HEROSHOW > season.01 ヒーローショー > 10 エピローグ を読んだ感想 | ||
投稿者:はやめ 2013/12/17(火) 22:29 | ||
[表示] お久しぶりになります。 この度「HEROSHOW」第一章分まで、読ませていただきました。 実は話の途中で、何度も感想を書きたい……書きたい……!() と思いながら読み進めて、とりあえず一区切りがついたということで、私がこの作品から感じた楽しさを、記憶の新鮮な内に書き記しておきたいと思います。書きたいことが多いので、全体的に締まりもない感想かもしれませんが、ご了承ください……。 最初に申しあげますと、これほどポケモン「二次創作」している作品を読むのは、私の読書経験上初めてかもしれません。 これまで発表された作品などからも、現代情勢を文章に置換したような作風、かつ現実味溢れる巧みな描写で、私は人生経験の豊富な鈴志木さんだからこそ成せる技なのだなと勝手に思っております。少なくとも、経験の浅い人間には具体化において納得させられるような描写は出来ません。仮に想像力で補うにしても、幾らかの綻びが生じて、それは矛盾を露見してしまい、かえって中途半端に終わり、逆効果になることが多いので。違和感なく溶け込んだ諸々の設定を考えられること自体が、月並みの言葉ではありますが、本当に凄いなと思います。 例えば、ICマーカー、ジムバッジのマスター、見えない壁などがそうですね。特に、社会の経験がなければ、ケーシィ・テック社辺りの展開や下りは描けないなと思いました。そういった意味で、現実に似せた設定を物語に映し出すことは、時として勇気すら必要とされると私は思っております。 でも小説を執筆する者としては、どこまでリアルに近付ける挑戦が出来るか? ということも醍醐味の一つです。というのは私の考えですが……。それは様々な形で表現されますが、割と抽象的な描写に傾倒してしまいがちな(私事で申し訳ない)立場から見ると、ここまで具体的に考えられて、展開に表せる技術は、羨ましいなあとすら思うのです。 という訳で(?)、中身に触れて行きますね。何だかえらく堅苦しい導入でしたが、純粋な感動を受けたことは伝えるべきだと思い、書きました。ここからはそれなりに羽目を外して……。 さて、本編ですが。 面白い!!! 時間を忘れて小説を読んだのは久しぶりでした。やっぱりまずは率直に面白いと言いたいです。 セキエイを復興していく過程が、何でも一直線に進んでいくのではなく、鳳凰会やマスコミ、イツキの怪我など色々の要素が絡み合うのがなんとも一筋縄でいかなくて、ハラハラしますね。ワタルの視線に読者として寄り添いながら、徐々にかつての栄光を取り戻していく側面を、まるで応援者のような気持ちで読ませていただきました。もう夜明け前ですね。面接で四天王を選んで行く場面は、結果を知っていながらもワクワクします。ミナキの下りは吹きました( 今までジョウト四天王はあんまり関心が無かったのですが、なるほどこうして第二のセキエイが創られていくんだなと。 人物の心理描写に関しても、多様な視点で描くという手法を取りながら、混乱するということは一切ありませんでした。逆にどのキャラクターにもスポットを当てることで、主人公はやはりワタルであるけれど、イツキ、キョウ、シバ、カリン、その他のキャラに至るまで、皆が色々な思惑と目標をもって前に進んでいるんだなということが感じ取れます。 私が個人的に気に入ったのは、カリン・キョウ・総監ですかね。勿論ワタルも素晴らしいです。あそこまで邪念が無くて、真っ直ぐな人間は見ていて眩しすぎるぐらいです(笑) だから一物抱えてそうなキョウとかカリンの方が人間臭いっちゃ臭いですがw でもあんなリーダーがいるならば、是非ともこちらから付いていきたい。友達になれたらいいなって思うタイプですよね。 キョウって正直ジムリーダーの中でも地味なイメージだったんですが、この作品では輝いてますね。見方が変わりました。今まで影薄いと思っててすいませんでした() ラフプレーは驚きましたが、取れる手段は何でも講じるという辺りが、毒を含み持った人間という感じですね。鳳凰会を潰す辺りとか、すっごい楽しそうにやってるなあコイツ〜って言いたくなります。でも良いですね、こういう奴好きです。 あと、総監! この人かっこいいです。オリジナルキャラクターでしょうか? 飴と鞭を使い分けるような、四天王とチャンピオンにとって縁の下の力持ちであり、支えであり……。ワタルに厳しくても実は誰よりも認めているところとか。親父さんみたいな。粋な活躍をしているなと印象を受けました。 登場キャラクターが生きているというか、ただいるんじゃなくて、一人一人が躍動感にあふれていて、それが所謂脇役的なポジションであっても、存在感を引き立てているだなあって……。それでいて、心理描写もしっかりしてますし。個人の描写を怠ってないんですよね。すごいなあ。言葉がありません。感服致しました。 全体的には会話が多いですが、そのやり取りがまた思わず微笑んだり、時に吹き出したりするようなもので、すらすら読めます。 あの、シバは面白いですねww アンズを一人で気にかけたりとか、ワタルに宣戦布告したりとか。あそこは面白かった……。 四天王のイメージを少ない台詞から膨らませていて、ああこういう感じなんだろうなあってのが伝わってきます。 でもまだ皆心を開き切っていないので、まだまだ波乱がありそうですね。それをどう乗り越えていくのか、楽しみです。 バトルも読みやすいです。それにショーということもあって、魅せる展開を意識されているような気がします。ところで特性は、作品には適用していないでしょうか? ヘルガーのもらいびとか、ウインディ戦で発動しないところを見る辺りでは無さそうでした。ふみんの線もあるといえばありますが。 で、キョウの戦い方にまた拘りを感じます。視力の低下したクロバットにピントレンズを持たせ、扇子のサインで補って戦う……。まず思いつかないですね、私には。独特のバトルスタイルが、また彼をこの作品において特徴付けるものかもわかりませんね。忍っぽさも引き立ってかっこいい。全体として、キョウに関しては凄く気合を感じましたが、やはり力を入れられていますかね? バトルはアリアドスvsハガネール、フシギバナvsガブリアス、ピカチュウvsリザードン辺りが好きです。後はヘルガーの戦い方がかこいいかな。噛み付いたりって生々しいけど、そういった面も含めてこれは命がけの戦いなんだなと。 ワタルもチャンピオンの貫禄が滲み出て、セキエイを建て直す中で成長を続けて……最後にレッドと真剣勝負。いやあ熱い! せいちょうを駆使して、やどりぎのタネを肥大化させるとは。こんな発想もあるんだなあ。それにボルテッカーとフレアドライブのぶつかり合い、大技同士はやっぱりとっておきで迫力があります。ワタルが決め技を全部はかいこうせんにしているのも、それでこそワタルですね。 あと、鳳凰会について。 ロケット団バックの単なるポケモンバトルアンチではありましたが、ポケモンと人間の関係性について常々考える私には興味深い連中でした。バトル否定組織に対して、ワタル達はどう反論するのかな? と。鳳凰会の言っていることも間違いではないんですが、やり方が何というか低俗すぎましたね……。動画投稿とか、マスコミの掌返し始め、現実味を帯びていて、こういう点でもなるほどと思いました。ワタルが「ポケモンは夢だ」と語るシーンは勿論良いんですが、私はレッドがワタルとのバトルを通して、ポケモンと人の繋がりに気付くところが自分でもはっとさせられました。 > レッドはスタンドをじっくりと見回す――この観客の誰一人とし >て、ポケモンバトルを見世物なんて批判していない。皆一様に、 >チャンピオンの人並み外れたバトルを楽しんでいる。ポケモン達と >同じく、勝利の喜びや敗北の悔しさ――一喜一憂をワタルと共有し >ているのだ。チャンピオンは観客を楽しませ、興奮を呼び、そして >試合を観戦しているトレーナー達を圧倒する。夢を抱かせる。誰も >が彼のようになりたいと憧れ、セキエイに挑戦すべく旅をする。そ >してここで得られた利益は、その夢の旅を支える一部となる。まさ >に自分もそれに支えられた一人だった。 ここですね。やはりポケモンと人間の意思が強固である限り、繋がりを断ち切ることなど出来やしないんだなと。夢という観点からポケモンとの関係性を言及する作品は初めてなので、参考になりました。 というわけで、第二章もまたゆっくり読み進めていきたいです。個人個人にスポットをあてた話のようで、また新たなる彼らの魅力を垣間見れそうですね。 突然で、しかも長い感想となってしまいましたが、言いたいことは大方書き切れたのではないかと思います。 素晴らしい作品をありがとうございました。 これからもがんばってくださいね! 応援しています。 [07]
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投稿者:鈴志木 2013/12/20(金) 15:58 | ||
[表示] こちらこそお久しぶりです。ご無沙汰しております。 この度は丁寧な感想をありがとうございました。 さすが感想マイスターはやめさん。読みやすくてタメになります。 ポケモンは現代とファンタジーの要素が絶妙にマッチしており、どちらにも膨らませやすいのが魅力だと思っているのですが、どうせなら自分の経験が活かせるようにと現代の方に振り切ってしまいました。 賛否あるかとは思いますが、「もしもプラズマ団がポケモンの解放を実現していたら」で確立されたリアルな世界観が魅力的だったはやめさんにお褒めいただき大変嬉しく思います。 キャラクターに関しても、原作の雰囲気だけ残して舞台に合うよう多くいじっているので、受け入れていただき一安心です。 元々ワタルとジョウト四天王が好きで、折角だから全員を一人の人間としてしっかり書こうと決めて挑んでいます。が、私はおじさんとコウモリと毒ポケモンが好きなので、ご指摘の通りキョウとクロバット(ポケモンで一番好きです。可愛すぎます)は贔屓気味です。HEROSHOWは大人が活躍するストーリーなので、忍者っぽい狡猾さがある働き盛りの最年長というのは大変便利な存在なんですよね。社会はこういう中年によって動かされているはず、と既に開き直り気味です。笑 総監もその一人ですが、これから徐々に方向性が変わっていくのでずっと好きになってくださるかどうか……。 次にバトル描写ですが、第1章はゲームっぽさを無くし“ショー”を意識したバトルにしたかったので、特性等をあまり考慮せずに勢いで書いていました。これは今更後悔しており、完結後に修正を考えている箇所です。本当にすみません。反省が遅いのですが、2章のシバ編(season.04「戦力外通告」)くらいから設定を見直しています。ただ、出したかった迫力は表現できたようなので……気合入れて書いたバトルシーンを気に入っていただけて嬉しいです。ワタルの決め技は「はかいこうせん」に限りますね! 第1章のテーマの一つが「夢」で、主人公がポケモンバトルは虐待だとか商売じゃないと言われながらも、それでも折れずに頂点に立つ様を書きたかったんです。こういうヒーローは日常が楽しくなるほど書きごたえがあり、こういった感想をいただけると一層張りが出ます。 やりたいことを全部詰めようとして既に手軽に読めるような長さではなくなっていますが、お時間のある時にでも続きを読んでいただければ幸いです。 ご多忙な折に拙作へ感想いただきましたこと、今一度お礼申し上げます。 [08]
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