星の戦士と共に 南十字星side
(ここからサザンクロス編)
ー幽霊の館 入口ー
『幽霊の館』とはその名の通り、幽霊が住み着いている館である。
このポケモンしかいない仙降地で物が勝手に動いたり、浮いたりするのはさほど不思議ではない。(エスパー技もあるし....)
だが、この館は違った。今はエスパー技を持たないゴーストポケモン達が住み着いている館となっているが、住み着く前から不可思議な現象が起こっていたという。
今まで何匹もの探検隊兼研究員が調べてきたが、何一つ判っていない。
その中にエリート研究員がいたのだが、謎の病気に侵され亡くなったという。
だから恐ろしくて誰もこの場所に近づこうとしない。
なんせ怪奇現象だから。
ライザ「....あ、来た来た。」
アルファ(ルカリオ)「すまん。修行の傷を癒やしていたら遅くなった。」
ベータ(ジュプトル)「チッ、後少しで出来そうだったのによ。」
ライザ「悪いな。(一応任務だからな)ボソッ」
クロウ「あの、いいですか?」
クロウが“サザンクロス”の話に割って入る。
女(♀)共は後ろでガールズトークと洒落込んでいる。緊張感を全く持っていないように見えるのは気のせいだろうか....。
普通女の子というのは、幽霊に対してキャーキャー言うはずだ。
ユキナは怪奇現象が起きようが興味を示さなそう。
ナギは幽霊相手でも優しく笑顔で接しそう。
リーフに関しては違う意味でキャーキャー言いそう。(←楽しんでいるという意味で。)
ついでだが、クロウは冷静に対応しそうだし。
........まとなやつがいない。
クロウ「後一匹は?」
ライザ「そういえば、ガンマは?」
アルファ「ここへ来る途中の施設に入っていくのをみたが。」
ライザ「そかそか。じゃあ俺達だけで行こう。」
ガンマとは子供達から優しくて強いおじさんと言われているエレキブルだ。
普段は任務には参加せず、施設を回って子供達の相手をしている。
力持ちでもあるため、施設の先生達の手伝いもする、本当に優しいポケモンだ。
ライザ「皆、聞いてくれ。」
ライザの一声で皆聞く体勢になった。
ライザ「いいか?この『幽霊の館』は、敵こそそれ程強くない。というより弱い。なんせ、ランクが〈赤〉とか〈橙〉といったところだ。だけど油断はするな。力は弱いが、頭はそこそこ良い。怪奇現象を利用してちょこまかと動き回るからな。気を引き締めていくぞ!」
一同「はい!/おう!」
そして“ブイズ組”と“サザンクロス”は『幽霊の館』へと入っていく。
???「ケケケ....ボスの言っていたことが本当なら、あいつらがそうか。....かげぶんしん!................ケケケ、待ってろよ。」
ー幽霊の館ー
中は暗いが、きちんと掃除はされているようで綺麗だ。前には階段があり、上下に四つずつ扉がある。更に高級そうな花瓶、絵画 カーペット、タイルなどがある。建てたポケモンは相当お金持ちらしい。
ライザ「よし。まずはあっちから行こう。」
ライザが指差した方は一番右の扉だ。
入ってみると、長いテーブルに白いテーブルクロスがかかっていて、椅子も沢山あり、奥には厚そうな扉がある。どうやら食堂のようだ。ということは、奥の扉は厨房だろう。
ライザを先頭に厨房に入る。
ここまできたが、何も起こらないし、何の変哲もない。
厨房には鍋やフライパン、ボウルなどの調理器具や皿、コップなどの食器が沢山ある。(厨房だから当たり前か。)
電気が壊れているのか、点かない。
皆が注意深く探索しているとリーフの体に異変が....
リーフ「う〜ん....あれ?うわ!うわ!」
ライザ「どうし....なっ!」
リーフの体がフワフワと浮いているのだ。
周りにポケモンもいないし、見た限りポケモンの技ではなさそうだ。
じゃぁどうして....
クロウ「ど、どうなってんだ。」
リーフ「あはは!なにこれ、楽しい!」
ナギ「こらこら。遊ばないの。」
ユキナ「まったく。こどもなんだから。」
リーフ「だって楽しいんだもん!」
まったく。この三匹ときたら。驚きもせず。
すると、
パリーン
と音を立てて食器棚の皿が割れた。
誰も食器棚には近づいていないのに。
そしてまた、
パリーンパリーン
と音を立てて割れた。
今度はコンロの上のフライパンやながしの中の寸胴がリーフと同じく、フワフワと浮き始めた。
で、そのリーフはというと
リーフ「わーい!わーい!(≧∀≦)」
めちゃくちゃ楽しんでいる。
油断していると、
リーフ「痛っ!」
急にリーフの体が冷たい床に落ちた。
リーフ「もうちょっと楽しみたかったのに。」
ユキナ「あんたちょっとは大人になんなさいよ。」
恐怖感0のこの二匹。
そしてまたもや、
カチッ
何かのスイッチが入ったと思ったら、厨房の電気が点いた。入口にあったスイッチをいくら押しても点かなかったというのに。
そして消える。
十秒もしないでまた点く。消える。点く。消える。点く。消える。
ライザ「一旦ここを出て、他の部屋にいこう。」
ナギ「なんか気味悪いわ。」
ナギは多少ビクビクしている。
....やっとまともになった。(一匹だけ)
“ブイズ組”と“サザンクロス”は、食堂を出て、階段の上手にあった扉に入った。
そこは、公衆みたいなトイレかあった。
男女共同らしい。
というか、全員で入ると....狭い。
ライザ「....出よう。」
まあ、そうなるわな。
皆一刻も早く出たかった。狭いから。
トイレからでると、今度は一番左の扉に入った。
真ん中にテーブルとちょっと豪華な椅子があった。恐らく客室だろう。なんせ椅子だけではなく、他の家具もそこそこ豪華そうだから。
ベータ「一回でいいからこういうところに住みてーなあ。」
ライザ「了解、そのまま呪われてろ。」
ベータ「....いや、冗談なんだけど。」
ベータの冗談を冗談で返すライザ。
そしてまた突然に
アルファ「....まただ。」
椅子、テーブル、花瓶がフワフワと浮き始めた。
また浮いているだけだろうと思っていた。だが、
クロウ「危なっ!」
ギリギリのところでよけたクロウ。
何が起こったかというと、浮いていた豪華な椅子が急に飛んできた。まるで誰かが投げたかのように。
ベータ「なるほど。だったらこっちも容赦しねーぞ!」
見えない相手に対して闘志を燃やすベータ。
ベータ「おらおらー!はっぱカッター!」
リーフ「楽しそう!私も、はっぱカッター!」
アルファ「お、おい。」
ナギ「あらあら。楽しそうね。」
クロウ「やめとけ。」
リーフが加勢(あそび)に入る。
....子供が二匹。
気づくと家具やカーテンは粉々になっていた。
ライザ「........やりすぎだ。」
クロウ「すみません。うちのリーフが。」
ライザ「いや、事の発端はあいつだからいいよ。」
ベータ「っしゃー!」
リーフ「やったー!」
ベータ・リーフ「イェーイ!」
とハイタッチ。
入りにくい二匹の世界....
は、置いといて次は階段の下手の扉へ入ろうとした。
そしたら
バタンッ!
二階の右端の扉が大きな音を立てて閉まった。
あれ?開いてたっけ?
ライザ「....行ってみるか。」
勇気を出して問題の扉へと向かう。
入ってみると、そこはかなり広い部屋があった。ほぼエントランスと同じ位の広さ。
ライザ「ったく、何だよこれ?設計ミスか?」
左奥に扉がある。どうやらこの部屋だけで二つの出入り口を使っているらしい。
む、無駄過ぎる。
アルファ「この部屋....危険な感じがする。」
ライザ「お前もそう思うか。」
突然
パンッ
と音が鳴る。
また鳴る。
またまた鳴る。
流石『幽霊の館』。おかしくなりそう。
この部屋は音が鳴っただけで、特に変わったところはなかった。
次にその向かいの扉に入った。
中は子供部屋みたいだ。
バラバラに切り裂かれて綿が出ているぬいぐるみ、粉々のロボット、刃の折れた剣の玩具、ボロボロの絵本、ズタズタのベッドがある。
かなり乱暴な子供だったのか?
ただ、その本の中には無傷でこの場に似つかわしくない本があった。
そのタイトルは
クロウ「仙降地....伝記?」
ライザ「!?」
クロウが本を取った。
それに対しライザが異様な反応した。
だが、“ブイズ組”は気づいていない。
クロウ「とりあえず、とっておこう。」
と言いながらバッグにしまう。
この部屋は他に何もなかった。
そして部屋を出て、隣の扉に入る。
が、そこには何もなかった。絨毯も無ければ家具も一切ない。まっさらな部屋。
ライザ「ここには何もなさそうだな。」
皆が出ようとした時
アルファ「....ハァ....何かあるみたいだぞ。」
ベータ「おっしゃー!リーフ!いくぞ!」
リーフ「はい!ついて行きます!!」
ライザ「待て。....クロウ、お前たちがやれ。」
クロウ「はい。いくぞ、みんな!」
ブイズ組(クロウを除く)「はい!」
紫色のもやのようなものが相手....かと思いきや、紫色のもやはポケモンになった。
左からムーマ、ゲンガー、ムーマージが目の前に現れた。
ゲンガー「ケケケ。お前ら何しにきた?」
ムーマ「わーい!新しい〈玩具〉だ!」
ムーマージ「返答次第ではただじゃ済まないわよ。」
返答に困るライザ。
ライザ「探し物。ただそれだけだ。」
ゲンガー「ケケケ。こんな辺鄙な場所でか?ふざけるのもいい加減にしろ。シャドーボール!」
ムーマージ・ムーマ「シャドーボール!」
全員一斉に“シャドーボール”を撃ってきた。
ナギ「まもる!」
ユキナ「れいとうビーム!」
リーフ「はっぱカッター!............よしっ、完璧!上出来!超感激!」
クロウ「....遊ぶなよ。」
ユキナが“れいとうビーム”で相手を凍らせた後、リーフが“はっぱカッター”で氷の彫刻を作った。ご丁寧にもゲンガーにはゲンガーの彫刻と、そのポケモンの彫刻にした。....意味はないが、気にしたら負けだ。
ナギ「それじゃ、留めはお願いね。」
クロウ「あくのはどう!」
パリーン ドオオン
リーフ「あ〜あ。勿体ない。」
ゲンガー「く、くそぉ〜。」
煙の中から弱く、だらしのない声が聞こえた。
クロウ「かみつく!」
ムーマージ「うわー!」
ムーマ「キャー!....なんてね。」
クロウ「!?」
急にクロウの真上の電灯が落ちてきた。
ベータ「危ない!」
パリーン
間一髪のところでベータがクロウを救った。
ベータ「大丈夫か?」
クロウ「はい、ありがとうございます。」
ライザ「あまり油断するな。」
クロウ「すみません。」
ゲンガー「ケケケ、ほらほら〜、危ないよ〜。」
落ちた電灯が浮いて、ライザに向かって飛んできた。
が、ライザは
ライザ「十万ボルト。」
ライザの“十万ボルト”は電灯を壊し、三匹のゴーストポケモンに向かっていく。
ゲンガー「げげげー!」
見事に命中。
三匹はもう動けない。
ライザ「悪いな。倒せって指示した奴が倒しちゃって。」
クロウ「いえ、大丈夫です。」
アルファ「........最後の部屋にいくぞ。」
最後の部屋とは階段の下手の扉だ。
物音がしたせいで調べられなかった。
階段の下手の扉の奥は脱衣所だった。
洗面所があり、洗濯機があり、更に奥には浴室がある。
とりあえず浴室に入る。
広々とした空間、大きな湯船、いくつものシャワー。まるで戦闘のような大浴場だ。
ここの電気は普通に点くようだ。
何故か湯船の中の水は無駄に綺麗だ。
ライザ「....気配がする。」
アルファ「あの湯船か?」
ユキナ「れいとうビーム!」
ザバーン ピキピキ
湯船の水が凍る瞬間に何かが出てきた。
今その何かは天井に立っている。まるで忍者のようだ。
ライザ「....お出ましか。」
ナギ「....サイコキネシス。」
ナギは“サイコキネシス”を使い、桶を浮かし、壁に向かって飛ばした。
すると、桶が当たる瞬間にゲッコウガが沢山飛び出てきた。
ゲッコウガ「よくぞ拙者のかげぶんしんを見破れたな。だが、安心するのはまだ早い。いけ!かげぶんしんよ!」
沢山のゲッコウガのかげぶんしんが襲いかかる。
ライザ「コイツらは俺達がやる。君達は本体をたたけ!」
クロウ「わかりました。」
かげぶんしんの網をスルリとかわしていく“ブイズ組”。
クロウ「シャドーボール!」
バァン!
ゲッコウガ「下手くそめ。どこを狙っている。」
ユキナ「れいとうビーム!」
ゲッコウガ「何!?しまった!」
クロウがゲッコウガの近くに“シャドーボール”を当て、煙が立ち込めている中、ユキナの十八番の“れいとうビーム”でゲッコウガの足を凍らせた。
今、ゲッコウガは身動きがとれない状態。
リーフ「エナジーボール連射!」
ナギ「サイコキネシス。」
再びナギが“サイコキネシス”を使い、桶を飛ばした。
ゲッコウガ「なめるな!みずしゅりけん!」
リーフの“エナジーボール”と風呂桶はことごとく破壊されていく。
上半身だけを動かし、うまい具合に“みずしゅりけん”を当てるゲッコウガ。
だが、そればかりに集中し過ぎたせいで背後から迫る陰に気がつかなかった。
ユキナ「たいあたり!」
ゲッコウガ「ぐはっ!」
ユキナの“たいあたり”は見事ゲッコウガの背中に直撃した。
これは結構なダメージ。
ゲッコウガ「お、おのれー....」
クロウ「シャドーボール!」
ゲッコウガ「ナイトメアをなめるな!ハイドロポンプ!」
ブイズ組「ナイトメア!?」
“ブイズ組”が驚いている隙に、クロウの“シャドーボール”が破られ、ゲッコウガの“ハイドロポンプ”が直撃....かと思いきや、“シャドーボール”で少しばかり軌道がズレていたため、ギリギリ当たらなかった。
クロウ「ふっ、面白くなってきた。」
とその時後ろから声が
ベータ「みんな伏せろ!」
ベータのその言葉でみんなすぐに反応して伏せた。異常な位の条件反射。
すると、
ライザ「ライジングショット!!」
バアーン!!
一瞬ピカッと光ったと思ったら、ゲッコウガが黒こげになって落ちてきた。
今の一瞬で何があったのか?
ライザ「悪りィ。めんどくせーから一気に片付けようとしたらあいつにまで当たっちまった。」
クロウ「でも、ナイトメアのいちみを倒したんですから、結果オーライじゃないですか?」
ライザ「いや、まぁ、うん。まいっか。」
ベータ「じゃぁ、ナイトメアは持ち帰って....あれ?」
ライザ「どした?」
ベータ「死体がねーぞ。」
ライザ「いや、殺してねーから。多分。」
若干不安になるライザ。
だが、ゲッコウガの姿が無いのは嘘ではなかった。
クロウ「もしかして、あいつもかげぶんしんだったんじゃ。」
ライザ「そう考えるしかないな。」
まだ怪奇現象の謎を解決出来ていないが、とりあえず....
ライザ「よし、帰るぞ。」
一同「はい。/おう。」
そして『幽霊の館』をでた。