叛骨の強奪者 を読んだ感想 | ||
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投稿者:ポリゴ糖 評価:とても良かった! 2019/06/06(木) 22:00 | |
[表示] 大分前に読ませていただこうと言ってから時間が経ってる気がしますが、とりあえず最新話まで追いついたのでそこまでの感想書かせていただきます! やはりこの作品の見どころはアクションですね……冒頭から走行中のリニアでの戦闘、と、かっ飛ばしていくところ、度肝を抜く意味で素晴らしいと思います。石化という絶望感、それに耐えきれない様子を見せるイトハ、というシーンも、後々のことを考えると非常に効果的だったかと思います。まだ石化現象の全容は掴めませんが(マルバの言ったことは本当かどうか?)、死ではなく復帰の絶望的な静止、というところは、海底神殿での戦いといい、ぶっちゃけ死よりも惨たらしい状況を作り出しているようで、上手いなあ、と。 もちろんその合間で展開される人間模様というのも見どころだと思いました。ヒイラギとイトハの精神世界での会話とか胸に来ますね……。ヒイラギの「英雄」観とその苦しみ、イトハの苦しみを分かち合おうという言葉、そこから断絶を置いての「おかえり」「ただいま」はずるいっすわ……。どいつもこいつも胸に抱えているものがあって、それが譲れないがゆえに衝突する、というのは醍醐味ですね! キャラクターの中だと私はホオズキ推しです。やっぱりミュウツーとの絡みもあるということが、マルバ達に従う形で敵対するときの悲哀をとても強く呼び起こしたというのもあります。妻と子供の為、という彼の目的、これは世界のためとか正義のためとかではなく、あくまでも自分に守れる範囲で、というか、肩肘張り過ぎないというか、上手く言えないんですけれど、そこに彼なりのこれまで歩んできた道程の彼にとっての重みというか、そういうものを感じたところであります。それがゴルーグとの関わりの中にも表れているような気もします。「仮に神と呼べるものが実在するなら、きっとおれたちは嘲笑われてるんだろう。だが」「おれも運命に叛逆するぜ」このシーンがとても印象に残りました。カッケー! 原作キャラの描き方だとサカキの戦い方好きですね……。対ユクシー戦で鍛え上げたポケモンたちが次々石化されても全然怯まないところとか、あくまでもポケモンは駒であり戦士、みたいなスタンスをよく表しているように思えました。 あとやはり最新話のですね……「読者側としてよく知っているスナッチャー」の前身、プロトタイプ的な立ち位置としてアクロマたちが司令官を追い込むところ、ほんとに痺れました……! アクロマもしかり、スレートもエクリュも「元プラズマ団」がどういう理由でスナッチャーに協力したりしているのか、まったく読めませんでした! いや本人たちも気付いていなかった(記憶から消されていた)んでしょうし、本人たちが一番びっくりかもしれませんが! 先の展開がとても気になりますね……マルバの言っていた石化はギラティナの異世界の云々という言葉が本当だとすれば、ヒイラギとイトハがそちら側でいちゃいちゃ……じゃなくてばりばり奮闘してくれるんじゃないかって期待してます、続き楽しみにしてます! [27]
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投稿者:はやめ 2019/06/10(月) 21:56 | |
[表示] ポリゴ糖さん、読了だけでなく感想までありがとうございます! 読み返しては頬を緩ませている作者です。 最近は、小説でアクションを表現するのって、正確性においてどうしても限界があるというか、映像に比べて難しいと思っているのですが、それはさておき書きたくなってしまう自分がいます。ミュウツーvsミュウやマルバvsヒイラギは、バトル論が盛んな中での更新投稿ですしね……。「ミッション」の遂行が物語と決めた時から、アクション描写とは長い付き合いになるだろうと思っていました。 冒頭〜リニア戦:意識したこととして、説明をくどくど並べるよりかは、物語自体をガンガン進めてその牽引力であわよくば続きを読んでみよう、と思ってもらえたらいいなという狙いがあり、このような構成をとっています。 マルバが述べた通り、死んでしまえばそこが終着なので、生き地獄を味わっているようなヒイラギたちの戦いは、生死の境界線ど真ん中にあり、その振れ幅によってどちらにも傾き得るという微妙なバランスを保つよう心掛けています。その均衡が各キャラクターの陰や纏う危うさにも繋がっているようにしたかったんです。 というのも、マルバが使い捨てられる波導使いたちをはじめとした 戦士の運命を本当に嘆くなら、せめて直接的な死ではなく、彼らの救いになるような慈悲を与えるはずです。ただ石化を無闇に増やすことは、ネオロケット団員らにとってメリットになりません。そこら辺思想の違いが、スナッチャーとネオロケット団の対立点を決定付けてもいます。 ヒイラギとイトハの関係性が始まりを告げた「月夜に緋糸を結ぶ」。改めて、この回の反響が大きかったなあと認識しています。思い入れが深い回のひとつです。 ヒイラギ×イトハを描いた後は、ヒイラギ×ホオズキときて、イトハ×ホオズキが一対一で向き合う一連の流れも必要でした。また、ヒイラギの叛骨精神を示し、皆で内通者を追い詰めるにあたっては意味のある断絶期間になったのではないかと思います。ポリゴ糖さんも仰るように、ヒイラギとイトハの二人は物語を通してまだまだ波乱があるので、その点も楽しみにしていただければと思います。 ホオズキ推し! ありがとうございます。本当に人気だな彼は。作者冥利に尽きます。 スナッチャーの中では少し異質というか、ニヒルなポジションにいますよね。ヒイトと異なり、既に妻子持ちであることが大きい点でしょうか。彼は幼少期からロケット団という異世界しか知らなかったからこそ、何よりも普通の暮らしに憧れ、手に入れた小さな幸せの価値を噛み締めています。 この、「肩肘張り過ぎない」というのは、スナッチャーではそれなりに意識しているところです。世界を懸けた戦いに集められた人員でありながら、個々人は少し捻くれて斜に構えたように世界など……、と「波導の勇者」を騙るマルバ相手に吐き捨てる。彼らはみな何かを失った人であり、何かを欲してやまないのです。だからこそ誰よりも小さな幸せを見つけることが出来て、それを大事にしようと努める人たちだと思います。 サカキの戦い方は、彼にとって「ポケモンは道具」というところを突き詰めていくと、神の喉元に迫るための駒を切り捨てていくんじゃないかと想像を馳せました。自分でも気に入っている描写なので、そのスタンスを好きと言っていただけるのであれば悪の組織のボスらしさを表現できたかなと思います。 そうなんです! 「読者側としてよく知っているスナッチャー」の裏にプロトタイプ・スナッチャーがいる、これは叛骨という作品を書く上で絶対にやりたかった構図のひとつでした。プラズマ団がスナッチャーに協力する理由は何故? という疑問を常々読者様からいただいていたので、実はこういう事情があったんです。ようやっと明かせました。ただ原作キャラをオリジナルチームの司令塔に置くには結構な思い切りが必要でしたが……笑 作品の流れを全部汲み取ってくださり、感激しています! ありがとうございました! Second Stageも終盤も終盤、スナッチャーの戦いの行方をどうぞお楽しみに! [28]
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叛骨の強奪者 > Second Stage - EX-Team Rocket part - > 23 Phase 42 勇者にあらず を読んだ感想 | ||
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投稿者:とらと 2019/03/30(土) 22:20 | |
[表示] 39話〜42話の感想です。 悪を以て悪を制す、強大な敵に立ち向かう元より壮大な話ではありましたが、マルバさんの語るネオロケット団の計画により、更に物語のスケールが増した感がありますね、いやスケールが増したというレベルではありませんが。神や異次元をも巻き込むこのスケール感こそが本作のカッコよさなのだと思います。石化の裏に人類幸福計画が存在したとは……! ギラティナってそういえばはんこつポケモンだったですね、映画など未視聴なのでよく分かりませんが何故はんこつという分類になっているんだろう……?物語の鍵を握っているのは確かそうです。やぶれたせかいでの皆夢見てハッピー計画(?)という狂気の沙汰としか言いようのないマルバの誘いを正面切って否定するのではなく、迷い、揺れ、そのうえで「おれは世界など救う気はない」などと斜め下から拒絶していくようなスナッチャーの卑屈さが非常に印象的で、また強者にも関わらずアンダーグラウンドに生きざるをえないような彼ららしいとも思いました。厨二心を擽られます(褒め言葉)。敵・味方問わず、どこをとっても名言・名シーンが畳み掛けてきて、はやめさんの台詞回しやドラマチックな演出の熱さには毎度毎度痺れる……!!という感じです。キャラたちの覚悟や生死を賭けた壮絶さに終始圧倒されました……! そのなかでも、 >「おれが人形じゃないとしたら、何だと思う」 >「人間でしょ。それ以上でも以下でもない」 ここのやりとりなど大変素敵でした。こんなときのイトハさんのカッコよさったらありません……!! メガシンカの応酬、ミュウツーとの対峙、ミュウの登場と、死闘の連続に読者のボルテージも下がる暇がありません! ミュウの18種類の技での逆転、そこからのミュウツーの再逆転劇という演出などもう、凄まじいの一言……!! マルバさんに対して、ミュウ&カメックスのスナッチに飽き足らず、ヒイラギさんとイトハさんの石化など、まさに度肝を抜かれるような予想だにしない展開でした。ここまで徹底的にやるか……(愕然)と何度も思わされてきた本作ですが、いやあこの展開は……マジで凄いですね……えげつないです……(えげつない)今後の展開もまったく読めませんが更なる苦境が待ち受けていることでしょう。戦々恐々としながらお待ちしております……!!えげつない!! [25]
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投稿者:はやめ 2019/03/31(日) 12:19 | |
[表示] 感想ありがとうございます。 叛骨という作品を考えていく内に、XY以前までを包括したようなお話にしたいなと思い致りました。 スナッチャーの前に立ちはだかるのはこれまでに登場した悪の組織の歴史を含んだような巨悪にするつもりでした。叛骨に登場する原作キャラも、ほとんど組織と関連、または世界の暗部に浸かってきたような人物ばかりで、これからもそうなります。 マルバの演説が一定の効力を持つのも、「ポケモン世界の治安の悪さ」からいえば、そういう思考の人間が出てきてもおかしくはないなと。後はスナッチャーの境遇如何で決まると思い、そのためにも救いのない戦いへと彼らは身を投じていきました。これが甘々の戦いだったら、マルバの言葉には全く響くものがなかったと思います。やるからには徹底、というのは作品のらしさの構築にもつながると思いますし、ここら辺を甘く書くようでは作品に対しても登場人物に対してもかえって失礼でダメな作品になりそうだな、と思いました。 私たちの生きる現実こそ、より救いがないので、叛骨はまだマシな方だと思って書いています。その中には作者の厭世観が陰を落としているかもわかりませんが……。ですので、ホオズキやイトハと和解する機会がなければ、スナッチャーはネオロケット団サイドに堕ちたと思っています。 ギラティナが「はんこつポケモン」という分類である理由は、二次創作としての補完が必要になりますが、かつて元の世界を暴れ者ゆえに追い出されたそうです。そこで破れた世界を自分の空間としたのでしょうね。ディアルガやパルキア、アルセウスあたりからそのような仕打ちを受けたのではないかとネットでも考察されているようです。権力や時代風潮に逆らうことを「反骨精神」と称するので、ギラティナのそういった境遇をのせて分類されたのかもしれませんね。今作タイトルも「叛骨」ですが、そのような含みを持たせていたりもしています。 スナッチャーの中でも特にヒイラギは、本当に「世界を救う」という言葉や考え方そのものが嫌いで、心の奥は実はそうなりたかったので(「勇者に焦がれる」など、何度かそういう場面を描いてきたことが「悪の出現」での問答に繋がっています)、でもそう吐いてみたところで何も変えられない無力さは身に染みて分かっているという。 私自身「世界を救う」お話自体は好きではありますが、こういうの書いててなんですが、むしろ私自身が受け手に回ったとき、小規模でそういった命運を背負わされない話の方がより好みです。ではなんで叛骨やら他の作品も世界が出てくるのかというと、恐らく自分にないものを埋める行為をしているのかと思っています。正直自分にもよくわかりませんが。 脱線しましたが、そこで安易に「おれは世界を救ってやる」と意気込む主人公にはしたくないと思いました。そこがヒイラギのダークヒーローたる所以かもしれません。 ですので、「世界を救う」という無償の愛もどきをささげ豪語するマルバは、宿敵に該当します。マルバらの石化行為が単に世界を不幸にするだけの行いであれば、これまでの悪の組織と何ら変わりなく。彼らにとっても石像だらけのさみしい世界を作るだけかと思います。そこにはメリットが無いんですよね。そこで、仮に石化による付加価値がもたらされれば、計画に賛同する人々もいるでしょうし、ポケモンの設定を取り入れた上でならば、多少の無理も利くだろうと思い、このようにしました。その辺も、今後じっくりと掘り下げていくつもりです。 また、その中で必ず描かねばならないと思っていたのが「スナッチャー陣営の石化」です。石化という題材に決めた、題材を扱う上で、数々の戦士が散る光景を描く。では、主人公ヒイラギは? ヒロインイトハは? ホオズキは? 最後まで石化を逃れるのかといえば、もしそうなったら恐らく物語が盛り上がるポイントをひとつ落としたことになってしまうと思いました。 ヒイラギとイトハの石化は初期段階から決定していて、あとはタイミングの問題でした。人々やポケモンを石化させないように頑張ってきたスナッチャー自身が遂に、という場面では、絶対手を抜きたくないし、ある種特別扱いしなければなと思いました。 ヒイラギ・イトハは、Phase42までの展開で充分にスポットをあててきましたし、これ以上無理させたら死んでしまう、そしてヒイラギに関してはメガシンカを極め、その上出せるものはもうないのでは……という部分まで、マルバ戦を通して描きましたので、ホオズキにバトンを渡すことが彼に出来る最後の役目ということになります。 物語スケールをポケモン世界全土まで展開しているのでどうしても規模は大きくなりがちですが、その中で少数精鋭スナッチャーからスポットを外すという気は全くありません。むしろ拡大したとしても最終話の最後の一瞬まで彼らに寄り添い続ける次第です。 Second Stageもいよいよ後半戦、最後に何が待ち受けているのか、ぜひお楽しみにしていてくださいね。 [26]
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叛骨の強奪者 > Second Stage - EX-Team Rocket part - > 16 Phase 35 始まりの色に、黄色い花が咲く を読んだ感想 | ||
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投稿者:とらと 2018/11/26(月) 23:20 | |
[表示] Phase 32〜35の感想です。感想を書くための知能指数が下がっているので、思いつくままの箇条書きで失礼します。 ・コガネのラジオ塔まわりのロケット団のお話が切なくて切なくて……原作の内容を正確に覚えてはいないのですが、そうか、ロケット団はサカキに呼びかけたけど応えてはくれなかった、そうだったかもしれません。ラジオ塔を占拠できたときの残党たちの心境は喜びと興奮に包まれていたろうし、絶対的に敬愛を寄せるカリスマ的存在のサカキは必ず自分たちを救うだろうと思ったでしょうね。ラジオ塔を占拠した彼らの胸の中にはいつもサカキがいて、彼らにとってのロケット団の復活とは、サカキなしにはありえなかった。それが応えてくれないんだから、天から地の底までたたき落されたような絶望を味わったろうなあ。 なぜ応えてくれなかったのか、というミニトマの問いかけにサカキが果たしてなんと答えるのだろかと読者も前のめりになりましたが、向かおうとしていた、それをレッドに止められた。うわ〜……。切ない、ロケット団切ない……。ひとつのズレが致命的な結末と誤解を生んでいたんですね。敵方の組織の人間って私そんなに感情移入できない方なんですが、それに対してここまで悲哀を感じさせるのはいやはや作者さんの素晴らしい手腕と感心します。サカキの人生は常にロケット団と共にあり、その「ロケット団」というのがなんだったのかというと、自分自身ではなく部下たちのことだったんだなと。「わたしとて、ロケット団という制御のつかない怨霊に操られているかもしれん」というサカキの台詞は非常に印象的でした。 ・話が前後しますが、サカキと対面したホオズキさんの激昂は非常に魅力的でした。ミュウが見えないところから始まり、フーディンによる記録開示、サカキとの対面シーン、続くイトハさんに対する独白と、ホオズキさんがどういう人物であるのか着実に丁寧に炙り出されていったというような印象です、美しい。スナッチャーの面々はそれぞれにめちゃくちゃ重いものを胸の内に抱えていますが、ホオズキさんのそれは(彼の年齢がそう感じさせるというのもありましょうが)一層哀愁が漂っているというか、苦労人だなと感じさせられます。若い二人と違うのは、愛するもの・守るべき無力なものがいるということ、それを人質に取られ、自分の行動のひとつひとつにその命が揺れ動くことがあるということ。命を奪えないホオズキさんは確かに弱いのかもしれない、でもこれこそが、「守るべきものがあるからこその弱さ」なのかなと少し感じました。どんなに汚れた己の手も、人の血でだけは汚せないと思うのは、その手で抱きしめたい人のことを思うからこそ……というのも、どっかにあるのかもしれませんね。 名前のこと、ポケモンのこと。イトハさんは決して彼をうわべの優しさというもので慰めはしなかったけれど、彼女を介して己を省みることで、ホオズキさんは確かに少し救われたような気がします。子供の遊び場のようなところで家族を思い、その心に呼応してついにミュウが現れる、という演出は、いやあ美しかったです、感動的でした……!! ・ところでミニトマってミニトマトなんですかね……花言葉は「完成美」 「感謝」……う〜ん違う? 黄色い花が咲くんですよね。さすがに関係ないか。 ・ネオロケット団!!レインボーロケット団よりちょっとカッコイイ……!!笑 Jの所属してる組織? の名前がネオロケット団、という解釈で合っていますか……? 何か読み違えている気もします、申し訳ない。 ・サカキを味方につけた(?)すごい!! イトハさんカッコイイ……!! 叛骨のキャラたちはやることなすこと全部かっこよくて痺れます……!! > 一対のマリッジリングが、光を放ったように、イトハには見えたのだ。 ・〜(読者が天に召されてる絵文字)〜 なんてかっこいい結びなんだろうか……!! ・最新話お待ちしておりました! なんとオーキド博士本人が出てきた、叛骨は大物原作キャラを惜しみなく投入されていて、読者としても楽しいポイントです。しかもホオズキさんの友人とな! 今後のお話にも絡んでくるのかな? オーキド博士はあまりシリアスとは縁のない人物というイメージはあり(ポケ〇ペとか読んでると違うんでしょうか)、今回も今までの叛骨と比較してかなり温和な雰囲気でありましたが、このシリアス一直線の作品の中で彼に物語上の大きな役割があるのだとすれば、一体どんな顔をするオーキド博士が見られるのか、非常に楽しみです。 ・新波導使いがでると伺ってから「マサラの波導使い……? サ〇シか!?」と勘繰っていたのは外れましたが笑、その波導使いが存外に良い人っぽいこともまた予想外です。ヒイラギさんイトハさんホオズキさんが最初に合流したときはギクシャクしてるなんてレベルではありませんでしたが、マルバさん大変大人でいらっしゃる……入団テストのようなことをされても動じず怒らず、それどころかヒイラギさんの話をイトハさんから引き出す姿には彼の思慮深さといいますか……懐の深さ、器の大きさのようなものが見られたような気がしました。喋り方も非常に独特だし見かけも独特だし(どんなだ……!?笑)、なにしろスナッチャーですもの、一筋縄でいく人物ではないのでしょうか、第一印象は非常に良識的な人物に見えますね。これからシロガネ山のミッションの中で彼がどんな本性を現していくのか楽しみです……!! 今回も楽しませていただきました! 叛骨はいつ読んでも密度が凄くて圧倒されます。続きも楽しみにお待ちしております。 [23]
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投稿者:はやめ 2018/12/02(日) 17:33 | |
[表示] とらさん、感想ありがとうございます。 Phase 34「亡霊の終着点」は、プロットを思いついたときに「これ、いけるぞ」と今までにない自分を見出した感触を抱きました。ロケット団が築いた一時代の栄光と凋落を描き切ることで、叛骨全編の敵であるネオロケット団にバトンを渡したいという思いがありました。ですので、気に入っていただけて安心していますし、思い入れを込めて書いた話が、読み手にちゃんと届くことのうれしさを噛み締めています。こういう雰囲気が伝わるなら、これからも安心して書けますね(?)。 最近、自分は切なさの漂う話が好きでして、サカキもミニトマも結局一方通行にすれ違って終了する結末になりました。この話は、サカキという大物原作キャラを自分の手で勝手にアレンジするという意味で挑戦的だったと思います。本来なら自分のオリジナルキャラクターに「お前こそが組織最大の裏切り者だ」などととても言わせられませんが、これまで好き勝手にやってきた分今更感もありますので(笑)、叛骨ならではのサカキを書くという意味でも、あえてサカキをそのように表現しました。 ロケット団員にえらく慕われているカリスマ性に着目したところ、部下に対する情が深く、裏切り者には容赦しないというマフィアじみた性格になりましたね……。言動や哲学に叛骨世界に適応したサカキが表れていると受け取っていただけると感無量です。 この話の元ネタは、HGSSのセレビィイベントです。よかったら動画を見て下さい。セレビィの力で時渡りして、ラジオ塔占拠当時に戻り、サカキの合流を阻止するという内容になっています。ゲームだと金銀主人公がサカキを倒すのですが、小説はレッドにしました。 自分はHGSSでそのようなイベントが発生する以前まで、サカキはもうラジオ塔の電波の届かない所にいて、ロケット団からは足を洗ったものだと思いたかったんですよね。しかし、公式イベントで実はサカキは向かおうとしていたと語られていたので、確かに部下の想いに応えようとする首領像を貫くならそっちかなとも感じるようになりました。 一方でミニトマですが、一度ネオロケット団に魂を売ったからには、ロケットの誇りを都合よく取り戻すという展開にはしたくありませんでした。ミニトマはロケット団にもネオロケット団にもなりきれず、サカキからの温情を欲したがゆえに、救いの手を差し伸べてくれた面々からも絆を断ち切られるという複雑な造形のキャラクターに仕上がりました。叛骨は、こういう点において、一切救いを与えるような妥協をしないように徹底しています。 ホオズキ編は、何度か言及いただいているようにヒイラギ・イトハとは異なる意味でアダルティな雰囲気を出すことに心血を注いでおり、その集大成が「亡霊の終着点」となります。 まずはスナッチャー全員の素性を明らかにしていく必要があるため、ヒイラギとイトハ中心に描くためにわざと出番を削ったホオズキにはその分力を入れねばと思って筆を運びました。自分が予想していたよりも遥かに、ホオズキというキャラクターを気に入ってくれる声が多かったこともありますが、誕生の島ではホオズキのすべてを解き明かすぞ、という気持ちで書いていました。イチジクやハマユウ、過去が全て明らかになったことで彼に関して語れることは非常に多くなったので、自分としても心持が楽です(笑)。 ヒイラギとは違う意味で一筋縄ではいかない思考をどう表現するかなかなか苦戦しましたが、とりあえず収まるところに収まったようでよかったです。ホオズキを書く上で、「自分よりも年上かつ、ほぼ父世代の年齢」の心理にどう接近するかはかなり悩みました。一人だけ妻子持ち、若者を見守る壮年ポジション、ある意味叛骨内で異質な存在感を放つ彼を、スナッチャーの三人目に置いて本当に成功だったなと今では思います。Second Stageは折り返し地点ゆえまだまだ続きます、ということはホオズキの活躍もまだまだこれからが本番ということですね。どうぞご期待くださいませ。 ネオロケット団、自分は確か原作からとったつもりだったんですが、調べてみたらあれ? 存在しない……笑 オリジナル組織になってしまいましたね。一応自分がネオロケット団だと勝手に錯覚していたのはどうやらグレートロケット団という名前みたいですね(だいぶ違くない?) Jは自分のハンター集団をNR傘下に置いた上で協力関係を結んでいる、というようなイメージを持っていただければ大丈夫です。純NR団員は、これまでに登場した中では、ソユーズなど名前持ちで、本編にあまり関わりのない敵キャラクターが大体該当します。NR団には何人か原作キャラも関わっています。発足の歴史なども近々語れると思いますので、その辺にもご注目ください。 最新話、マルバが登場となりましたが、ようやく叛骨の鍵を握るキャラクターを出せたなという安堵に包まれております。ここまで来れば、本当にあともう少し書くだけなんですよね……(意味深)。流石にサトシが出てきたら物語の空気ごと変わりそうでww 同時にオーキド博士もホオズキとの絡みの中で登場、仰るとおり大物キャラを惜しみなく出していますね!w ちなみにこれから登場する原作キャラもやはり大物クラスの面々ばかりです。 シロガネ山ミッションは叛骨の重要な核心がいくつも解き明かされる展開となりますので、もうしばしお待ちください。これまでは謎ばかりばら撒いてきましたから、少しは明かさないといけませんからね笑 いつもありがとうございます、感想が執筆の励みになっております。Second Stage後半戦をお楽しみに! [24]
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叛骨の強奪者 を読んだ感想 | ||
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投稿者:byakuya 2018/06/15(金) 14:10 | |
初めまして、白夜です。この作品おもしろいですね自分も小説 書きたいとおもいました書いたらみてくれますか?
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投稿者:はやめ 2018/06/15(金) 15:10 | |
初めまして。 面白いと仰っていただけてうれしいです! ぜひぜひ、小説執筆なさってくださいね。読ませていただくこともあるかもしれません。 [22]
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叛骨の強奪者 > Second Stage - EX-Team Rocket part - > 12 Phase 31 メモリーホルダー を読んだ感想 | ||
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投稿者:とらと 2018/04/21(土) 22:39 | |
[表示] 野生のムシャーナをキャプチャし、彼らを使役して状況を突破する! 妙な言い方ですが、本来のあり方らしいポケモンレンジャーを見れた気がしてワクワクしました。更にフーディンの図鑑設定や特性を上手く解釈し組み合わせた展開に今回も舌を巻かされました。叛骨って、文量以上に一話の内容というか情報量・物語の進行量を感じられてどの回も読み応えが凄いのですが、同様に『見所』も1話の中にふんだんに盛り込まれていますよね。いやこれはすごいことですよ。毎話見所たっぷり。読む方も気を抜く暇がないという感じです。 大胆にジュノーさんを出し抜き、腹の中を見せようとしないホオズキさんに果敢に攻め入ろうとしながらも、肝心なところで良心に負けて真相の蓋を閉じてしまうイトハさんの強さと弱さ。自分の領域に踏み入らせることを頑なに拒みながらも、一方でイトハの成長を評価し肩を支え、心情を慮るような表情さえ見せるホオズキさん。二人の個人の中の異なる側面、人間らしい幅の広さを感じてしまうような一話でした。 ホオズキさん担としてはやはりイトハさんが見たものに注目してしまうのですが、会話を聞くに登場する女性はおそらく『ハマユウ』さんなのかなあ。似たような笑み、という表現がありますが、二人が「一緒になった」からこそ笑みが似ていったのだろうなと想像すると、二人が共にあった時間を感じてしまうようで愛しい(※私の単なるJPOPの聞きすぎ病かもしれません)。前話でジュノーさんがホオズキさんを揺するネタとして名前を出しているのがこの女性なんだろうなと思うとまた辛い。ホオズキさんの花言葉が出てきたので『ハマユウ』『イチジク』についても調べてみたんですが、ハマユウが『どこか遠くへ』『汚れがない』『清潔』、イチジクは『子宝に恵まれる』『実りある恋』……イチジクというのはもしや二人の子供なのではないかとも予想される訳なのですが、子供を人質に取るとは……いやあジュノーさん非道ですねえ(勝手な予想で勝手に非道認定する非道な読者)。また、女性の言葉の中で、スナッチャーに『潜り込む』、という表現が出てきました。結果として『ハマユウ』『イチジク』はジュノーさんの手中にあり(?)、ホオズキさんはそれを引き合いに出され動かざるをえないような状況に陥っていますが、最初はホオズキさんもスナッチャーに『潜り込む』ことで何かを成し得ようとしていたのかな。それが何かは分かりませんが。色々と気になるところもあり、色々と気にしていると、 > イトハの心臓が、とある一単語を聴いた瞬間、飛び出しそうになった。いや、落ち着け。ここは精神世界だ。 これさえ何か怪しいような気がしてきて……最初からそれを見ようと思って見ているのに「心臓が飛び出しそうになった」と表現されるほど驚いているのは一体何に引っかかったんだ? 一単語は『スナッチャー』なのか『潜り込む』なのか、そういえば最初から、イトハさんは >あなたが何者なのか。何故、スナッチャーに潜り込んだのか。話は、それを突き止めてから 潜り込んだ、という表現をしていますよね。招集されたではなく、ホオズキさんが能動的に潜り込んだと考えているのは何故なのか。――これはもしや、イトハさん自身も同じく、召集されたていを装って何かしらの目的を持ってスナッチャーに潜り込んでいるから、なのではないかと……考えすぎですね……自分でも考えすぎだなって思いますね……イトハさんがスナッチャーに合流した経緯は波動遣いのヒイラギさんともやりとりしている訳ですしね。ホオズキさん周りを復習し直さなければなりませんね あとヒイトが尊かったです(拝み)会えない時間が愛を育てている……JPOPの聞きすぎですがあながち間違いでもなさそうなのがまた……ヒイラギさんもイトハさんのこと考えてるんだろうな〜!どこにいっちゃったんだろうな〜!! 出ましたサカキ様。と、ホオズキさんのやり取りの大人さがカッコイです、痺れます。 >お互いを射殺すための視線には、積年の怨み、という言葉だけでは片付け切れぬ、根深さとでも呼ぶべき愛憎が見え隠れした。 愛憎とは……。単なるボスと部下、という関係性でもなさそうですね。良い子に次話をお待ちしております。変なテンションの感想文で大変申し訳ありませんでした、適当に右から左に流してください(どげざー) [18]
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投稿者:はやめ 2018/04/22(日) 18:57 | |
[表示] 今回もありがとうございました! まず、この話はプログラムがポケモンでも面白いだろう、という発想から始まりました。あとはデータベースが欲しかったので、フーディン辺りを起用することに。そこから、フーディンにはシンクロがあるので、同調すれば脳内データベースに接続できる、キャプチャがあるし、可能だろう……と膨らませていきました。 ただキャプチャだけだとフーディンにはイトハしか入れないので、ホオズキを巻き込むためには、全体に影響をもたらしたい。あ、そういやサイコフィールドなる技があった。これを覚えるポケモンはカプ・テテフ以外にいたかしら……と検索したところ、良さげなポケモンとして、ムシャーナが見つかったので決定! みたいな。 だいたい、そういう感じで組み立てています。こういう話をつくりたいが、それに適するポケモンはいるだろうか、と検索する感じですね。 裏側にもたせた意味としては、この回ではフーディンを通して、イトハやホオズキがそれぞれ大切にしている記憶の拠り所となる人物を想起する、というものです。 そのきっかけは、撤退してしまったロケット団の研究所跡地で主人の生存を拒みきれず情報を拠り所にし、「情報を収集する」行為自体が、いつの間にか手段ではなく目的と化してしまったフーディンです。不条理な出来事を認められない生き物らしさを受け取ってもらえたらいいなあ、などと思い浮かべながら書いた回でした。 なるべく、登場するポケモンが展開やキャラクターの心情の軌道に沿うようにしながら、お話を考えています。他の回もだいたいそうですね。 >叛骨って、文量以上に一話の内容というか情報量・物語の進行量を感じられてどの回も読み応えが凄いのですが、同様に『見所』も1話の中にふんだんに盛り込まれていますよね。いやこれはすごいことですよ。毎話見所たっぷり。読む方も気を抜く暇がないという感じです。 いやはや、嬉しい御言葉です。 こう仰っていただけると、毎度やたらギミックを凝らしている甲斐があるというものですね。オツキミ山辺りから登場ポケモン・ダンジョンによるギミックが増えましたが、これはミッションの障壁となるもので、考えている分にはとても楽しいです。 あとは、単純に展開が暗いし重々しいので、飽きさせないためにひたすら休む暇を与えずに展開させています。叛骨で心休まる回は無いと言ってもいいのではないでしょうか( >大胆にジュノーさんを出し抜き、腹の中を見せようとしないホオズキさんに果敢に攻め入ろうとしながらも、肝心なところで良心に負けて真相の蓋を閉じてしまうイトハさんの強さと弱さ。自分の領域に踏み入らせることを頑なに拒みながらも、一方でイトハの成長を評価し肩を支え、心情を慮るような表情さえ見せるホオズキさん。二人の個人の中の異なる側面、人間らしい幅の広さを感じてしまうような一話でした。 ありがとうございます。もう、まさに書いていただいた通りです。嬉しいです。 >ホオズキさんの花言葉が出てきたので『ハマユウ』『イチジク』についても調べてみたんですが、ハマユウが『どこか遠くへ』『汚れがない』『清潔』、イチジクは『子宝に恵まれる』『実りある恋』…… 花言葉に関しては、その通りです。 ジュノーのくだりや彼らの正体については、近々明らかになりますので、今は伏せておきましょうか。 調べてくださってありがとうございます。 今作は、せっかくなのでポケモンらしく植物由来にしたいと思って、花言葉とメインキャラクターの境遇・性格などをマッチングさせる形で名前を決定しています(一部、そうではないキャラクターもいます。例えば、スレートやエクリュなどは「スレートブラック」「エクリュホワイト」という色が由来です)。ヒイラギは柊、イトハはイトハユリからとりました。 >スナッチャーに『潜り込む』 これ、やべ最初語弊があったかも、と思って色々考えていたんですが…… 少なくとも、正規ルートではない。 説明を始めると多分スナッチャー創立の経緯までたどることになりそうです。そうすると、叛骨の核の部分に触れることになってしまうので、ちょっと今は伏せさせてください。Second Stage後半の展開に関わってくると思います。 >これさえ何か怪しいような気がしてきて……最初からそれを見ようと思って見ているのに「心臓が飛び出しそうになった」と表現されるほど驚いているのは一体何に引っかかったんだ? とある一単語=スナッチャーのつもりで書いていました。 色々考えてもらっているところにあんまりな返事だと思いますが、これは単純にフーディンがそれほど力を持っているのか、と欲しいものを突きつけられていざとなると驚いてしまう、っていうことをイメージした描写以上の意味は特にありません。 ちょっと表現が強すぎましたね。度合いを意識して描写します。 >これはもしや、イトハさん自身も同じく、召集されたていを装って何かしらの目的を持ってスナッチャーに潜り込んでいるから、なのではないかと……考えすぎですね…… ヒイラギとイトハは正式に所属組織に対する政府からの打診、召集を受けています。ホオズキは先程も書いたように訳アリなので正規枠か否はグレーとなります。 でもイトハは味方です。大丈夫。作者の言葉だよ。 こういうことを言うとますます混乱されそうですが、ヒイラギが波導でも掴みきれなかったように、眼に見えるものすべてが真実とは限らないのです…… でもとらさんの予想は、結構当たっていると思います。楽しく拝見させていただきました。大丈夫。作者の言葉d(ry さて、ホオズキとジュノーの関係、ハマユウとイチジクの正体と境遇に関して解き明かすのは、誕生の島編のひとつの課題です。彼らに関する詳細が明かされる時、チーム・スナッチャーなる組織の輪郭がおぼろげに浮かび上がるでしょう。ぜひ先の展開をお楽しみに! [19]
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叛骨の強奪者 を読んだ感想 | ||
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投稿者:海 2018/04/01(日) 20:18 | |
[表示] こんにちは。こちらでは初めまして、海です。ツイッターではお世話になっております。以前から拝読したいと思っていたもののなかなか手を出せずにいた叛骨の強奪者、このたびようやく拝読しました。開いて気付いたんですが、2015年から続けておられたんですね。およそ二年半の長い年月を跨いでしまいましたが、ようやく一読できほっとしております。 さて、感想とさせていただきます。なんといいますか、、まとまる予感はしないので、非常に読みづらくなるかとは思います。ご容赦くださいませ。 いや〜すごい……私、読んでいてジェットコースター感覚な小説を読むのが楽しくて好きなんですが、思っていた以上にジェットコースター、それも血塗れ、闇の中へ突き進んでいって、見えない感じ。この先一体どうなるんだろう、この人の言っていることは本当に正しいのか、内通者は誰なのか、気になる〜と読んでいたら終わってしまいました。内通者の話が出てきたの割と早かったのに、未だにはっきりと内通者が誰かという答えが出てこない(そもそも内通者が本当にいるのかどうかもわかりませんが)。展開は、いい感じにアップテンポで無駄がないのに、特に内通者関連の描写や流れはすごく丁寧に描かれていますよね……一人一人、イトハ、ホオズキ、ジュノーと、一人ずつ疑いを潰していくようにヒイラギが慎重に事を進めていた故ですが、これを描ききっておられるはやめ先生の手腕に拍手が鳴り止みません。私は当初スターミーが内通者がいると報せた時にヒイラギ同様真っ先にイトハさんを疑ったんですが(ごめんイトハ)その話は後ほど。ま、そういうわけで自分の脳味噌では到底断言できそうにもないので、予想を立てるというより、内通者に関しては流れに身を任せて行く末を見守ろうかなという感じです。はやめ先生の頭の中には当然ながらその答えがあるわけで、それを覗き見したくなってしまいます。 『叛骨の強奪者』。 このタイトルを見て勝手に、この物語は地の底に叩き落された誰かが復讐を誓い泥に塗れて藻掻くようなそういう泥臭いものをどこかイメージしていたんですね。勿論、シリアスであることや重い展開の数々であることはツイッター等の噂で流れておりましたので、そんな言葉通りの軽いものではないだろうとは思ってましたが。いやはや、いい意味で当初の期待を裏切られたような気分です。 泥どころか血。激しい攻防戦。いえ、むしろ防戦一方という印象が強かった第四話までのopening stage。選ばれ集まったスナッチャーの面子は皆文句の付けようななく優秀であり、身体能力の高さは勿論のこと、頭の回転の速さも一般人のそれとは常軌を逸するものでしょう。特に波動を操るヒイラギは、(彼は自身を戦闘マシーンと自虐しておりましたが)群を抜いたあらゆる意味での強さを誇る戦闘要員であることは読んでいても痛いほどによくわかりました。そんな彼等にも関わらず、敵は更に上を抜いていく。少数精鋭の彼等を嘲笑うかのような、圧倒的な数、そしてスナッチャーサイドが力を合わせてようやく倒すことができるような個の力。苦しめるだけ苦しめて、それでも最後には勝つ、ような甘い世界じゃないというのが第四話。また後々のミュウツーやラティオスラティアスの際も、彼等はミッションを成功することができずに、今まで来ています。それって、話の構成としてもすごいなー、と素直に思います。失敗した中でも収穫はあった、というような慰めのような結論を出していますが、でも、敗北しているのには間違いないじゃないですか。ヒイラギが司令官を疑うのも無理はないなと思います。ちょっとくらい勝たせてあげてくれ、と思います(笑)まあそうもいかないのがこの物語なんですよね、30話まで読んでその空気にも大分慣れてきましたし、決してその空気が嫌なわけではありません。むしろ賞賛といいますか。彼等は遊びでやっているわけではなくプロとしてここにいますし、作戦の失敗など今までも数えきれぬほど恐らく経験してきているでしょう。しかしそれにしても、敗北してもまた前を向き次のミッションや次やるべきことに頭を切り換えていく、その精神力が凄すぎて……。彼等のこれまでの過去が簡単に語れるものでないことはわかっていますが、筆舌しがたい怒濤の人生を生きてきたことは、明かされている過去話等からも、戦場での生き様からも読み取れます。しかし、なんと報われないことか。はやめ先生もなかなか鬼ですね。ギリギリの戦いをした末に得る勝利というのはなにものにも代えがたい美酒でしょうが、叛骨は基本見事なまでにギリギリの戦いをした末に負けるんですよね……きついですね。よく書けるなと思います。といった流れの中でようやく勝てたな、と思ったのがマナフィ護衛のお話ですね……ハガネールキャプチャ成功も私の中ではかなり印象深いです。マナフィも内通者の話が大分拗れているしヒイラギはあえて悪役を背負い村人から非難を受け胸くそ悪いことになるし(目的のためとはいえ)、その直後にヒイラギ脱退だったので素直に喜べるかというとそうでもないのですが……第一話から因縁の相手としてずっと戦い続けながらも負け続けていたJをようやく追い詰めることができたのは、人間同士(主にイトハとヒイラギ)の連携や信頼が深まり、どんな事態でも決して諦めずその場その時で最善を尽くし必死に食らいついた結果でしょう。Jの生の声を聞き、焦った声を聞き、そしてヒイラギがJを問い詰めたあのシーンは、ようやく届いたか、と手を握りしめたくなるようなシーンでした。得た情報は悲報にも等しいかもしれませんが、私はあのシーン、好きですね。叛骨を読んでいると、苦しい、苦しい、その先にある、苦しい中でようやく自らの力でたぐり寄せたもの(それの中身がなんであろうと)、というのはたとえ冷静に見れば薄らとした希望でもえらい光り輝いているように感じられるんだなあと思わされます。その展開の仕方凄いですよね……はやめさんのような方だからこそできるんだなと思います。崖への突き落としっぷりもすごい(めちゃくちゃ褒め言葉)ですが、崖の登らせ方もまた面白い、すごい。一足飛びには事は上手くいかない、けれど続けていれば、諦めなければ、あるいは視界を広げて周りを見て力を合わせれば、掴めるものがある、というのをなんか、感じます。はやめさんがそう感じて欲しくて書いているのかはわかりませんが(もしかしたら意図しているものとは、全然違うかもしれない)、でも、私は少なくとも読んでいてそう感じました。面白い。本当に面白いです。まあこの先もっと辛いことがあるんだろうことは容易に察し出来るので、手放しで「きっとこれから上手くいく!」とは少しも思ってはいないんですが……ヒイラギ抜けましたしね……。 ところでヒイラギ脱退に関して個人的に思ったこと(あくまでめっちゃ個人的な感覚なのではやめ先生の意図とは違うだろうとわかっていながらなんですが)とか、叛骨を読んでいて全体的に考えてたことなんですが。 叛骨読んでる方がどういう感覚で読んでおられるのか解らないんですが(他の人の感想見ておりません)私基本的にこういうシリアスは将来的にキャラが幸せになることを切に願いながら(同時にきっと最終的には誰かしらは幸せになるだろうと割と信じている)、読むことが多いんですけど、叛骨を読んでるとびっくりするほど「このキャラクターたちは幸せにならないのかもしれない」と思ってしまうんですよ…………むしろ「全員死亡なバッドエンドすら十分有り得る」すら思うし「少なくとも幸せにはならないだろう」くらい既に覚悟を決めながら読んでる…………んですよ…………いや、わかんないんですけどね!?どんなエンドになるかは作者様のみぞ知ることなので!!!!なんか、こう、ヒイラギさんは除名されたけどこれは恐らく死んではいない流れだろうとは思うんですよ、しかし、ここまであまりに身も心も(いや身体的にほんまに)生死ギリギリのライン際の戦いを展開していってるので、いくらプロで場慣れした面子とはいえそのポケモンたちも含めてここまで味方が誰一人死んでない奇跡について逆にすごいといいますか。凄いんですよ。まあその結果こそが彼等がここに選ばれて立っている所以なんですけどね。それはわかってるんですけど、一般庶民感覚として彼等が生き延びてるのが凄すぎて(いや実際ヒイラギも今まで彼が経験した中で指折りに危険な状況であるというような自覚描写あったんだからそりゃこれは生き延びてるの凄いという感覚はあながち間違っては……いない……きっと……危険という言葉すら弱い。死ぬ作戦と思った方がいいと思ってます(自戒))、ヒイラギ除名は……逆に安心したといいますか(語弊ありすぎる)。 いやキナギの長様含めて犠牲者は既に沢山出ているけれども、そうじゃなく、メインキャラクターがいつか絶対死ぬ、そんな気がしてならないまま読んでいて、激しい戦闘シーンに突入するたびに「この人はここで殉死するかもしれない」と察して死に際を焼き付けんとした目で見ているんですね(ひどい)……。いやもう、容赦なく叩き付けられたり世にも恐ろしい石化のレーザーが飛び交ったり寄生されたり骨折ったりetc、一歩間違えれば死ぬじゃないですか。間違えれば、というか運がちょっと悪ければ死ぬじゃないですか(彼等は運でなく実力で生き延びていることはわかっていても)、誰かがピンチになって、ちょっと助けが遅れていたら死んでいたかもしれない、そういう場面ばかりじゃないですか。読んでいて恐ろしいですよ(褒め言葉)。だからこそ死なずに一度区切りがつくたびに「ああ良かった生き延びてくれた」と安堵する気持ちと、「これは次で急に死んでいく前触れなのかもしれない」と鬱(褒め言葉)になりそうになる気持ちとでぐるぐるするわけですよ……。 だからこそ「死」という形ではなく姿を消したヒイラギの展開は、残されたスナッチャーの現場二人からとってみればまったくもって穏やかではないけれど、一読者である私は「このヒイラギはきっと死んでいない」という前向きな目(まあ死んでないからといって無事であるかどうかはまた別問題ですけど基本的に死にさえしなければどうにかなると思ってるちゃらんぽらん)で見れたこの瞬間にどこか胸をなで下ろしたわけでした。つまり、誰かが途中離脱することは絶対にあるだろうと覚悟していたので……その点心積もりがあったおかげで、ヒイラギの離脱が(断定はされていないにしろ)恐らく、死んでいない、少なくとも「死んだ」とはっきりは示されていない離脱は、意外となるほどなあとうまいところを攻めたという風に受け取ったといいますか。ヒイラギは、オツキミ山で自分を替えのきく戦闘マシーンだと言っていましたが、これも伏線の一つだったわけですね。替えがきくし、ジュノーにとってみれば命令に逆らわない面倒な波動使いなど使い捨てて、代わりの波動使いを探すだけ。合理的。流れとしても。まあ……スレートとかカラマネロ等の前例を見る限りヒイラギが無事であるとは到底考えられない点は……考えるのも恐ろしいですが……。 しかしまあ言う今後の展開も大変なんだと考えれば胸が痛い……ヒイラギがこうなったからといって誰か重要な面子が死ぬ可能性は十分ありますしね……むしろ死ぬくらいで思ってます……はい……もしかしたら死よりもショッキングな展開が待ってるかもわかりませんが……全てははやめ先生の手の中……はい……全てを奪い、すべてを失う……。。。 まあ、絶望は蜜の味。わかります。 いや〜マイナスなこと言ってるように聞こえてるかもしれないので一応断っておくと、誤解を生んだら良くないんですけど、あれなんですよ、面白い……めっちゃ面白いんですよ……とってつけたように言ってすいません……面白いんですよ……ここまで「これ死ぬわ」って思わせながら、絶妙に「どうやって生き延びるのか」を見せてくれる、それがいいですね〜面白いですね〜辛いんですけどね〜面白いんですよ〜先が気になります。 はあ〜印象っていうかなんかボケボケした感じの感想ばっかりになってすいません!もうちょっと内容にツッコんだこと言った方がいいのは解ってるんです、解ってるんですけど、ちょっとこのあたりで今回は。内容とかキャラについてはまた別でお送りさせてください。 ちなみに私はメインキャラではホオズキさんが好きです。若い二人もすごく、良いんですけど……ツボはホオズキさんですね〜二人の活躍の裏にああいうおじさまがいるの、いいですね〜。厳しいですけど、優しさ、のようなものが滲んでいるように感じられて。それは、若者を見守ってる雰囲気からくるものだと思います。親子レベルの年の差ですからね……彼も若者を見て思うところがある描写がありますし、うーん、良い。 ところで私はイトハとホオズキは距離を測りかねてるということが最新話で言われていましたが、サントアンヌでのホオズキ・イトハペアが実に好きだったので、また見れることは幸せです。ヒイラギには申し訳ないんですけどね。いやもう、ホオズキさん好きとしては、ホオズキとイトハが仲良くなる程にホオズキさんの孤独が浮き出るようで実はちょっと寂しかったので……あの……イトハとホオズキのペアは好きなんですけどね!勿論!殺伐した空気を和らげてくれる、若いエナジー溢れた、みずみずしさが!孤高なホオズキさんの心の壁を溶かすイトハさんの包容力が!差し込む光が!ネックレスが!お互いに信頼し助け合い成長する姿が!まさにオアシスのよう!でも書きながら思いましたがやはりホオズキさん、好きです。 イトハとヒイラギは若さ故に流れに向けて逆らったり、信念に対し真っ直ぐだったりしますけど、たとえばホオズキさんはヒイラギに対して、 >「小僧、いい加減処世術を学べ。ここで踏みとどまれば、おまえやわたしたちはまだスナッチャーでいられるんだ」とか、 > 「もっと大人のやり方があるだろう。おまえは青二才だ」 とか、言う人なんですよね。大人として、若者を御そうとする。そしてホオズキさんも、ジュノーのサカキ暗殺ミッションは断ろうとして(命令に逆らおうとして)、『ハマユウ』と『イチジク』をきいた途端にあっさりと引き受けましたが……まあ、ちらばった伏線(薬指の指輪……ちゃんと付けているあたりが……すごく……好きなんですよね……)から予感はしていましたが、そういうことですよね、きっと……。ホオズキさんのそういうところが好きなんですよね〜。はい。だから、ホオズキさんの過去話をものすごく楽しみにしています。そういえば、ふと思い出したんですがホオズキさんってセッカに家を構えているというのは、ゲームでも確かにまさかの元ロケット団がセッカにいましたが、ホオズキさんはあの元ロケット団をモチーフにしてるんですかね……?ヒイラギがいなくなったことは寂しいですが、ホオズキさんの活躍が増えるのは正直楽しみです……()しかも本格的にホオズキ回になりそうですしね。ようやくホオズキさんのことがもっと解りそうですね。わくわく……まさかのミュウが見えないホオズキさん……そこに自分で焦るホオズキさん……どんな展開になるのか、めちゃくちゃ楽しみにしてます〜! はっ気付いたら普通にホオズキさんの話もしてしまった。ではばたばたとすみません!比喩を存分に使った繊細で豊かな、しかし熱烈な文章から語られる、レンジャーや波動の設定、使い方、ポケモンの技や動き、特性等々、フルに使っていて、読む側としても頭をフル回転させて勉強させていただきながら読んでおります。このあたりもちゃんと触れたいですね、後日! また、読みながら、内通者としてイトハやホオズキ等を探る場面やイトハとヒイラギが歩み寄る場面など、当時リアルタイムで追っていた人は楽しかっただろうな〜羨ましいな〜と重いながら読んでいました。もっと早く手に取っておけばその幸せを味わえたんだなあと後悔する一方、これからは私もようやくそのリアルタイム勢に加われるのだと思うと、喜ばしいことこのうえありません。どうぞ、はやめさんのペースでこれからも更新を続けていただければ嬉しいです。先は暗闇ですが、その暗闇こそが至高。はやめさんだからこそ書けるこの世界、今後ともめちゃくちゃ応援しております。 それでは、失礼いたします。またお邪魔させてくださいませ。 [16]
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投稿者:はやめ 2018/04/02(月) 21:40 | |
[表示] 海さん、感想ありがとうございます。 もしプラの頃から毎回読んでくださって、今作もこうして手にとってハマっていただけたので内心舞を踊りながら更にガッツポーズしています。 感想を読んで、アツい感想だと思いました。メインシナリオだけでなく、随所の細かな伏線や全体の所感に触れてくださったおかげで、私としてもこれまで描いてきた方向性を俯瞰とともに再確認することが出来、大変参考になりました。 濃密な文章の中の想いをしかと受け取り、執筆の糧にしていきたいと思います。 今作に関して、恐らく読者の方は、本当に先の展開が予測出来ないのではないかなと思っています。それも今ではひとつの持ち味なのかなあと認識しているところです。でも、作者としては読者様の予想をお伺いしたい気持ちもいっぱいあります。ただ、そうなると「予想がつかない」「何が起こってもおかしくない」と返されてしまうのですがね(苦笑) 先行きの不透明感、手探りの緊張感を楽しんでいただければ、狙い通り……という手ごたえです。Second Stageまでは内通者をめぐる謎解きを中心に組み立てたので、まだ暗中模索感が強いと思います。章ごとに少しずつ雰囲気は変化していく予定です。 >特に内通者関連の描写や流れはすごく丁寧に描かれていますよね…… 内通者というファクターを通して、チームの結束を逆に浮かび上がらせるような構図にしておりまして、ここら辺は恐らく海さんはうすうす勘付かれているのではないかと。内通者を出すという方針が固まったとき、これはなんとなく上手くいくかなというイメージが湧きました。 不可視の敵に対して、それまで生き方が違うゆえに手を取り合えなかったものたちが、少しずつお互いを認めて、より大きな力の流れに立ち向かっていく……私自身が好きなシチュエーションでもあります。というか、叛骨の90%ぐらいは私の好みで構築されていて、本当に私が好きなものをあれやこれやと詰め込んだ感じです。 >私は当初スターミーが内通者がいると報せた時にヒイラギ同様真っ先にイトハさんを疑ったんですが(ごめんイトハ) 気になりますね〜 作中と同じ根拠でしたか?? ・『叛骨の強奪者』というタイトルについて 「地の底に叩き落された誰かが復讐を誓い泥に塗れて藻掻くようなそういう泥臭いもの」 なるほどなるほど! なにせ「叛骨」=権威・権力・時代風潮に逆らう、ですからね…… 泥臭さ自体は作品の中にもエッセンスとして取り込まれていると思います。 何度負けても立ち上がる、という構図はもがいたりあがいたりすること自体に等しく、そういった意味である意味泥臭さはあると思いますので。 また、反骨ではなくあえて「叛」骨にしたのは、字面としての重々しさを出したい所以があるからなのです。自分としては結構というか譲れない拘りです(まあ、使っている以上は……)。あえて難しい字を使っているので。サブタイも「決別」ではなく「訣別」としているのは、そういう理由から来ています。 何が「叛骨精神」を示すのか、そもそもこの作品で「叛骨精神」とは何なのか、強奪者の意味、叛骨+強奪者が合わさるとどうなるのか、そういったことはまだ触れておりません。Phase16「勇者に焦がれる」がちょっと仄めかしているぐらいでして…… 謎解きが終わったら、その辺りが今後の話になっていく予定です。 >少数精鋭の彼等を嘲笑うかのような、圧倒的な数、そしてスナッチャーサイドが力を合わせてようやく倒すことができるような個の力。 「個」の力は、ネームのあるキャラで意識しています。Jやサカキ、ミュウツーやサンダーなど、一定の格を持ち合わせた面々は多分必要以上に強くしているかもしれません。 これは多分本家のキャラクターを出したり扱うことを、慎重にやろうという自分なりのリスペクト精神の表れなのだと思います(名前も声も知らないでシンジを優遇していたのはそういう理由も大きいですね)。出すなら、思いっきり強くして活躍(暗躍)させたい。 「数」は組織の規模や脅威度、力の保有数につながると思います。数の暴力で、少数精鋭のスナッチャーを疲弊させて、モブが単なるモブに終わらず一構成員としてしっかり彼らに爪痕を刻んでほしいなという想い(なんか歪んだ愛だな)から来ています。 敵、私は強くしたいタイプなんですよね……それはもうとことん。そうしたら、勝てた時の喜びもめちゃくちゃ大きいと思うんですよ。スナッチャーが勝てないのはちゃんとした理由があるのですが、それを棚に上げても敵の圧倒的な強さに何度も心折られそうになりながら、自分たちに残されたものを大事にしつつ立ち上がって欲しいという作者なりの愛情なのです(だから歪んでいる)。あと国際警察の警視総監が世界の危機を察知して、各地方の政府に協力要請して立ち上げる勢力の仮想敵どまんなかなので、正直これぐらいじゃないと示しがつかないなとも思います。 >それって、話の構成としてもすごいなー、と素直に思います。 普通、勝ちますもんね。ポケモン小説でもここまで負け続きなのは多分珍しいのではないでしょうか。そうすると逆に読者の方にとってストレスフルな展開が続くので、そこを内通者の謎やヒイラギ追放というアクセントを挟み込んで何とか続きが気になってもらえるよう必死に仕掛けている、という感じです。負ける分はそこで許してください。 ・マナフィ編とハガネール戦の戦果について >Jの生の声を聞き、焦った声を聞き、そしてヒイラギがJを問い詰めたあのシーンは、ようやく届いたか、と手を握りしめたくなるようなシーンでした。 >得た情報は悲報にも等しいかもしれませんが、私はあのシーン、好きですね。 ありがとうございます。うれしいです。当初書いていて大変高揚感のあるシーンでした。やっぱり今まで苦渋を味わわされた敵を少しずつ追い詰めていくプロセスを書くのはたまりませんよね。 「総員に通達。王冠を棄却し、撤退せよ。本任務は失敗した。繰り返す、総員撤退せよ」 Jにこう言わせることが出来たのは大きな収穫でしたね。 自分としても、Jはポケモン世界に珍しいレベルの「悪」、アニポケでも壮絶な末路だったので、打ち負かすタイミングは慎重に検討していました。 Jのターンを終わらせて、本格的にヒイラギたちが「内通者」という形なき虚無に立ち向かっていくためのきっかけとしても、あそこでJに一時的な引導を渡すことにしました。 >叛骨を読んでいると、苦しい、苦しい、その先にある、苦しい中でようやく自らの力でたぐり寄せたもの(それの中身がなんであろうと)、というのはたとえ冷静に見れば薄らとした希望でもえらい光り輝いているように感じられるんだなあと思わされます。 これは嬉しいですね。 負けてもなお立ち上がる が、全てを失ったと思っても残されたものがある、というテーマに呼応しているのですが、そのうっすらとした、ほんの小さな手掛かりや希望、0.1ミリの光明が大逆転の一手になることもあります。自分の人生観と多少影響している(かどうかは微妙)かもわかりませんが、置かれた状況でどうにかやっていけば、何かしらは残るのではないかという考えがあるのかもしれないですね。 ヒイラギたちの思想も似たような感じで、彼らは戦場に身をおき続けているから、私たちが日常生活の中で見過ごしてしまうような些細な変化にも目を配り、それをひとつひとつ大事にするような人たちだと思うんですよ。 敵から何かを奪うことは、自分たちも奪われることがある(反撃されると同義)という覚悟を決めなければいけないので、ヒイラギ・イトハ・ホオズキはそれを承知で戦いに臨んでいます。ここら辺はヒイラギが強奪者として割り切っているようで割り切れていない微妙な振幅にも影響しています。 >一足飛びには事は上手くいかない、けれど続けていれば、諦めなければ、あるいは視界を広げて周りを見て力を合わせれば、掴めるものがある、というのをなんか、感じます。 いやあ、この文面を読んだとき、ちょっとグッときましたね。 叛骨を読みながらそう感じてくださったんですか。それが合っているとか合っていないかと答えることも出来るんですけど、私としては読者の方がどういう風に感じてくださってもいいですし、というか感じさせることが出来たんだなあという感慨がまずありますね。難しいですからね、作品の力で人の心を揺らすっていうのは……何か感じてくだされば、それはとても嬉しいですよ。 まあこの先、まだまだ辛いことは、ありますね……そういう作品ですからね……。ただ根底にその海さんの仰るような考えを、彼らが持ち続けることが出来るのであれば、一矢報いるチャンスはいずれ訪れると思います。 >ヒイラギ脱退に関して個人的に思ったこと >叛骨を読んでいて全体的に考えてたこと この辺り、ものすごく興味深く、それでいて「なるほど」と思いながら読ませていただきました。これは私がもし読者だったら、置き換えてみると、多分海さんと同じことを考えるんじゃないかなと思いまして。私はアニメ観てて好きなキャラが死にそうな時に「死ぬな死ぬなよ絶対死ぬな頼む死なないでくれぇ〜〜(懇願アンド土下座)」という想いで視聴するので、よくよく考えたら私は作者なのでその気持ちを忘れていた気がします。 「このキャラクターたちは幸せにならないのかもしれない」 「全員死亡なバッドエンドすら十分有り得る」 「少なくとも幸せにはならないだろう」 いやはや、すごいな(苦笑)前に似たようなことを言われたことがあります。 既に覚悟を決めて読んでおられるということですね。でもそうしていただけるとこちらとしては何やっても大丈夫だな(語弊がありすぎる)という安心感が生まれるので、ありがたいですね(?)。 >いやキナギの長様含めて犠牲者は既に沢山出ているけれども、そうじゃなく、メインキャラクターがいつか絶対死ぬ、そんな気がしてならないまま読んでいて、 メインキャラが死ぬのと、ゲストキャラが死ぬのでは意味合いが違いますからね。メインが死ぬ時の喪失感たるや、という感じです。 >激しい戦闘シーンに突入するたびに「この人はここで殉死するかもしれない」と察して死に際を焼き付けんとした目で見ているんですね(ひどい) なるほどなあ…… やっぱり作者なのでそういう視点はありませんでした。ただ、ヒイラギたちはよく生き延びてるなと思うことはしばしばありますが。自分でも海底神殿は状況が窮地すぎて、ヒイラギはこれ以上無理したら死んでしまうぞと困りながら書いていました。 >だからこそ死なずに一度区切りがつくたびに「ああ良かった生き延びてくれた」と安堵する気持ちと、「これは次で急に死んでいく前触れなのかもしれない」と鬱(褒め言葉)になりそうになる気持ちとでぐるぐるするわけですよ……。 それは読んでいて疲れそうですね(他人事かよ)。 というか、叛骨の強奪者とは「そういう」作品なんだなというのを、おぼろげではありながらも、書いている自身として改めて認識する次第です。私は「気楽に読んでください」とかいってますけど、どの口でそんなこと言えるねんって感じですよね(苦笑)。展開が否が応でもそうさせてはくれないというか。 >オツキミ山で自分を替えのきく戦闘マシーンだと言っていましたが、これも伏線の一つだったわけですね。 そうそう、仰るとおりなんですよ。本当の意味で「替えが利く」と。 今後はですね、この「代わりの波導使い」が物語の焦点となってきます。本当に出てくるのかよっていうね。ただ、ジュノーは代わりと簡単に言ってますが、ヒイラギは波導使いの中でもそれなりに位置するはずの戦士で、その代わりを簡単に招き寄せられるのかという点ですね。 >もしかしたら死よりもショッキングな展開が待ってるかもわかりませんが むしろ、私はそっちを今作で強調して描くべきかなと思っていたりします。意地の悪い言い方ですけど、私はあの手この手でスナッチャーをどうやって窮地に追い込むかずっと考えているので、状況が良くなればまた新たな試練が訪れるのは間違いないです。 死なせるの、本当に勇気が要りますからね……。死んだら二度と出てこられないですし。あと、死んだら苦しみから解放されてしまうので、本当に最後の最後の手段だなと。 今のところ壮絶さを出すためにキナギ民だったりラティだったり、外部の協力者は石になってもらってますが、私もそうやすやすと「はい、イトハ死にます」とかは出来ないので…… 正直カラマネロは最初死ぬ予定だったんですけど、思うところがあって取りやめたぐらいです。 ただ、ただですよ。海さんが仰るとおり、この戦いで死者が出ないのはかえって不自然なぐらいで、逆に作品自体の説得力を損ねてしまう恐れがあるなとずっと書き出しから思ってきました。もし死者ゼロ人だったら都合が良すぎる。ですので察していただければ。 >サントアンヌでのホオズキ・イトハペアが実に好きだったので、また見れることは幸せです。 おお、ありがとうございます! プラズマレムナントに拍手くださってましたしね。気に入っていただけたのかなと思っていました。 私もあの二人の、あの時限定の、甘美な空気感はとてもお気に入りです。ヒイラギとイトハはやっぱり初々しさとエネルギーに満ち満ちていますが、ホオズキがどちらかと関わるとそこにアダルトな匂いが醸成される感じが自分としてはあるんですよね。彼の存在は、主人公やヒロインという立場でこそありませんが、叛骨の強奪者に必須で、それも要となる雰囲気を持った人物ではないかなと思って、私も大好きなキャラクターです(というか書いている人達、特にスナッチャーや悪役陣に対する思い入れは全員平等に深いものがある)。彼はオツキミ山編、ヒイトに集中するため、完全に出番をあえて無くしましたが、それでも叛骨の中で「好きです!」という声をたくさんいただけて、キャラクター自体をうまく動かすことが出来ていたかなとホッとしております。 >「小僧、いい加減処世術を学べ。ここで踏みとどまれば、おまえやわたしたちはまだスナッチャーでいられるんだ」とか、 > 「もっと大人のやり方があるだろう。おまえは青二才だ」 とか、言う人なんですよね。 おおー、そこを引用してくださってありがとうございます、うれしいです。スナッチャーや作中きっての年長者として、彼は他の人間とは明らかに違った感覚や価値観を持っています。いうなればストッパーというか、一歩引いた目線で考えられる人かなと。考えれば考えるほど自分で言うのもなんですがカッコいいおじさまだなと大変気に入っています。 ただ、自分がそういう年齢にはまだまだ程遠い(それこそヒイラギやイトハと同年代)ので、こういった年長キャラを描けるかどうかは結構挑戦であります。その辺は自分の父親の言動とかもモデルにしていたりと。 ヒイラギには色々と責められましたが、ヒイラギもまた道半ばの戦士なので必ずしも彼の言うことが全て正しいということはありません(それを示唆するかのように組織から追放という形になっています)。 Twitterでも言いましたが、これからの展開は「The EX-Rocket Part」――ホオズキのための章なのです。ぜひぜひ期待してくださいね。 >読みながら、内通者としてイトハやホオズキ等を探る場面やイトハとヒイラギが歩み寄る場面など、当時リアルタイムで追っていた人は楽しかっただろうな〜羨ましいな〜と重いながら読んでいました。もっと早く手に取っておけばその幸せを味わえたんだなあと後悔する一方、これからは私もようやくそのリアルタイム勢に加われるのだと思うと、喜ばしいことこのうえありません。 いやあ、この部分も読んでいてグッときましたね……。なんて嬉しい言葉を! でも、わかります。私も他の人の連載を「もっと早く読めばよかったなあ」と思うことは何度かありました。「リアルタイム勢に加われるのだと思うと、喜ばしいことこのうえありません」とまで言っていただけて、これから自分としても楽しんでくださる熱心な読者様が増えたことに全身全霊で感謝を申し上げたいと思います。 叛骨は感想をいただくうちに、確かに自分にしか書けないのかもしれないと少しずつ自信を持てるようになりました(正直、最初は異端児のような作風だと思うこともしばしばありましたので)。海さんの見解もたくさんお伺いしたいので、ぜひまたお待ちしております。本当にありがとうございました! 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叛骨の強奪者 > Second Stage - EX-Team Rocket part - > 11 Phase 30 十年前の残影 を読んだ感想 | ||
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投稿者:とらと 2018/03/24(土) 13:44 | |
[表示] 今話も比喩表現がめっちゃかっこよかったです、廃墟探索シーンから心理描写まで、どこを取ってもセンスの良い緻密な表現で作られていて凄い。 >変色した培養液の染みは、ひん曲がった笑みのようにぶちまけられている。 これとか好きです……文章うまい(手放しに褒めることしかできない読者 ヒイラギを失ったスナッチャー、残された二人の溝が結果として浮き彫りにされてしまいました。安易な読者の私は、普通にホオズキさんとイトハさんが結託してジュノーさんに立ち向かっていく展開になるのかなと想像していたもので、おお、もう……笑 叛骨のキャラは皆大人で強くてカッコよくて賢いはずなのに、どうしてこう、見てて「ああ、もう!!」って思わされるんでしょうww目的は同じくしているはずなのに、それぞれの思惑が噛み合わず、結果足の引っ張り合いみたいになるところが本当にもどかしいです。賢いからこそ、信念があるからこそなんだよなあ。果たして今回のミッション、うまくいくのか……不安しかないのは私だけなんでしょうか……ww 見えるかどうかもわからない幻のポケモンの保護、という任務が、これまでの任務より簡単、と評されるところに、改めて彼らの挑んできた任務の激しさを感じました。清らかな心を持つ者、会いたいと強く願った者にだけ会える、というミュウの設定を、ジュノーさんの思惑と一致させることでしっかりと物語に落とし込まれていて、これもまたやはり上手いなあと感嘆させられます。ポケモンや技の設定を活かしてくるのが本当にうまくて、考え込まれているなあと! またそこに関連して、アーロン・ミュウの伝承など「伝説」という不確かなものに拠って身の潔白を証明しようとする・チームの結託を強めようとする(してるのか……?)ジュノーさんの行動から、彼の不気味さ、危うさが感じられました。ヒイラギとの対決によって晒された、無垢な子供の精神を残したまま大人になってしまったかのような彼のヤバさが、回をおうごとに増してきますね。今後に注目です……。 「ジュノー。当然、おまえも視えるだろうな?」と言っていたホオズキさん自らが見えないという、これまたホオズキには苦しい展開(ずっと苦しい展開が続いている気がする ホオズキさんの胃が心配である)。姿を見せる・見せないをミュウ自身が選んでいるなら、この場所がミュウツー生誕の地であることを踏まえても、ミュウは元ロケット団員には姿を見せたがらないだろうなあと安易に考えそうになります。ですが一筋縄ではないんでしょうなあ。サカキの存在も匂わされていますし、いよいよホオズキさんの核に迫るパートが近づいている予感がして、ドキドキです……!目が離せません……! 続きもお待ちしております! [14]
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投稿者:はやめ 2018/03/24(土) 18:15 | |
[表示] 感想ありがとうございます。 「自然に口が綻ぶ」と表現しましたが、まさにその通りで。毎話ごとに感想くださるの本当嬉しいですし、書いてる立場的にはめちゃくちゃ参考になるんですよ。自分でも発見しなかった見方がたくさんあります。これはニヤけますよね……なんか至れり尽くせりみたいな感じがありますよね……(?) >今話も比喩表現がめっちゃかっこよかったです、廃墟探索シーンから心理描写まで、どこを取ってもセンスの良い緻密な表現で作られていて凄い。 いや、ちょっと嬉しすぎ…… 小説書いてて文章絶賛されるのは感慨無量ってものですよ〜〜! え、こんなに褒めてもらっていいのだろうか?? センス良いですか、ありがとうございます! なるべく言葉選びはこれからも慎重にやっていきたいですね。 比喩、むずかしいですよね…… 大会で色々な文章に打たれ(言い方)、最近は単純明快な表現で勝負するしかないなと思い始めて、ある程度意識しつつ文章を書いているところがあります。とらさんにそこまで褒めていただけると、自分としてはなんといって返せばいいか正直もう分からないですね……(嬉しいの極致) 今後も精進します。 >安易な読者の私は、普通にホオズキさんとイトハさんが結託してジュノーさんに立ち向かっていく展開になるのかなと想像していたもので 読者の方にはおそらく、すぐさまイトハ×ホオズキの共闘が訪れるだろうと思われているのだろうな、と想像していました。叛骨は予想を覆すような展開をあえて意図的に仕掛けている部分も確かにあるので、今回も素直にはい、共闘!とは行きませんでした。 というのは、文にも書いたとおりなのですが、ヒイラギの言伝だけで互いを信用するのだと、どうもヒイラギのために二人がいるみたいな感じになってイヤだったんですよ。ミッションなんだから協力しろよとは突っ込みたくもなるでしょうが、人間がそんな簡単に利害だけで分かり合えたら逆にスムーズすぎるかなあって。 現実で三人の友人がいたとします。一人は二人ともと仲良しだけど、中心を欠いたら、残された二人は友達の友達でしかなく、どう接したらいいか分からない……今のイトハとホオズキは年齢差こそありますがこういう関係に近いと思います。 自分としてはスナッチャー・叛骨の強奪者というものは、まず「ヒイラギ」という中心的な存在がいて、でも、それに負けないぐらい中心の「イトハ」「ホオズキ」というキャラがいて、三人とも同じラインに揃って立っている光景をイメージしています。一人が欠けたらスナッチャーじゃないので。 だから、ヒイラギ×イトハ、ヒイラギ×ホオズキが終わった。となれば、残すはイトハ×ホオズキのみ…… これまではヒイラギと二人の関係を進めてきましたが、ヒイラギが不在になることで、はじめてイトハとホオズキが本音でぶつかる流れが生まれるのかなと。そのためにも、ヒイラギには一度退場してもらう必要がありました。 >見えるかどうかもわからない幻のポケモンの保護、という任務が、これまでの任務より簡単、と評されるところに、改めて彼らの挑んできた任務の激しさを感じました。 命を張る戦いではなくて、ポケモンを探して保護するという内容なので、危険度的には低くて、難度が下がりますね。 叛骨は物語のシチュエーションに沿ったポケモンを探してあてはめる部分と、ポケモンをシチュエーションにあわせるのと一応両方やっているのですが、ポケモン本家の設定をなるべくストーリーに組み込む作業としては、これまで書いてきたお話の中でも斬新なほうなので、自分としては結構ドキドキものなんですけど(時に解釈が独自性を行き過ぎているかもしれないし)、評価していただけると嬉しいです。この作品書いてて一番大変なのが設定考えてつじつま合わせることなのでwwwww 前作がバトルバトルバトルだったので、今回バトルだけじゃないポケモン設定の生かし方みたいなのをずっと試みている部分が大きいのかなと思います。まあ自分の書きたいものもどんどん変化していってるんでしょうね…… >(ずっと苦しい展開が続いている気がする ホオズキさんの胃が心配である)。 ホオズキファンの方に大変申し訳ない展開が続いているなと作者自覚しておりますが、なんとか乗り切って欲しいです。(?) ようやく「The EX-Rocket Part」(≒元ロケット団編)といえるだけの展開になっていくのかなという空気を、出せてきたかなという実感があります。続きをお楽しみに! [15]
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