだ。
殺人犯といえど相手が複数いれば対処に困るはずだ。
ましてや戦ってる最中に誰かが来たら厄介だからな。
俺の推理はどうだった?
またやるかもしれないからその時は見てくれよな!」
だんご3 ( 2016/04/26(火) 00:57 )