叛骨の強奪者 を読んだ感想 | ||
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投稿者:ポリゴ糖 評価:とても良かった! 2019/06/06(木) 22:00 | |
[表示] 大分前に読ませていただこうと言ってから時間が経ってる気がしますが、とりあえず最新話まで追いついたのでそこまでの感想書かせていただきます! やはりこの作品の見どころはアクションですね……冒頭から走行中のリニアでの戦闘、と、かっ飛ばしていくところ、度肝を抜く意味で素晴らしいと思います。石化という絶望感、それに耐えきれない様子を見せるイトハ、というシーンも、後々のことを考えると非常に効果的だったかと思います。まだ石化現象の全容は掴めませんが(マルバの言ったことは本当かどうか?)、死ではなく復帰の絶望的な静止、というところは、海底神殿での戦いといい、ぶっちゃけ死よりも惨たらしい状況を作り出しているようで、上手いなあ、と。 もちろんその合間で展開される人間模様というのも見どころだと思いました。ヒイラギとイトハの精神世界での会話とか胸に来ますね……。ヒイラギの「英雄」観とその苦しみ、イトハの苦しみを分かち合おうという言葉、そこから断絶を置いての「おかえり」「ただいま」はずるいっすわ……。どいつもこいつも胸に抱えているものがあって、それが譲れないがゆえに衝突する、というのは醍醐味ですね! キャラクターの中だと私はホオズキ推しです。やっぱりミュウツーとの絡みもあるということが、マルバ達に従う形で敵対するときの悲哀をとても強く呼び起こしたというのもあります。妻と子供の為、という彼の目的、これは世界のためとか正義のためとかではなく、あくまでも自分に守れる範囲で、というか、肩肘張り過ぎないというか、上手く言えないんですけれど、そこに彼なりのこれまで歩んできた道程の彼にとっての重みというか、そういうものを感じたところであります。それがゴルーグとの関わりの中にも表れているような気もします。「仮に神と呼べるものが実在するなら、きっとおれたちは嘲笑われてるんだろう。だが」「おれも運命に叛逆するぜ」このシーンがとても印象に残りました。カッケー! 原作キャラの描き方だとサカキの戦い方好きですね……。対ユクシー戦で鍛え上げたポケモンたちが次々石化されても全然怯まないところとか、あくまでもポケモンは駒であり戦士、みたいなスタンスをよく表しているように思えました。 あとやはり最新話のですね……「読者側としてよく知っているスナッチャー」の前身、プロトタイプ的な立ち位置としてアクロマたちが司令官を追い込むところ、ほんとに痺れました……! アクロマもしかり、スレートもエクリュも「元プラズマ団」がどういう理由でスナッチャーに協力したりしているのか、まったく読めませんでした! いや本人たちも気付いていなかった(記憶から消されていた)んでしょうし、本人たちが一番びっくりかもしれませんが! 先の展開がとても気になりますね……マルバの言っていた石化はギラティナの異世界の云々という言葉が本当だとすれば、ヒイラギとイトハがそちら側でいちゃいちゃ……じゃなくてばりばり奮闘してくれるんじゃないかって期待してます、続き楽しみにしてます! [27]
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投稿者:はやめ 2019/06/10(月) 21:56 | |
[表示] ポリゴ糖さん、読了だけでなく感想までありがとうございます! 読み返しては頬を緩ませている作者です。 最近は、小説でアクションを表現するのって、正確性においてどうしても限界があるというか、映像に比べて難しいと思っているのですが、それはさておき書きたくなってしまう自分がいます。ミュウツーvsミュウやマルバvsヒイラギは、バトル論が盛んな中での更新投稿ですしね……。「ミッション」の遂行が物語と決めた時から、アクション描写とは長い付き合いになるだろうと思っていました。 冒頭〜リニア戦:意識したこととして、説明をくどくど並べるよりかは、物語自体をガンガン進めてその牽引力であわよくば続きを読んでみよう、と思ってもらえたらいいなという狙いがあり、このような構成をとっています。 マルバが述べた通り、死んでしまえばそこが終着なので、生き地獄を味わっているようなヒイラギたちの戦いは、生死の境界線ど真ん中にあり、その振れ幅によってどちらにも傾き得るという微妙なバランスを保つよう心掛けています。その均衡が各キャラクターの陰や纏う危うさにも繋がっているようにしたかったんです。 というのも、マルバが使い捨てられる波導使いたちをはじめとした 戦士の運命を本当に嘆くなら、せめて直接的な死ではなく、彼らの救いになるような慈悲を与えるはずです。ただ石化を無闇に増やすことは、ネオロケット団員らにとってメリットになりません。そこら辺思想の違いが、スナッチャーとネオロケット団の対立点を決定付けてもいます。 ヒイラギとイトハの関係性が始まりを告げた「月夜に緋糸を結ぶ」。改めて、この回の反響が大きかったなあと認識しています。思い入れが深い回のひとつです。 ヒイラギ×イトハを描いた後は、ヒイラギ×ホオズキときて、イトハ×ホオズキが一対一で向き合う一連の流れも必要でした。また、ヒイラギの叛骨精神を示し、皆で内通者を追い詰めるにあたっては意味のある断絶期間になったのではないかと思います。ポリゴ糖さんも仰るように、ヒイラギとイトハの二人は物語を通してまだまだ波乱があるので、その点も楽しみにしていただければと思います。 ホオズキ推し! ありがとうございます。本当に人気だな彼は。作者冥利に尽きます。 スナッチャーの中では少し異質というか、ニヒルなポジションにいますよね。ヒイトと異なり、既に妻子持ちであることが大きい点でしょうか。彼は幼少期からロケット団という異世界しか知らなかったからこそ、何よりも普通の暮らしに憧れ、手に入れた小さな幸せの価値を噛み締めています。 この、「肩肘張り過ぎない」というのは、スナッチャーではそれなりに意識しているところです。世界を懸けた戦いに集められた人員でありながら、個々人は少し捻くれて斜に構えたように世界など……、と「波導の勇者」を騙るマルバ相手に吐き捨てる。彼らはみな何かを失った人であり、何かを欲してやまないのです。だからこそ誰よりも小さな幸せを見つけることが出来て、それを大事にしようと努める人たちだと思います。 サカキの戦い方は、彼にとって「ポケモンは道具」というところを突き詰めていくと、神の喉元に迫るための駒を切り捨てていくんじゃないかと想像を馳せました。自分でも気に入っている描写なので、そのスタンスを好きと言っていただけるのであれば悪の組織のボスらしさを表現できたかなと思います。 そうなんです! 「読者側としてよく知っているスナッチャー」の裏にプロトタイプ・スナッチャーがいる、これは叛骨という作品を書く上で絶対にやりたかった構図のひとつでした。プラズマ団がスナッチャーに協力する理由は何故? という疑問を常々読者様からいただいていたので、実はこういう事情があったんです。ようやっと明かせました。ただ原作キャラをオリジナルチームの司令塔に置くには結構な思い切りが必要でしたが……笑 作品の流れを全部汲み取ってくださり、感激しています! ありがとうございました! Second Stageも終盤も終盤、スナッチャーの戦いの行方をどうぞお楽しみに! [28]
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