叛骨の強奪者 > Second Stage - EX-Team Rocket part - > 08 Phase 27 訣別 を読んだ感想 | ||
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投稿者:とらと 2018/01/23(火) 21:12 | |
[表示] ア〜物語が動きますね、ヒイラギさん……イトハさん…… とらと、今話、書き出しの雰囲気、とても好き。それはそうとして戦闘シーン今回も圧巻でした、特にイトハさんの勇ましさは目を瞠るものがありました。彼女はトップレンジャーでずっと強い存在ではあったけど、微妙にヒイラギさんに後れを取るようなイメージは否めませんでした(ヒイラギさんがスナッチャー最強らしいからそのイメージで合ってると思っている)。だが今回の彼女は違いましたね、キャプチャ技術云々ではなく、人のポケモンに指示を出したり、Jを煽ったりという行動で、窮地を脱して見せた。立場的に彼女はヒロインと呼べる存在なんだろうけど、ヒロインという言葉のイメージとは完全に一線を画していますね、本当に強い。その強さが、ヒイラギさんと共にあったからこそ身に宿したものなんだという事実を思うと、また胸が熱くなります……この命を削る激しい闘争の先に、別れがあると分かった今、尚更に。 > イトハが探るように、それでいて下から掬い上げるのではなく、まっすぐと、斜めに切り込むように見つめて来る。 好き……(語彙力の死) > 近付いた瞬間、遠ざかる。これは何の定めなのだろう。仄かに黒い感情が湧き出て来る (死) どこにも行かないよね、という言葉を受けてから、一言たりとも、ヒイラギさんはイトハさんにくれないんですよね。ただあのネックレスを身に着けて示してみせる。あ〜もどかしい、もどかしい!! この二人の関係もう……急速に近づいて、同じものを見て志しながら、それでも別れて……あ〜いいのかヒイラギさん!! それでもお前は男か!! いや男なんだろうけど!! 返事をしてやらないことが君の優しさなのかもしれないけど〜!! お前って奴は〜!!! それがお前のやり方か〜!!!(じたばた >イトハは、いっそのこと、鼓膜を破ってしまいたい獰猛な衝動に駆られた。 >イトハは率先してヒイラギを審判にかけるべき罪人へと晒し上げてみせた。 いじらしい、そして、勇ましい。イトハさん強い、本当に強い。現在進行形で傷つきながら、それでもしたたかに前進する。いやなんていうかはやめさんめっちゃうっまいっすわ、このあたりのイトハさんの心理描写が絶妙な塩梅でめっちゃ好みで大変素晴らしかったです。参考にしたい……! 話戻ります、ヒイラギさん。Jと「強奪者」というワードで繋がっていること、それについてJに対して同族嫌悪を抱いていることが描かれていました。ヒイラギさんがスナッチしたポケモンを使う事に対して葛藤(葛藤という表現はちょっと変かな? 葛藤するでもなく使うけど悪という認識はある、みたいな)する場面は何度か描かれてきたような気はしていましたが、自分の行為をJに重ねるまでに悪と認識しているのに少し驚きました。こういう組織にいたり生き方をしていたりすると、悪いことをしていても段々当たり前の感覚になっていきそうなものだが、ヒイラギさんはそうではない。己の行為をこんなにも俯瞰して評価しているんだなと。 Jは物語を通してスナッチャーが倒すべき絶対的な敵として君臨し続けるものと思っていましたから、Jを『倒した』と言える今回の展開は予想外でした。スナッチャーにとっては(かなり犠牲は出てますが)、初めて「ミッションクリア」と言えるのかな……? J2……ミュウツーを思わせる名ですが、コピーなのか何なのか、Jは二人いるという言葉の真意は果たして……。 そしてマナフィ捕獲。ハートスワップを利用して内通者を暴く、という話でしたから、誰にもばれないようにこっそり捕まえてこっそり探していくのかなと思っていましたが、派手に捕獲して、しかも捕獲したまま、組織に帰って尋問か。マナフィがここにいるとはいえ「ボールに捕獲される」という行為がキナギ人にとってどのようなものかは推して知るべしといった感じでしょうが、これからヒイラギさんスレートさんがマナフィ(とプラズマフリゲート……?)をどのように使っていくつもりなのか、気になるところです。 噴き上がる失意の叫びを聞いて、わずかながら心が揺らいでいるようなヒイラギさん。 > スナッチャーという組織に、護るだけの価値があるのか。 >「スレート。おれたちは、一体何と戦っているんだ?」 これですよね。内通者を暴いて、真実を突きとめて、それで何になる。その先に何が待っている。(そもそもヒイラギさんが反逆者として離脱したスナッチャーは最早機能しない気もする) いやあこれからどうなるんだろう。気の休まる暇などない本作ですが、相変わらず気が休まりません。次話を楽しみにお待ちしております。 拍手サイズに収めようと思って書きはじめたのに……どうしてこうなった…… [10]
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投稿者:はやめ 2018/01/23(火) 22:35 | |
[表示] とらさん、毎回ありがとうございます。 大変励みになっております。いつも感想を読むのが楽しみです。 スナッチャーの構成員は、スキルや特化分野で格付けすると、三者間の比較であってもランキングが常に変動します。 例えば、単純な任務達成率に関連する「強さ」であれば、ヒイラギ>イトハ>ホオズキ といった風になるかと。この強さがポケモンに指示を出して戦略を構築するトレーナースキルの話になると、また変わったりもします(イトハはトレーナーというほど強くないので)。人間強度での耐久力であれば、ホオズキ>イトハ>ヒイラギ といった風に、ですね。スナッチャー三者間で上手くバランスを調整して均衡を図れるように、裏ではステータスを設定しています。が、総合力では恐らくヒイラギが一抜けするため、エースと呼ばれるのはそういう所以もあります。 イトハの話を。 私はイトハを、チーム内における縁の下の力持ちポジションとして位置付けています。また、First Stageでは、ヒイラギからの嫉妬を一方的に受けるといった存在でもありました。でも、実のところは、その身に合わない悪意を背負わされて、強く気高く戦いながらも心は傷付く女性、という風に反転させたかったのです。ヒイラギはこの世の穢れを知って戦士として育ちましたが、ヒイラギとは違う世界・戦場で育ったイトハには想像が及ばない部分もあった。Firstでの若干の心許なさは、まだ彼女がスナッチャーとして覚悟を決めていなかったからです。それを克服して、スナッチャーのメンバーに真の意味で「なった」ということで、これから異なる強さを身に付けていくと思います。スナッチャーに属するということは一切の容赦を捨てることを意味しますので。非情になることで得る強さみたいなイメージです。 (※ヒイラギの俯瞰の話に繋がるので後ほど) 読者の方からは物語の主人公や活躍度合から見てヒイラギの印象は強くなると思いますし、そのようにイメージして書いたので、そう思われるなら作戦成功かなという気分です。前回の返信でも仄めかした通り、ヒイラギは訳あって強く描いていますので、その点も観ていただければと。 > イトハが探るように、それでいて下から掬い上げるのではなく、まっすぐと、斜めに切り込むように見つめて来る。 好き……(語彙力の死) > 近付いた瞬間、遠ざかる。これは何の定めなのだろう。仄かに黒い感情が湧き出て来る (死) ありがとうございます。いやー嬉しいなあ。心情描写に長けた方に褒められると嬉しいです。 最近、『月蝕』を読んでますから、参考にしてますね。こういうのをもっと、微細に書きたいなと思いまして。そちらのきめ細かさを見習わせていただきました。 ここ、悩んだんですよ。なんたって大事な場面なので、どう書いたものかなあと。なるべく、ヒイラギとイトハの心情がどちらも不器用に伝わり合ってる、ということを、正確に書きたいシーンでした。多分今話一番凝ったのはここら辺の描写ですね。 First「月夜に緋糸を結ぶ」で、ヒイトの相互理解やシンパシーにはある程度の大枠が出来たと思っているんですよ。あの壮絶な体験を共に乗り越えた上でパートナー協定結んでますから、多少の無茶振りはもうお互いに受け入れられるわけで。 「どこにも行かないよね」には返せないですねえ……。ここは、返すか否か、自分でもかなり悩みました。正直、ヒイトのやり取りが一番「訣別」で書きたかったことなんです。訣別とは何か、というと、イトハとヒイラギの別れであり、スナッチャーとの決別、みたいな意味を持たせてみました。でも、ヒイラギは「どこにも行かないよね?」って聴かれて、今あの状況で「おれは消えないからな」と返すほど心が強くない。あと、メタ的なことを言ってしまえば、まだ彼らは急接近してから日も経たないですし、その段階ではない。 互いに求め合っておきながら、互いに満たし合うことは出来ない関係にしていきたいですね。我儘で良くないですか? 私はヒイトを一種の磁石のようなものだと思っていて、くっついたり、離れたりするんですよ。そういうのを繰り返して行こうと思っています。 しかも、ヒイラギは不確定なことを言わない性格(「M2」の「任務では確実性が保証されたこと以外口にするな」とか言ってしまう性格)なので、それでイトハに不確定な生存を保証したら余計彼女を悲しませてしまう、じゃあ時に気障ったらしい奴ならどういう言動を取るか? と考えたら、ネックレスを身に付けて、イトハを傍に感じているみたいな(こう書くとニュアンスが非常にアレ)形だと良いかなと思いました。でも、彼らの関係がもっと進展して、もっとちゃんとした基盤になったら、その時は何か返せるようになるかもしれない……。ってかこのくだり、作者の裏話でしたね、完全に。まあそういうこと考えてましたということでひとつ。 Jとの同族嫌悪ですが、ヒイラギには「罪の意識」が常にあります。罪の意識を持ちながら、反骨精神を持ち合わせて、必要悪を演じる。これは波導の「勇者」アーロンのような存在を志していた彼本来の夢とは反対を往くもので、ここら辺の要素が「勇者になれなかった者たちの物語」という叛骨の主題になります。ヒイラギの自己肯定と自己嫌悪は、彼の心中で常に同居しているイメージです。 ですので、ホオズキに対して「膿を出し切るだけだ」と言った時の「自分は正しいことをしているんだ」という思いと同時に去来する「自信の無さ」もそういう心理背景から来ています。 (↓ ※ヒイラギの俯瞰の話) >こういう組織にいたり生き方をしていたりすると、悪いことをしていても段々当たり前の感覚になっていきそうなものだが、ヒイラギさんはそうではない。己の行為をこんなにも俯瞰して評価しているんだなと。 ヒイラギは教義の厳しい里で育て上げられた波導使いの一員であり、あくまでもヒール気取りの正義派ですかね……。実はこの辺りも、今後かなり重要な要素になってきます。スナッチャーの意味とか、在り方とか、波導使いのポジション、生き方といった部分を記憶していただければ。 別に悪人、ではないので、スナッチャーに属することに色々思うところはあります。あと、非情になることで手に入れる強さとさっき書きましたが、それは悪といっても例えばハンターやJがやって来たことを踏襲するような強さではなくて、あくまで必要な時だから行使する、という。 ヒイラギはずっと「必要悪」という単語にこだわっています。作中でも何度か書いているのですが、ヒイラギはスナッチャーとして戦う自分は時代に要請された悪だから正当化されると思っている。でも、それを過大解釈して人間として、人格的な部分まで壊滅してしまったら、それは多分本物の悪になってしまう気がします。なので悪に染まり切らないよう、元の意思を強く持っている人達なイメージはあります。 J撃破はプロットが一人歩きしだしたらそうなりました。倒したかっていうと微妙なラインですけど、Jの作戦が失敗したことによって、内通者やその裏にいる存在の重い腰を無理矢理上げさせて、表に引きずり出す契機になります。ただ、丁度のちの展開にも繋がるし、頃合としても、いつまでもハンターばかりと戦っていても飽きますので、そろそろ。スナッチャーが倒すべき敵が判明する時が物語の佳境にもなりますので。 ミッションクリアの喜びより、後味の悪い話にしたいとずっと考えていたので、マナフィを奪うことでの周囲の反応と自分の行いの落差を突きつけて、ヒイラギやスレートが正義ではないんだよ〜っていうことを押す最後にしました。 今回はこんな形で返信とさせていただきます。また随分と濃くなってしまったww 次回以降から、どんどん物語が進みますので、お楽しみに! では。 [11]
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