一話 ポケモンになった少年
「どうしよう……」
ワタシは、部屋の中をぐるぐると歩きまわっていた。
ギルドに助けられて七日。そんなに長くここにいるのも許されないだろう。
探検隊になるのが一番手っ取り早いんだけど、二人以上じゃないと、チームは組めないし……。
ギルドのみんなはすでにチームを組んでるし……。
「あー、もうっ!」
ぐだぐだ考えていても、進まないっ。外へ行って、気分転換しようっと。
ワタシはそう思って、ギルドを出た。後ろからついてくる、二つの影を気にも留めずに――。
〜〜
「う……ん」
うっすらと目をあける。体が痛い。その痛みから、体が徐々に覚醒してくる。
「ここ、は?」
ふらふらする足をたたき、立ってみる。海岸?
「うっ……!」
肩に鋭い痛みが走った。よろける。海の中に倒れ込んだ。海面にピカチュウの顔が映る。
(え!?)
海面を凝視する。揺れる水面の上には、ピカチュウの顔。体が震え始めた。信じられない、信じたくない。
(なんで……こんな!)
映るはずである人間の姿が映らないのだ。
なぜ、なんで? 頭がぐちゃぐちゃになる。
キュインッ!
「!」
頭の中に閃光が走った。色々な記憶が頭を駆け巡った。
「星……停止、カ、け……いな。ヨノ……」
息が荒くなる。思い出せそうで思いだせない。
何か、大事な事を忘れているような気がする。大事な、使命を。
星の停止。過去。未来。
「あぁ――」
少しずつ頭が澄んでゆく。まだぼんやりとしていることは多いが、わかったこともある。
(オレは……)
近くの岩に寄りかかった。意識が薄れる。
(やらなければ、ならない)
確固たる意志が浮上してくると同時に、意識は途絶えた。