HEROSHOW を読んだ感想 | ||
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投稿者:オンドゥル大使 評価:感動した! 2015/08/03(月) 22:34 | |
[表示] どうも、感想でははじめましてです。オンドゥル大使です。 この度はHEROSHOW完結おめでとうございます! これほどまでの大作を書き上げた鈴志木さんに、まずは敬意を表するとともに最大限のおめでとうを送りたいと思います! さて、感想ですがいやはやまずはクオリティが高い! これほどまでの高クオリティが最後まで続くとは思っていなかったのでその点でまずびっくりです。さすがは鈴志木さん、読後感もとても清々しく、ここまで爽やかなポケモン二次長編は初めてなのではないかと私は感じました。 書きたいものがダイレクトに出ていてとてもいいと思います。鈴志木さんの強みであるアメコミと野球! この二つの軸でヒーローの祭典であるセキエイ高原がとても面白く出来上がっている! なおかつここまで長くなっていてもブレないのは凄い! 二次創作としては最高峰に近いです! ただ、ここから先はちょっと私の個人的な(本当に超個人的な)意見を少し。 鈴志木さんはとても清々しい話を描くのがお得意で、でも逆にそれが同じ読み味になりがちな感じかな、と思っています。極論で言えばイイハナシダナーになってしまう。 もちろん、それはいいのです。いい話なのはとてもいいし、それは鈴志木さんの実力でもあるのですから。ただ毎回いい話なのは鈴志木さんのいい面であり、同時に弱点であると感じました。好みの範疇がいい面で絞れていてぶれていない。悪く言えば(本当に申し訳ないのですが)狭いと思いました。 鳳凰会、ヒーローショー、悪女未満辺りまでは鈴志木さんの書きたいものでしたがその先は読者のニーズに合わせてしまったような気がします。いや、それはとても凄いんです。読者のニーズに合わせて話を書けるというのはとても鋭い。ですがニーズに合わせたせいで少しとっ散らかった印象もありました。書きたいシーンと読みたいシーンのシンクロ率が高いですがやはりいい話に転がりがちですね……。いや、なんか申し訳ないんですが。 超個人的に言えば鈴志木さんには「嫌な話」を書いて欲しいんです。「嫌な話」を読みたい! どんな話になるのか全然予想出来ないところがありますね。 ここからはちょっと厳しめですがいい話、というのは毒にも薬にもならない話、と言い換えられます。無難、という言葉もありますが最後のサカキ戦、熱さはありました。最高にエンターテイメントだったと思います。サカキがトレーナーとしてワタルと戦った時点で敗北、というのも分かります。あと投球フォームが好きな球団の選手というのもこだわりがあっていいと思います。 ですが! 「サカキをトレーナーとして倒したい、超えたい」の気持ちをワタルに持たせるには少しばかり最終章は視点を色んな人物に振り過ぎた感じがあります。それまで四天王の一人に絞っていただけに弱点が出た感じがありますね。多人数視点を同じくらいの熱量で描こうとするあまりドラマが一面で薄くなってしまったような……。 あとサカキが悪、という図式を鈴志木さん本人が力技でもねじ伏せられなかった、正義と悪を超えた戦いに出来なかったのが個人的に惜しいところだと思います。ロケット団を正義と悪を超越して描くのはとても難しいので分かるんですが鈴志木さんなりのアレンジをもっと欲しかった感じですね……。 それとミュウツーの扱いが思っていたよりも雑だったです。二世であるアンズと心を通わせるかに思われればなんだかただの厄介虫レベルに収まってしまったのがちょっとつらかったです。 シルバーももっと葛藤を持たせてもよかったと思います。ワタルが出てシルバーの間違いを正すにせよ、シルバーが自らの過ちに気づくにせよ最終章は描きたい人物が多すぎて消化試合になった感がありました……。 鈴志木さんの話には本当に悪い奴、嫌な奴があまり出てこないですね……。それが爽快感に繋がっている面もありますがロケット団という悪を描くにしてはちょっとどっちつかずでした。策謀や暗躍描写がお粗末なのも気になったところ。ワタルを立たせる舞台付けには十二分と思いましたが。 スポーツマンシップに則ったポケモンバトル小説としては限りなく百点で、キャラの魅力も出ていますし全体的にとてもいい作品です。名作と言っても過言ではありません。 ただ……、完全に主観ですが鈴志木さんがいい人であるがゆえに非情になり切れなかった感覚を覚えました。鈴志木さんが人格者であるために、キャラクターに投影する部分が大きいので全体的に行き過ぎた思想や分かり合えない存在がいなかったです。それは全て鈴志木さんがいい人だから……。いい人、というのがある意味での弱点ですね……。 多分鈴志木さん自身どこまでサカキとロケット団を悪にするのか、どこまで非情にするのかの葛藤があったと思うんです。最終章が他の章に比べて長かったのもそのためなのかな、と勝手に想像していますが。 HEROSHOWはエンターテイメント小説です。それも最高峰の。 多分、私のこのような意見よりも全体的に「よかった」「面白かった」の意見のほうが多いと思うので鈴志木さんにはこれからも自分の信条を曲げずに貫き続けて欲しいと思います。 改めて完結おめでとうございました! これからも応援しております! [25]
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投稿者:鈴志木 2015/08/04(火) 16:16 | |
[表示] ご感想ありがとうございます。 「感動した!」の評価に感動して、それだけで満足なのですが批評までくださって本当に感謝です。 オンドゥル大使さんには掲載間もない頃から応援していただき、その声が励みになっていました。作品どころか人格まで評価され、有り難いことこの上ないです。愛想は良い方ですが、中身は褒められたものではありません。画面の向こうでは仕事とか贔屓球団の至らない点に不満を抱えて生きているので、趣味の創作くらいではやりたいことをやって発散したいと考えています。良い話ばかりなのはその影響ですが、嫌な話もネタが浮かんだら書いてみたいですね。ご指摘の通り、ロケット団を描いてみて悪役をしっかり動かせない事は分かったのでその辺の訓練も兼ねて。 正義と悪の超越までとは考えていなかったのですが、ロケット団という純粋悪を活かせず、シルバーやミュウツーを上手く話に組み込めなかったことは反省しております。ロケット団はハリウッド映画によく出てくる割と単純な過激派マフィア(初代のロケット団はこのイメージ)として書きたかったのですが、中途半端になった感じは否めません。これはヒーローがテーマの話にとって致命的でした。もっと色々な作品に触れて勉強し直します。 ちなみに読者のニーズに合わせてしまった〜とありますが、読者を意識したことは殆どなく、一体何が求められているのかは分からずじまいでした。外の声を反映させた例と言えば、前半でクロバットを贔屓しすぎて、その感想ばかりいただくのでバランスを取って出番を減らし負けさせたことくらいです。むしろ反省しなければならないほど原作キャラクターにオリジナル設定を加えており(イメージを壊さないよう気を付けてはいますが)、もっと叩かれると思っていました。自分の書きたいものがニーズに合っているとすれば得した気分ですね。 オンドゥルさんらしい観点からのご感想、とても参考になりました。これを励みに活動を続けていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 [26]
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