16話 ルカリオとの出会い《初めての友達》
「前回『次は僕だね』とは言ったものの、どんなんだったかなあ…」
ルカリオが必死に思い出そうとしている。
「頑張ってください!」
イーブイがルカリオの手を握って応援する。
「んー、確か僕達があったのは一昨年の9月だったかなあ…?」
ルカリオは自信が無いかのように言った。
―9月―
「んー!よく寝たー!」
時計を見ると十時半。
階段を降り、下に行くと誰もいない。
俺はテーブルの上に紙が置かれているのに気がついた。
「なになに、えーっと『今日は皆でポケモンランド行ってくるからいい子にしててね! グレイシア』…あー、そっか今日ポケモンランド行くとか言ってたな。」
俺は冷蔵庫から隠しておいたケーキを取り出し食べ始める。
因みにワンホール。
ケーキを食い終わりソファーに飛び込みテレビをつける。
「うーん…面白いのやってないなあ…」
チャンネルを次々に変えながら呟く。
「しょーがない。ポケチューブでも見るかあ…」
そして動画を見はじめてはや数時間。
そろそろ見飽きてきた頃俺は散歩に出ることにした。
行き先は絶望岬。
絶望岬とは昔々に人生に絶望したポケモン達が崖から飛び降りて命を絶ったらしい。
とは言ってもそこから見る景色はサイコー。
嫌なことだったり悩みが全部消える。
まあ、俺には悩みなんか無いけどな。
強いて言えば家計がヤバイってこと。
何で俺が家計簿を書いているかというと、リーダーになったその日にサンダース兄ちゃんが、『お前はリーダーなんだから家のこと頼むぞ』と渡された。
初めの方はエーフィ姉ちゃんが手伝ってくれてた。
だが『かわってよ』と言うと必ず寝たふりをしてスルーされる。
最近は赤字続きでな…
「何がポケモンランドだ!9匹分のチケット代だぞ?一体いくらすると思ってんだ!」
文句を言いながら落ちていた石を海に投げ込む。
はあ、とため息をつきその場に座り込む。
伸びをすると欠伸が出てきた。
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「…ん?寝ちゃったのか。」
体を起こしその場にあるはずのない時計を探す。
ふと横を見ると一匹のポケモンが座って夕日を見ていた。
「ッ!!!!!!!!」
驚きすぎて声も出ない。
「やっと起きたんだね。」
そいつはニコッと笑って言った。
「お前、誰だ?」
俺は威嚇するように聞いた。
「僕はルカリオ。よろしく。」
「俺はイーブイ。」
ルカリオは俺に手を伸ばしてきた。
見るからに怪しい奴じゃなさそうだから握手した。
「で?何で俺の隣にいたの?」
俺は警戒心をときいつもどうりの話し方に戻る。
「君、探検隊やってるでしよ。」
「やってるよ。入りたいの?」
俺は冗談のつもりで聞いたにルカリオは顔を輝かせて「いいの!?」と寄ってきた。
「お、おう。格闘タイプいないから大歓迎だぜ!」
「やったー!」
「っと、喜ぶのはまだ早いよ。皆の承諾を得なくちゃ。」
「そっかあ…よし!じゃあ、イーブイん家行こう!」
そんなこんなで家に帰る俺達。
鍵が掛かっていてるのでインターホンを鳴らす。
数回鳴らすとドアが開き、ニンフィアが顔を出す。
「お帰り、兄さん。その人は?」
「チームに入りたいってさ。」
「ふうん…」
ニンフィアはニヤッとした。
ニンフィアがニヤッとしたときは良いことは起きない。
「みいんなあー!!イーブイ兄さんが彼女連れてきたー!」
「は!?に、ニンフィア!?何言ってんの!?」
この声は山火事のように全員に広がっていった。
皆が玄関に集まりルカリオをジーっと見つめる。
一番最初に口を開いたのはグレイシア姉ちゃんだった。
「イーブイ、あんたホモ?」
「はあ!?全然違うよ!ルカリオがチームに入るんだよ!」
「よろしくお願いします。」
ペコッと頭を下げるルカリオ。
「ふーん。いいんじゃない。チームに格闘タイプいないんだから。」
シャワーズ姉ちゃんがサンダース兄ちゃんに寄りかかりながら言った。
「まあ、これで認めてもらえたんじゃないかな?」
俺はルカリオの方を向いて言った。
ルカリオはニコッとわらって「よろしく、リーダー!」と言った。