探検隊ツヨイネの日常









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一章 中学校生活の始まり
12話 二匹の本気!アイドルvsアイドル
「イーブイは下がっててこれは僕達の戦いだから!」
ツタージャは相手を威嚇するように睨む。
「やっと来たんだね!さあ帰ろう!皆待ってるよ!」
モココは先程の俺に向けた表情とは変わりニコニコした顔になった。
「何が待ってるよ!私達の方が人気があるからって、逆恨みはやめてほしいわ!」
クチートが叫ぶ。
「なら、無理矢理にでも連れ戻す!」
ニドリーナ目が赤く光る。
「最初から覚悟は出来てるさ!いくよクチート!」
「もちろんよ!メガ進化!」
クチートの首に掛かっている石が光り始めクチートを包み込む。
光りが消え中から出てきたのは頭の顎が二つになったクチートだった。
「く、クチート?一体それ、なんだよ?」
俺は戸惑いながら聞く。
「これはメガ進化っていって…」
クチートが説明しようとしたところをツタージャが止める。
「説明なんかしてないで手伝ってよ!」
「ゴメン、ゴメン。」
「ったく、うわっ!リーフストーム!」
ツタージャは迫ってくる毒針をリーフストームで撃ち落とす。
「あんなのかわせよ!リーフストーム使うと特効下がるぞ!」
警告を無視してリーフストームを撃ちまくるツタージャ。
気のせいだろうか?
ツタージャがリーフストームを使うたびに威力が上がってる気がするのは…
「ふふふ、ようやく気付いたね!そう!僕の特性はあまのじゃく!能力の変化する技の効果を逆にするのさ!」
「へー!凄いんだなー!」
皆が家から出てきて俺の前に集まる。
「イーブイ!あんた加勢しなくていいの?」
ロコンが首を傾げながら聞く。
まるで俺が戦い大好き野郎だとでも思ってる感じだ。
「あいつらの戦いだってさ加勢しようとしたら怒られた。まあ成り行きを見て危なそうだったら助けに行くさ。」
「それでもいいんじゃない?」
師匠が地面に座りながら言った。
「ん?あれは何かしら?」
クチートが指さしている方向にモココは振り返ったが何もない。
「何もないじゃな…」
言い終わらない内にモココの体は空を飛び地面に落ちる。
「これがほんとの不意討ちってやつよ!」
モココは大の字になって倒れている。
「くっ、モココが!逃げなくちゃ!」
ニドリーナが走り出そうとしたところをツタージャが蔓の鞭を足に掛けて転ばせる。
「敵を目の前にして逃げるだなんて情けないなあ。」
ツタージャは縛り上げたニドリーナを見てニヤニヤしている。
「お、お願い、殺さないで…」
ニドリーナは泣きながら頼んでいる。
「これだよ、これ!死を目の前にして泣き叫ぶ!いつ見ても最っ高だよ!」
「おーいクチート!ちょっと来てー!」
グレイシア姉ちゃんが呼ぶ。
「何ですか?」
クチートはメガ進化を解いてこっちに歩いてきた。
「あのさ、ツタージャって…ドS?」
「うん。そうなんだ。普段は普通なんだけどあーやって縛り上げたりすると急にSになるのよ。皆も気を付けた方がいいよ。」
「終わったよー!」
ツタージャが不思議な機械を手に持ってきた。
「それなに?」
ルカリオが機械をジーっと見ながら聞く。
「わかんないけどモココ達の首に掛かってたよ。」
そう言って振り返ると二匹の姿は跡形もなく消えていた。
「あれ!?あいつらどこ言った!?」
ブースター兄ちゃんが周りを見回しながら言う。
すると突然頭の中に声が響き始めた。

『我が部下と遊んでいただき礼を言わせてもらおう。我は疾風の星騎士のボスだ。だがまだ名前は明かさないでおこう。貴様達とはいずれ戦うことになるだろう!その時までに実力を上げておかなければ我には勝てんぞ!サラバダ!』
そして声は頭の中から抜けていった。
「何だったんだよ。今の…?」
サンダース兄ちゃんは不思議そうな顔をしている。
「ど、どうすんのよ!」
ロコンが不安そうに言う。
「わからない…でもいずれ戦うんだから今じゃない。先の事よりいまの事を考えなくちゃ。」
ブラッキーが冷静に言った。
「なあミミロップこの機械を調べてくれないか?」
「任せて!2、3週間ぐらいには終わらせるから!」
ミミロップは直ぐに自分の部屋に行ってしまった。
「はあこれで明日学校かよ…行きたくないなあー。サボろうかな…」
エルが珍しくため息をついた。
「でもあと一週間で夏休みだよ!頑張って!」
リーフィアがなんとか励まそうとする。
「確かにそうだね!あと少しで夏休みだ!」



しかし俺達はまだ知らなかった…
夏休みにとんでもない苦労をすることを…

だんご3 ( 2016/04/09(土) 00:21 )