二話 海岸の洞窟
海岸の洞窟b1
とりあえずその海岸の洞窟にやってきたは良いが、一階も二階もモンスターハウスなるものは存在しなかった。
モンスターハウスとはそもそもなんなんだ?レイジの話によれば、ダンジョンのポケモンは自分の縄張りを持っているらしくその縄張りに入ると襲ってくるのだが、偶然が重なって何匹ものポケモンの縄張りが重なってしまったエリアのことをモンスターハウスと言っているらしい。
やっぱり自分がポケモンになった原因は全く分からない…
それどころかここに来たばかりでろくに技も撃てていない。遭遇したポケモンは全てレイジが処理している。しかも技使わずに素手で…
そんな事を考えていると3階に上がる階段を見つけた。
海岸の洞窟b3
「なあレイジ…お前なんでそんなに強ぇの…?」
「ん?…知らねぇよ。ここのポケモンが雑魚なだけじゃねぇの?」
嘘つけ!俺なんてさっきからその雑魚から逃げ回っているだけなのによ!お前ときたら素手でポケモンねじ伏せてんじゃねぇか!
何か技が出たかと言えば、ようやくデンキショックを出すことが出来た。このデンキショックから色々な技を派生させていければ少しは強くなれるだろうか?
「おいナオト。どうやらお出ましのようだ。」
そこは他の場所とはうってかわり、大きく開けていた。
広い袋小路の部屋に大量のポケモンと、真ん中に小さめのストライクが見える。多分あいつだろう。
「どうするんだ、レイジ?」
「そりゃ、突っ込むに決まってんだろうが!」
「おいおいちょっとまーー」
俺の制止も聞かずにレイジが飛び出したので後に続く。等のレイジはというと、浮遊しているペリッパーに背後から近づき、馬跳びの要領で飛び越えてそのまま頭を地面に叩きつけた。ペリッパーが気絶し、その時に発生した音でポケモン達が一斉にレイジの方に向き直った。
「この!デンキショック!」
そこらにいたヘイガニにデンキショックを与えて気絶させると、後ろからシザリガーとヌマクロウがそれぞれハイドロポンプを放ってきた。
「あぶねぇ!ふんか!」
レイジが咄嗟にふんかを発動する。両手から発せられたマグマがハイドロポンプを打ち消し、二匹を焼き払った。
残りはフローゼル一匹だが、高速移動を使っているのか物凄く早くてデンキショックが全く当たらない。
しかし、その移動は早くに止まることとなった。
突如フローゼルが二度中を舞い、地面に落ちて気絶したのだった。
フローゼルの直線上には、だるそうな顔のレイジが。
簡単に説明すると、レイジは目にも止まらぬ早さでフローゼルに突進し、すれ違い様に空中にぶっ飛ばし、戻ってきた時に上から落ちてきたフローゼルをさらにもう一回吹き飛ばしたというわけだ。
「今の技なんだ?見たことなかったけど。」
「当たり前だろ?派生技だし」
レイジが説明を始めた。
「高速で移動して、炎をまとわせた切り裂くですれ違い様に切り裂く。ただそれだけだぜ?」
そんな派生の仕方まであるのか…
とりあえずポケモンを退けてストライク妹をストライク兄の所につれていった。かなり心配だったらしく、つれていった瞬間に抱き合っていた。
「まあ、とりあえず一件落着だな…」
ふぅ…と息をはく。
…そうだ!すっかり忘れていた!
「寝るところがねぇ!」
「うぉっ!びっくりした!」
完全に忘れていたが家がねぇ!寝るところの心配を全くしていなかった。
「レイジぃ…近くで泊まれる所ってないか…?」
「宿泊できる所っていっても…金は?」
「うぅ…あんまねぇ…。なるべく安い所で…」
その金…ポケというらしいが、それはさっきのストライク兄妹からお礼としてもらった500ポケをレイジと分けた250ポケしか手持ちがない。
「…金だして泊まるよりはグレード落ちるけど、無料で泊まれる所ならあるぞ。」
「この際グレードなんてどうでもいい!どこだ!」
俺は真っ先に食いついた。
「俺の家」
「…はぃ?」
「俺の家で良ければ泊めてやる」