クジラ博士のフィールドノート を読んだ感想 | ||
投稿者:流れ水 評価:感動した! 2012/12/09(日) 21:22 | ||
クジラ博士、読ませていただきました。 ホエルオーでかい。改めてそう思いましたね。一番記憶に新しいのはポケモンバトルレボリューションことバトレボでの威容ですが、何しろ見かけることがない( 正直忘れかけていたほどですけれど、薄れかけていた記憶をフラッシュバックさせてくれるほどホエルオーの存在を間近に感じる文章でした。瞼を閉じればトシハル君やカスタニ博士と一緒にホエルオーの潮吹きを浴びているような、そんな錯覚すら感じます。ポケモンが生き物らしく生き生きとしている様が如実に感じられて、すんなりとこの世界に溶け込むことができました。 そして、内容の方も素晴らしいの一言でした。メインディッシュとなる「少年の帰郷」の前に連なる短編で以前のトシハル君とカスタニ博士の人となりを語られていたおかげで、彼らの空白の時間の重みがより伝わってきました。最初すっかり変わってしまったトシハル君に戸惑いもありましたが、話が進み経緯が語られるにつれ彼の苦悩が痛烈に感じられました。 逃げ出して、その清算を済ませていないままにぷっつりと糸が切れてしまった喪失感は察するに余りあります。 アカリちゃんに引っ張り回され、ぶつかって、ようやく答えを悟った後だったからこそ、あのラストシーンはああも力があったのでしょうね。あのシーンはずるいですよ!涙腺に的確にクリティカルヒット喰らいましたわ!ありがとうございます! そして、始まりの物語である「朝霧」。「クジラ博士」のルーツに相応しい物語であったと思います。カスタニ博士が今までの全てを投げ出すようなことをしでかす出来事として。やっぱりホエルオーでかいです。面白くてロマンのある解釈の仕方で、私はこういうの大好きです。 ポケモンの世界、ということが随所に感じることができる作品でした。現実の生物でもできるかもしれない、けれどポケモンだからこそ映えた作品であると思います。ポケモンの最大の特徴である技を多用せずにそう思わされたのは見事と言う他ありません。 素晴らしい作品を読ませていただき、ありがとうございました! [01]
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