日常W 〜ボルトのハッピーデイと悪夢〜
ボルトは町にいた。別に買い物をしに来たのではない。では何の為かと言うと、
ボルト「あ、ねぇねぇ君達、時間ある?良かったらお茶しn「ごめんなさい。今急いでいるんで。」あぁ....そぅ。」
ナンパをしていた。
明後日には死ぬかもしれないかなり険しい冒険に行くというのに、自由というか、緊張感がないというか。
ボルトはふられた後、トボトボと歩いて行く。
適当にフラフラしていると、一つの店の前に立っていた。そこは花屋だった。
そこでボルトは考えた。
花のプレゼントで女の子をおとせるんじゃないか、と。
ボルト「....思い立ったが吉日。早速買おう。」
そして店内に入り、小さな一輪の薔薇を買った。
こうして(無駄な)買い物を済ませたボルトは、またかわいい女の子を探し始めた。
因みに(どうでもいいが)、ボルトの好きなタイプは、同じでんきタイプで綺麗よりもかわいい系が好き。また特技があって、外見と話し方で相手の性格がわかるという、無駄でどうでもいい能力だが結構凄い。
キョロキョロと辺りを見回しながら歩いた。
あれから四時間が経った。
成果は言うまでもなく、ゼロだ。
まずタイプの女の子が居なかった。
しかも気がつけば辺りはすっかり暗くなり、ポケ通りも少なくなっていた。
ボルトは精神的大ダメージを受けた後に、若干俯きながら帰って行った。
帰る途中にある小さな橋を渡ろうとすると
ボルト「ん?」
ボルトはあることに気が付いた。
橋の下で一匹の雌ポケモンが二匹の悪そうな雄ポケモンに絡まれている。
しかも二匹のポケモンは、ただの柄の悪い不良ポケモンではない。
よくよく見て見ると二匹ともナイトメアだ。
しかもボルトは重要なことに気が付いた。
ボルト「あの子....かわいい。」
どうやら絡まれているポケモンはボルトのタイプらしい。
簡単ながらも身だしなみを整え、助けに向かう。
ライチュウ「嫌!やめて下さい!」
ゲッゴウガ「警察に届け出ようとした報いだ。諦めるんだな。」
バシャーモ「俺らのことを知られたからには、生きては帰れねーぞ。」
ライチュウ「嫌!誰か助けて!」
その時(ここからボルトの中二発言注意)
ボルト「待たれい!」
ゲッゴウガ&バシャーモ「何奴!/誰だ!」
そこには顔を見せないように下を向いているボルトがいた。
ボルト「天呼ぶ、地呼ぶ、ポケモンが呼ぶ。悪夢を負かせと我を呼ぶ。」
ゲッゴウガ「お主一体....」
ボルト「俺か?俺はボルト。雷の教え子。雷神が授けしこの力、悪を穿ち、永遠の平和を手に入れてやる。」
意味はともかく、かっこいい(?)単語を並べて、それなりに強そうに見せるボルト。
ボルト「か弱き女子に手を出す不届きの輩は、この俺が成敗してくれる。」
バシャーモ「........一ついいか?」
ボルト「なんだ?」
バシャーモ「酷い位カッコ悪いぞ。見てるこっちが恥ずかしいわ。」
ボルト「えっ?」
よく見ると、絡まれていたライチュウは笑いをこらえ、ゲッゴウガとバシャーモは若干ひいていた。
とんだ赤っ恥をかいたボルトは
ボルト「............死ねーー!」
照れ隠しでとりあえず叫びながら突っ込んだ。
一応体に電気を纏い、当たったら相手には電気のダメージも一緒に与えられる。
形は似ているが、ボルテッカーではない。
ボルトはバシャーモに向かって突進する。
バシャーモはそれを迎え撃つかのように
バシャーモ「くらえ!俺の渾身の一撃!ブレイズキック!」
ゲッゴウガ「待て!バシャーモ!」
ゲッゴウガが止めようとするが、時既に遅し。
ボルト「かかったな、アホが!」
バシャーモ「何!?」
バシャーモの“ブレイズキック”が炸裂!....かと思いきや、そこにボルトの姿はなかった。
ボルトは一瞬にしてバシャーモの裏をとっていた。
バシャーモ「しまった!」
ボルト「ふっ、まさに、迅速で轟く雷鳴、だな。かみなり!」
バシャーモ「ぐあぁぁぁ!」
バシャーモは黒こげになった。
笑いをこらえていたライチュウも驚いている。
ゲッゴウガ「まずい、ここはひとまず退散してボスに報告を」
ボルト「させねーよ!」
ボルトは一瞬にしてゲッゴウガの目の前にたった。
その速さはまるで雷のようだ。
そして
ボルト「かみなり!」
ゲッゴウガ「ぐあぁぁぁ!」
黒こげになり、ボルトに踏まれているナイトメア。
微かに意識があり、ボルトはあることを伝えた。
ボルト「いいかお前ら、よく聞け。この俺は、“チームブイズ”のリーダーであり、誇り高き“八ブイ士”が末孫、ボルトだ。覚えとけ!」
ボルトの様子を傍らで見ていたライチュウが
ライチュウ「あ、あの。」
ボルト「ん?ああ、怪我は無い?」
ライチュウ「はい。助けていただきありがとうございました。」
ボルト「いんにゃぁ、別にいいよ。お礼に付き合ってさえくれればね。」
調子にのるボルト。だが、ライチュウは
ライチュウ「わかりました。お付き合いします。」
ボルト「あはは、そうたよね。お付き合い....え?」
ライチュウ「最初は変なポケモンかと思っていました。でもさっきの貴方、すっごくかっこよかったです。」
ボルト「ども。」
ライチュウ「こんな私で良ければ、お付き合いします。」
ボルト「........い....」
ライチュウ「?」
ボルト「いよっしゃああああーー!」
ボルトの喜びの叫びが暗闇の中に響く。
近所迷惑だが、この喜びは抑えきれなかった。
非リア充からリア充になったボルト。
しかし、彼女とのしばしの別れがある。
だから
ボルト「ねぇねぇ、チューしようよ。」
ライチュウ「え?早くない?」
ボルト「今のうちにしておきたいんだ。だって....」
ボルトは冒険に行くことをライチュウに話した。
ライチュウ「そうだったの。でももしかしたら死んじゃうことだってあるんでしょ?それに今キスしたら悔いが残らないでしょ?」
ボルト「俺、冒険から帰ってきたら結婚するんだ。だからそれまで俺は死なない。」
ライチュウ「........わかったわ。目を閉じて。」
ボルトは言われた通り目を閉じた。
ライチュウはボルトに近づく。
ベシッ
ボルト「ん?」
ライチュウ「ふふ、やっぱりだーめ。帰ってきたらしてあげるわ。」
ライチュウはボルトの鼻を軽く小突く。
ライチュウ「だって、今したら冒険に集中出来ないでしょう?無事に帰ってきたらご褒美としてやってあげるわ。」
ボルト「....わかった。」
ボルトは納得した。
ボルト「じゃあまた、後で。」
ライチュウ「うん。頑張って。」
ボルト「あ、何だったら家まで送るよ。暗いからさ。」
ライチュウ「うん。ありがとう。」
ライチュウはボルトにくっつき、一緒に帰る。
ボルトは今の幸せをかみしめている。
今は二匹だけの時間を邪魔する者は誰もいない。
ここに、小さな恋が一つ生まれた。