叛骨の強奪者 を読んだ感想 | ||
![]() |
投稿者:照風めめ 2018/02/25(日) 18:11 | |
[表示] ごめんなさい前どこまで感想書いて拍手したのか覚えてないので、Second StageのPhase29までの雑感です。 ほんと何から言おうかめっちゃ困るし迷ったので、ほぼ時系列順かつ各セクション毎にドバーッと流していこうと思います。 ●ヒイラギとイトハ んああああいっちょ前になりよってからに! 前まであんなにつんけんしてたとは思えないくらい見せつけてくれますね! 可愛いかよ!! >>「普通は生まれた瞬間に死ぬことなんて考えないからね。だから人は「お誕生日おめでとう」と祝う」 ああこれいいなあ。その前のセリフについて、これ私個人はよく思っていることで。最近は控えるようにしてたんですが、以前は誕生日になったときには寿命が一つ減りましたとかほざいてたんですけど、イトハのセリフでなんか腑に落ちました。 やっぱお月見山の一件から、この二人の距離は確実に近づいてるとは思ったんですけど、まさか >>「この気持ちを上手く言語化出来る人生を送ってこなかったことが悔やまれる。こそばゆいというか、慣れない気持ちだ」 ってのがヒイラギから出てくるとは! うおお、戦いしか知らない彼がついに愛に触れたか!(感動) ここのやり取り本当にかわいくて、めっちゃ顔が綻んでしまいます。 なんでしょう、ヒイラギは天然な分だけあって、突発的に放つ言葉の破壊力がでか過ぎる。イトハも可愛さどんどん増していってるな〜。 ●可哀想なホオズキ 元ロケット団ネタで延々といじられるホオズキがめっちゃ不憫。 しかもそれをジュノーには弱みとして良いように扱われ、ヒイラギからは辛辣な皮肉や挑発として使われる。 確かにかつては「あの」ロケット団員だったとはいえ、流石に可哀想が過ぎる……笑 ●ハートスワップ 設定がめっちゃ作り込んであってすごい好みです。 大脳皮質とか脳神経外科とか、ちゃんとそれ的な言葉が出てきてて、記憶を入れ替えるというふわふわした話をしっかり地に足のついたワザに昇華してるの本当すごいし面白いなあと思います。 依存症が出るとかいうところもかなりヤバい。それはそれで見てみたい……。 ●海底神殿戦@ モブかと思ってたキナギ選抜チームが意外と優秀! この世界の人々皆強いな〜。 それはさておき大一番のヒイラギVSホオズキ。サント・アンヌ号でほとんど同じ光景を目にしたにも関わらず、シチュエーションや立場の違いでここまで誤解を生むとは! ヒイラギとイトハの時を髣髴とするようなやり取りですが、今回はホオズキの思想がどんどんと明らかになっていくのがいいですね。 >>「正しくないと分かったことを前にして、それを見過ごす真似は、おれには出来ない」 かっこいい。しかしそれに対してホオズキが抱くのは、お前もっとうまく立ち回れよ。という諦念。そしてそれぞれが信じる正義のためにぶつかり合う。白熱した戦闘の最中、ホオズキが命じる「呪い」 まさか呪いがこんなハイリスクなワザになるとは。HPじゃなくてガチに命を削りに来るとは予想外でした。 どちらも意地をかけた戦いですが、ここでヒイラギがマナフィの心を揺るがせて成功するハートスワップ。熱い! ホオズキからすればヒイラギは自分より若いのに、自分が出来なかったことを貫こうとしていて、自分が持っていなかったものを持っている。そしてそれを延々と目の前で見せつけられる。人って年を取るほどそういうのを顕にしたくなくなるけど、ハートスワップによってさらにそれを剥きださせることでホオズキの本音がドドドっと出てきましたね! 文字通り客観的に自分を見る、っていうのは中々想像出来ないですし、きっと直視出来ないと思うんですけど、もうホオズキは可哀想かよ! ってくらい散々目に刻みつけましたね。 しかしそんなホオズキを理解した上でなのか、ヒイラギは相も変わらず我が道を行こうとする。血も涙も無い性格から、イトハとのあれこれを通じて他人への気遣いは多少出来るようになった気もするんですが、この物言いといい態度といいヒイラギはヒイラギでいっそ安心しますね。 そこから再起するホオズキと、ヒイラギの波動のレッスンがすごくテンション上がりました。 >>「おまえは操り人形じゃない。自分の手で、何かを変えるために戦っている」 この前後の会話めっちゃ好きです。二人の関係性の対比がめっちゃ出てるようで、まさにヒイラギVSホオズキの総まとめって感じがしました。 果たしてヒイラギの波動の色は何色だったのだろう……!? ホオズキの最後の宝とは?? まだまだ伏線がいっぱいありますね! ●海底神殿戦A ついにポケモンハンター・Jとの決戦が! >>石像自体は重くとも、人の価値の軽さにスレートは耐え切れない。 ここ一番の泣き所でした。今更ですけど石化ってめちゃくちゃ恐ろしい現象だと思うんですよ。死んだら普通は火葬したりとかして骨だけになって形残らないじゃないですか。でも石化したら形残るじゃないですか。だからこそめっちゃ恐ろしいと思います。もしかしたら助かるかもしれない? と思わせるところがなおさら怖い。いっそ普通に死んだ方が分かりやすくていいなと思うくらいに。 しかもそれを銃一つ打つだけで叶えるなんてのがもう怖いのなんの。 それはさておき、そんな長の覚悟とイトハからの叱咤を受け、スレートは再び覚悟する。 イトハが石化されそうになったときは文字通り息を飲みました。無事なんとか回避できてほんとホッとしました……笑 >>イトハの中にヒイラギのイズムが流れ出し、息づく。これまでいついかなる時も、ずっと傍で彼の戦い方を観察し、焼き付けてきた相棒にしか、この逆転劇は起こせない。 あああ、ここめっちゃ燃える! 味方の戦い方を再現しながら戦う、これほんと王道ですけど最もテンションが上がりますよね。お互いに認め合って、そのあとの「行くの?」のセリフ。たまんない。だけど、帰ってくるかどうかは告げない。そのときにもらったネックレスをようやっと首にかける。ああ、なんてエモいんだ……。 プレシャスボールを捕獲ではなく攻撃の武器として投擲するのは面白い! ようやくついた決着も、ほのめかされるJ2の存在。まだまだ謎は深まるばかり……。 ●ジュノー ヒイラギに休息という字はないのか……。ジュノーとついに向かい合うヒイラギ。 そこでようやっと語られるジュノーの過去。そしてジュノーの信念。 尋問にかけているのはヒイラギのはずなのに、いつの間にかジュノーの掌の上にいるような錯覚。そもそも本当にジュノーが敵なのかどうかも分かりかねる状況で、果たして何と戦っているのかどんどん靄がかってきます……! ヒイラギの決死の覚悟もマナフィのハートスワップも届かず……。言葉だけではなく、その実力も裏打ちされたものになっていくジュノー。 そもそもなぜハートスワップが効かなかったのか? 謎が謎を呼び続けている……! かなり長々と散文が続いて申し訳ないですが、本当に面白かったです。 誕生の島編も引き続き楽しみにしています。どんなどんでん返しがこの先に待っているのか、続きかめちゃくちゃ待ち遠しいです! [12]
|
||
![]() |
投稿者:はやめ 2018/02/26(月) 17:16 | |
[表示] 感想ありがとうございます! ガッツリした感想をいただくのは初めてな気がして、作者として叛骨にそれほどハマっていただけたことに感謝しかありません。 めめさん、何度か「かわいい」と仰ってますが、自分も割とそう思っています。 ヒイラギとイトハは、これまで戦い、戦い、戦い……といった激動の人生を送ってきました。例えば、三次元でそういう闘争とは程遠い平穏を過ごしている私達とは、違ったポイントや物事に関心を払ったり、見過ごしてしまいがちな、ほんの些細な幸せの欠片も拾って、大事にする思考の持ち主ではないかと膨らませています。ヒイラギは、何も無い荒野に、一輪の花が咲いていると、立ち止まって見つめたりすると思うのです。 それが微笑ましさであり、なんとなく可愛いな、といった初々しい印象につながっていくのかな、と。 「人もポケモンも生まれた瞬間から死に近付いている。それを何故喜ばしいことのように受け取れるんだ」 この場で唯一、想いを受け止めてくれそうな人物に向けて放った。 「普通は生まれた瞬間に死ぬことなんて考えないからね。だから人は「お誕生日おめでとう」と祝う」 「幸福なことだ」 このくだりは、なんとなく書いたものでした。 今作主人公を書くにあたって「ヒイラギという人物が言いそうなこと」をイメージして、台詞に起こしています。奴は捻くれ者ですが、結構そういうキャラを書くのは好きなので、書きにくいというよりはいきいきと動きやすくて。 ヒイラギを戦場の戦士代表とすれば、イトハはレンジャーという民間―戦場を行き来する立場代表なので、ヒイラギの諦念や歪みに対しては、戦い以外の生活を知っており、かつ戦場の辛酸も舐めているイトハが両義的な立場に立って、抗弁する、或いは代弁してやるといったポジションに当てはめて問答を書くことが多いです。あんた(ヒイラギ)の気持ちも分からないではないけど「普通」はこう考えるよね、といった風に。 でもヒイラギはその普通が分からない。だから時に常識はずれな言動を取るわけです。 ふとした日常の慣習に抱いた疑問を、口に出したり考える人もたくさんいるかと思います。しかし、正直「何で誕生日がめでたいの?」とか大人や同世代に言うと、周囲から奇異の目線で見られるのでは? と自分は思っていたり。でもそうしたヒイラギ寄りの思考も自分の中にあるので、何とかイトハの台詞をはさんで死生観として中和しました。 生誕祭のくだりは、本当に私としても気に入っています。 微笑ましさとかこそばゆさ、少しの面映さ、ストレートすぎる直球と届き切らない変化球、そうしたヒイトの魅力を出したいな〜と思って気合を入れた場面です。このやり取りにめっちゃ顔が綻ぶ、と言っていただけるのも、やはり積み重ねてきた賜物ですね…… 普段は強気すぎるぐらい強気に振舞ってますが、ヒイラギのアレは虚勢による部分も多いのではないかなと思います。イトハとは苦楽や闇を分かち合った、分かち合える唯一の存在だから、お互い壁を越えれば距離が縮まるのは早いですね。二人がお互いに対して正直になっていけばなるほど、より可愛くなっていくのではないでしょうか!w 今後も二人の関係性にご注目ください。 ホオズキはSecond Stageのキーキャラクターなので(イトハがFirst)、主人公ヒイラギとの二段構えで目立つようにしています。ですが、今はひたすら不憫という印象を与えてしまっていますね…… もちろん意味があって落としていますよ。 なぜここまでしつこく? と思われたかもしれません。というのは、叛骨において善悪の立場が結構重要な意味を担っているからなのです。 ヒイラギとイトハは善行を重ね、今の地位に落ち着いた。しかし、ホオズキはスナッチャーの中で唯一悪の組織出身。異質なものと組まされている、というのが率直な双方の本音かと思います。なぜ、ロケット団だった人間を招く必要があったのか。それはこれから誕生の島編をきっかけとして、少しずつ明かされていくんですけれども、チーム構成としては非常に浮いている。これがひとつありました。 よく世間のニュースで「更生」云々の話を聞くので(反省・更生しても昔のことで色々言われたりとかは、芸能人でもよくある)、そうしたところともぼんやりつなげています。あまり人をステータスで判断するのは良くないし、眼が曇ると思うんです。でも、同時に「自分の肩書き」というものは結構重い意味を持つ、と体感することもありました。ですので、大事なことだな、と思って、叛骨でも善悪という観点で各々のステータスや肩書きに隠れたコンプレックスを露出させるようにしています。 ハートスワップに関しては調べました。最近、特定分野を調べて書くことが増えましたね。知ったかぶって用語を用いて無知が露見すると恥ずかしいので、一応軽く下調べして、整理してから書いています。ただこういう設定を考えるのは元々好きです。 >ヒイラギとイトハの時を髣髴とするようなやり取りですが、今回はホオズキの思想がどんどんと明らかになっていくのがいいですね。 お、うれしいですね。 仰るとおり、ヒイラギvsイトハを意識して書いています。叛骨は、『名前も声も知らない』のように最初にキャラの素性を明かすのではなくて、後から重要な事実が判明していくという回りくどい構成をとっていますので、結構混乱させてしまっているかもわかりませんが、楽しんでいただけたようで何よりです。 「正しくないと分かったことを前にして、それを見過ごす真似は、おれには出来ない」 「時代遅れの正義感を振りかざしても、相応に処分されるだけだ! 無頼漢、おれはおまえを疑っている……。今なら引き返せるぞ。わたしがこの任務を、おまえに代わって達成する」 これはどっちも正しいと思うんですよ。昔だったら圧倒的にヒイラギかっこいい!って自分でも言うところでした。私は彼ほど強く在れないので。ただ、成人して少し思考が変わるにつれ、割とホオズキの考え方も大事だなと思うように。いやすごく個人的な話になってしまいますが。 組織に適応する、合わせるというのは、自らを護ることでもあると思います。 ヒイラギは、テレビドラマの主人公(物語の主人公なのでおかしくはないのですが)のような存在ゆえ、かなり浮世離れしているかもしれません。あと、すごくこれどうでもいいかもしれないんですが、私は『救命病棟24時』に登場する「進藤一生」というキャラクターをヒイラギの思考モデルにしています。その進藤先生は、医者の利害とか、言い訳とか、一切許さない人です。絶対に患者のことだけを考えて治療に専念しろという、鬼のような人でして。何べんも教授のやり方に突っかかって、左遷されたりされかけたり、天才ゆえに周りから浮いてしまったりする。でも本人は絶対に医者として患者に尽くす、という主義を一度とて曲げたことはありません。この格好良さは、貫くことはとても凡人には難しいので、やはりドラマ止まりの架空の存在だとこそ思いますが、これを出来る人は、格好良いな、と思って、ヒイラギを彼に近づけています。 叛骨で再三描いてきたように組織を根本から破壊しかねない異分子中の異分子。こいつを放っておくと何かとんでもないことが起きる(事実、起きたし)という懸念や不安を、ホオズキと一緒に、読者の方々が危うさとして受け取ってくだされば、私としては万々歳!といった感じです。 >血も涙も無い性格から、イトハとのあれこれを通じて他人への気遣いは多少出来るようになった気もするんですが、この物言いといい態度といいヒイラギはヒイラギでいっそ安心しますね。 そう言って下さると作者的にも安心しますwwwwwww >ここ一番の泣き所でした。 ここで散るのが運命ならば、受け入れようとばかりに無抵抗で目を瞑る。末端から侵食されていき、重石となった長は、自然と墜落していった。石像自体は重くとも、人の価値の軽さにスレートは耐え切れない。 ここですね。ありがとうございます。長とスレートの関係性に焦点をあてつつ、でもヒイトほど積み重ねの無い人たちの関係をどうやって一話に凝縮したものか……と色々悩み、ここは結構読者の方の解釈に委ねることにしました(投げ)。うまくいったようで良かったです。 石化に関しては、今作で当然これから掘り下げていきたいと思っていまして、メカニズムなどもちゃんと考えてあります。 ひとまず「死と何が違うのか?」ということを考えています。ポケモンでは、石化の表現がそれなりに多用されていますよね(ミュウツーとミュウの攻撃を食らったサトシが石化、イベルタルのデスウイングによる石化、ポケダン・ポケスペでの石化など)。 Twitterで、「安易な石化は、死の表現を軽んじているように見えてしまう」「石化してすぐ治るなら、何の意味があって石化したのか」「死を描かずに石化でごまかしている」といった旨の、指摘・感想などを見かけたりして、じゃあ石化と死は何が違うのか、敵は死をもたらすのではなく、石化を通して何を行おうとしているのだろうか? と叛骨で考えてみようかなと思い至りました。 Jの銃はアニメがモデルで、当時「こんな恐ろしい代物誰がどうやって作ったんだろう」と思いましたが、まさかその仕組みを自分で考え直すことになるとは当初思ってもみませんでした。ただ、Jが石化銃を手に入れた経緯含め、叛骨では二次創作流の解釈として描くつもりでいます。 >あああ、ここめっちゃ燃える! 味方の戦い方を再現しながら戦う、これほんと王道ですけど最もテンションが上がりますよね。お互いに認め合って、そのあとの「行くの?」のセリフ。たまんない。だけど、帰ってくるかどうかは告げない。そのときにもらったネックレスをようやっと首にかける。ああ、なんてエモいんだ……。 ありがとうございます! 「エモい」という率直な表現から、感情移入していただけた様子が伝わりましたw 生誕祭のやり取り以上に、この別れはとにかく一言一句気を払いました。特に、ヒイラギがイトハの質問に答えを返さず、ネックレスをかけるという形で半分返事にするというのは、うまくアイテムを通して流れに組み込めたと思うので、自分でも好きな場面のひとつです。どんな想いを込めたかは、言わないほうがベターでしょうね。 さて、ジュノーですが…… 彼に関しては何も言わない方が、というより何も言えないですね。 果たしてジュノーとは何者なのか? この章が終わる頃には、全てが明かされるかもしれません! と先をほのめかしつつ。 改めて、感想ありがとうございました。大変読み込んでくださって、作者冥利に尽きます。 誕生の島編もかなり長く、また展開の変化が激しいですが、お楽しみに! [13]
|